番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
きょう(日本時間6日)開会式が行われたリオデジャネイロ オリンピックですが、先行してサッカーは競技が始まっています。
今回、日本人女性として唯一、サッカーの審判として大舞台に立つ、ある女性レフリーのグッとストーリーです。
オリンピック開会式に先立って、すでに予選が始まっているサッカー。
手倉森(てぐらもり)監督率いる、男子日本代表の活躍が期待されますが、ロンドン大会で銀メダルに輝いた女子日本代表・なでしこジャパンは予選で敗れ、残念ながらリオに行くことはできませんでした。
しかし今回、サッカーで唯一、オリンピックの舞台に立つ日本人女性がいます。
女子国際副審の、手代木直美(てしろぎ・なおみ)さん・35歳。
今回、リオに派遣された日本人のサッカー審判は4人いますが、女性審判は手代木さんだけ。
「なでしこの分まで、私が頑張らないと!という思いはありますね」と抱負を語りました。
日本人の手代木さんが、国際試合でなでしこジャパンの試合を担当することはありませんが、国内では、女子プロリーグ(なでしこリーグ)の審判も務めている手代木さん。
普段からなでしこの選手たちを間近で見ているだけに、リオに行けなかった悔しさはよく分かります。
実力を磨き、選ばれた人だけが世界最高の舞台に立てるのは、審判の世界も同じ。
手代木さんは去年、カナダで行われた女子ワールドカップに副審として出場、大役を務めました。
アメリカ対スウェーデン戦の副審を担当したときは、故郷・北海道の十勝の実家に両親や親戚・友人たちが集まりテレビ観戦。
手代木さんの晴れ姿を見守りました。
みんな勝敗の行方は二の次で、手代木さんがジャッジをするたびに大きな拍手、そして歓声!
父親の豊さんは「昔から『ワールドカップに行きたい』と言っていたけれど、本当に行くとは思ってもみなかった」と、娘の活躍に目を細めました。
小学生の頃からサッカーが大好きだった手代木さん。
はじめは選手としてプレーしていましたが、ゲームをコントロールして、陰で試合を演出する審判の仕事に興味を持ち、高校時代から本格的に勉強を始めます。
努力の甲斐あって、2006年に1級審判員、2013年には女子国際副審として登録された手代木さん。
なでしこリーグの主審を務めたり、時には男子のプロリーグ・J3の試合を担当することもあります。
ジャッジをする上で大事なことは何か、手代木さんに聞いてみると
「先を見据えて動くことですね。今、目の前で起こっていることだけではなく、その先の展開も読んで、プレーがよく見える場所にいち早く動かないといけません」
ベストポジションに向かうためには、選手以上に全力疾走する必要があります。
夏場の試合では1試合で2〜3キロ体重が落ちることもありますが、大好きなサッカーのためならハードワークも苦にならないそうです。
しかし女性審判の場合、厳しい現実もあります。
女子プロリーグの審判は、別に仕事を持っている人がほとんど。
手代木さんも、試合がない日は理学療法士として働いています。
国際試合で遠征するときには長期休暇を取らないといけませんが、職場の同僚も手代木さんを応援。
今回も仕事を代わってくれました。
そんな、支えてくれる人たちのためにも、大舞台でいいジャッジをしたいという手代木さん。
時には落ち込むこともありますが、うまくゲームを進行させ、正確な判定ができたときは、なにものにも代え難い喜びを感じるそうです。
「嬉しかったのは、試合の後、子供たちに『ナイスジャッジ!』と声を掛けてもらったときですね。疲れなんて吹き飛んじゃいます」という手代木さん。
理想のレフリー像は「黒子のように、目立たない審判」。
選手たちがベストプレーを見せ、お客さんが喜んでくれる試合を演出することが、手代木さんにとっての“金メダル”なのです。
番組情報
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