私たちは「街道」と言われると、江戸時代、日本橋を起点とした五街道がパッと浮かびますが、今の時代、街道は歴史街道だけじゃないんですね。
町おこしの一環として「○○街道」と名付けているところもたくさんあるんです。
そもそも街道には 特別な決まりはなく、町と町、町と神社などを結ぶ道が「街道」。
正式名称でなくても、地元で「街道」と呼ばれていれば「街道」なんです。
ですから、伊勢神宮へと続く「伊勢街道」、鎌倉へと続く「鎌倉街道」、そうした歴史ある街道もあれば、その道路の特徴が いつしか「○○街道」と呼ばれるようになったり、地元をアピールするために「○○街道」と名付けたり…
そういうパターンも増えてきているんですね。
きょうはそんな全国の「街道」をパターン別に見ていきたいと思いますが、まず、全国各地に点在しているのが、「どんぶり街道」!
これ、多いんです。
中でも有名なのが、愛知県・渥美半島の「どんぶり街道」。
海の幸・山の幸の豊富な渥美半島では、その豊かな食材をアピールしようと渥美半島にある約40店舗の飲食店が趣向を凝らして作り、渥美半島の「どんぶり街道」と名付けて、盛り上がっています。
また高知県四万十町には、「四万十ポーク・どんぶり街道」があります。
丼の条件は、地元ブランドの四万十産ポークを使うことで、かつ丼もあればステーキ丼も、しょうが焼き丼もあります。
1つの食材を多彩に変化させて、「どんぶり街道」を形成しているんですね。
ほかにも「どんぶり街道」と名の付く街道はたくさんあるのですが、何と言っても「どんぶり」は、使える食材の幅が広く、アレンジをしやすいのが売り。
地域の特産品をアピールするには、「どんぶり」はとても適しているそうです。
どんぶり以外にも、「食べ物系」の街道は全国各地にあります。
例えば、長野県・信州新町の「ジンギスカン街道」。
実は、信州新町では、昭和初期から羊の飼育が盛んに行われていて、昭和40年代・50年代になって、交通の便がよくなると、街を通る国道19号線沿いに ジンギスカンを出すお店がズラリと並び、知らぬ間に「ジンギスカン街道」と呼ばれ、今はその名前が定着しています。
そして、高知県日高村には「オムライス街道」があります。
地元で栽培されている高級トマト「シュガートマト」をアピールする街道です。
オムライスといえば、タマゴとトマトですから。
2年前から、村を通る国道33号線を「オムライス街道」と名付け、約10店舗でシュガートマトを使ったオムライスを提供。
口コミで話題となり、経済効果は年間1億円以上とも言われています。
オムライス人気、おそるべしです。
そして、私も通ったことはあるんですが…まったく知らなかったのが、富山県富山市から岐阜県高山市に抜ける国道41号線。
ここは「ノーベル街道」と呼ばれているんですって。
実はこの道は、日本人のノーベル賞受賞者に縁の深い道で、わずか90キロの沿道に、何人ものノーベル賞受賞者が関わっているんです。
1987年の医学生理学賞・利根川進さんは、少年時代を富山県旧大沢野町で過ごされ、2000年の化学賞・白川英樹さんも、少年時代を岐阜県高山市で過ごされました。
さらに2002年の化学賞を・田中耕一さんは富山市の出身で、同じ年に物理学賞を受賞した小柴昌俊さんは飛騨市の研究施設でニュートリノの検出に成功。
さらに2015年の物理学賞・梶田隆章さんは、自宅が富山市にあります。
世界を驚かせた頭脳が集中していることから「ノーベル街道」なんですね。
食べ物からノーベル賞まで、冒頭で言った通り「街道」には決まりがありません。
最近は、歴史街道を旅することがブームになっていますが、この夏、新たに誕生した穴場の街道を旅してみるのも面白いかもしれませんよ。
8月4日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より