日産に公取委が下請法違反で勧告 悪質な「下請けいじめ」の実態
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経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。下請法違反で公正取引委員会から勧告を受けた日産自動車について解説した。
日産が下請法違反で公正取引委員会から勧告 ~下請け36社に対する違法な減額は30億円以上
日産自動車が下請けメーカーへの支払い代金を一方的に引き下げ、下請法に違反したとして、公正取引委員会が再発防止を求める勧告を行った。日産の部品メーカー36社に対する違法な減額は30億円以上で、下請法が施行されてから過去最大の違法な減額となる。
飯田)2021年1月から2023年4月にかけ、2年と少しでこの金額だったということです。
クラフト)これは悪質です。おそらく、もっと前から慣行で行われていたと思うのですが、この期間、特に中小企業の賃上げの話が重要視されていました。それなのに、こういう問題が出てくるのは、その情勢を無視しているということです。そして、強い者が弱い者いじめをしている。非常に問題だと思います。
現場にアンケートを取らせていた取締役会 ~下請け業者が「問題ですか?」と聞かれ「問題ですよ」とは言えない
クラフト)もっと悪質なのは、取締役会でこの問題が取り上げられていたにも関わらず、減額されていたことです。現場ではアンケートが取られていたようですが、力の強い方が中小の下請け企業に「問題ですか?」と聞いたところで、「問題ですよ」と言えるわけがありません。
飯田)アンケートの取り方も、元請け企業が「問題はありましたか? なかったですよね?」というような。
クラフト)それで取締役会に「問題なかった」と報告していたとしたら、明らかに意図的な部分が大きいので、厳重に取り締まる必要があると思います。日産に限った話ではなく、他のメーカーもやっている可能性があるので、公正取引委員会は深く広く捜査し、実態を解明して欲しいです。
公正取引委員会は近く、自工会に下請け業者との適正な取引を進める要請を出す方針
飯田)業界全体でこういった問題があるかも知れないので、公正取引委員会は近く、業界団体の日本自動車工業会(自工会)に下請け業者との適正な取引を進めるよう、要請を出す方針だそうです。本気だということですか?
クラフト)そういうことです。日産含め、大手の決算が赤字なら気持ちはわからなくもないけれど、記録的な利益を上げているなかで締め付けるのは悪質と言わざるを得ません。
飯田)過去最高益が出るくらいでした。公正取引委員会を使い、「優越的地位の濫用はまずい」と去年(2023年)から言っています。岸田政権は、この辺りについては積極的ですね。
クラフト)ずっと言い続けているのですが、それを無視してきたわけです。
一方で調達価格の引き上げを明らかにしたトヨタ
クラフト)もう1つ深読みすると、トヨタが先月(2月)、1次仕入れ先からの部材の調達価格を23年下期から引き上げると明らかにしました。うがった見方をすると、日産の動向を見ながら先に動いて、そういった慣行を是正しようという動きなのかも知れません。ここは日本全体のために、一部の大手企業だけが儲けるのではなく、還元していくよう、もっと広い見識のある経営をして欲しいと思います。
飯田)産業としての裾野も広いですものね。
クラフト)自動車業界は特に広いので、影響が大きい。今回は下請け36社でしたが、二次波及を考えると、おそらくさらに下がいて、その下にもいるわけです。全体に影響するので、由々しき事態だと思います。
飯田)部品を輸送するような物流業界は、働き方改革も絡んで賃金を上げなくてはいけない時期ですからね。
クラフト)長時間働き、やっとの思いでつくったのに、最後に「お前らは儲かったのだから少し返せよ」と言われたら可哀想ですよ。設備投資や研究にお金が回せなくなれば、中小企業はいつまで経っても伸びません。非常に重要な問題だと思います。
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