番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
いよいよ来週からリオデジャネイロ オリンピックが開幕しますが、バドミントン女子ダブルスで金メダルを狙う「タカマツペア」。
その生みの親でもある、高校時代の恩師と二人のグッとストーリーです。
バドミントン女子ダブルスで、数々の国際大会を制覇。
世界ランキング1位でリオ行きを決めた「タカマツペア」こと、高橋礼華(たかはし・あやか)・松友美佐紀(まつとも・みさき)組。
金メダルの有力候補といわれる二人が初めてコンビを組んだのは9年前、高校時代のことでした。
宮城県の聖ウルスラ学院英智高校の先輩・後輩で、高橋選手の方が1学年上。
それまで、シングルス中心でプレーしてきた二人にコンビを組ませたのは、2007年からバドミントン部の総監督を務める、田所光男(たどころ・みつお)さん・65歳です。
現役時代は実業団で活躍し、ダブルスの日本代表として活躍した田所さんはこう言います。
「ダブルスでいちばん大切なのは、信頼関係です。でも仲良しコンビではいけない。むしろ性格は正反対の方がいいんです。お互い、補い合えますからね」
とにかく強気で、攻撃的な高橋選手と、相手を見ながら冷静にプレーできる松友選手。
性格も、高橋選手は面倒見のいい姉御肌。
一方、松友選手はおとなしいけれど、周りを立てるタイプで、まったく逆。
「二人は息が合う」と直感した田所さんの読みは当たり、コンビ結成から1年後、インターハイで優勝。
大会直前、高橋選手は足を捻挫しましたが、テーピングの上にサポーターを巻いて強行出場し、松友選手は先輩の負担を減らすよう絶妙なフォローを見せ、全国制覇を果たしたのです。
タカマツペアの快進撃は、さらに続きます。秋の国体でも優勝。さらに、実業団の選手も参加する全日本総合選手権で、日本代表ペアを破って準決勝に進出。
あのオグシオペアと準決勝で対戦し敗れましたが、高校生ペアのベスト4入りはたいへんな快挙で、二人は一躍、注目の存在になりました。
タカマツペアの才能をさらに伸ばすため、田所さんは二人への接し方をあえて変えていました。
「松友は、1言えば10分かるタイプ。だから口やかましく言いませんでしたが、高橋はその何倍も、厳しく指導しましたね」
それは、キャプテンでもある高橋選手を叱ると、バドミントン部全体が引き締まるという意味もあったのです。
高橋選手は卒業後、東京にある実業団の強豪・日本ユニシスに入社。
東京と宮城と離れても、タカマツペアは解散せず、松友選手は授業のない週末に新幹線で高橋選手のもとに通い、練習を続けました。
その松友選手も卒業後に日本ユニシスに入り、松友選手は初任給で、田所さんにマフラーをプレゼントしてくれたそうです。
「あの子のそういう義理堅さ、気配りは、社会人になっても変わらないですね。高橋も、松友が同じ会社に入ってくれて、心強かったと思いますよ」
二人が実業団入りしてからは、田所さんが直接指導することはなくなりましたが、電話やメールでのやりとりは続いています。
4年前、ロンドンオリンピック出場を惜しくも逃したとき、田所さんは「お前たちには、リオがあるじゃないか」と励ましました。
それから4年間、さらに実力を磨いた二人は、今年3月、全英オープンを制覇。
日本勢では38年ぶりの快挙を達成するなど、国際大会で勝利を重ね、世界ランクトップでオリンピック出場を決めました。
「二人とも、ロンドンに行けなかった悔しさをバネにしたんでしょう」という田所さん。
高橋選手は宮城で行われた壮行会で「リオで金メダルを獲ってきます!」と宣言しましたが、田所さんにとっては当然のこと。
「高橋は高校時代から有言実行タイプで、二人はそうやって結果を出してきましたからね。リオでも必ずやってくれると信じています」
高橋選手と松友選手にとっても、ずっと自分たちを見守ってくれる恩師は欠かせない存在。
田所さんは、重要な大会では必ず会場に行き、二人の目に入る位置で観戦することにしています。
「別に何か指導するわけじゃないんですが、二人とも、私が会場にいると高校時代を思い出して気持ちが引き締まるって言うんですよ。リオにも、もちろん行きます。旅費もホテル代も、全部自腹ですけどね」と笑う田所さん。
可愛い教え子のためなら、地球の裏側でも飛んで行くのは当たり前。
金メダルを手にした二人と、リオで喜びを分かち合うその瞬間を、田所さんは心待ちにしています。
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
今、聴きたい曲を書いて送ってくださいね。