信州エリアで活躍する普通列車用の車両・211系電車。
国鉄時代末期から東海道線や東北線・高崎線などで活躍してきた車両です。
2010年代に入って上野東京ラインの開通などもあり、都心からは撤退。
現在は髙崎や長野に転属して、上州・信州エリアを中心に活躍しています。
ま、首都圏の苛酷なラッシュと比べれば”骨休め”に近いものかもしれません。
そんなわけで私も「白骨(しらほね)温泉」で骨休め。
今は松本市の一部となっている「白骨温泉」へは、松本電鉄の新島々(しんしましま)から路線バスでおよそ1時間。
クルマですと上高地の駐車場がある沢渡(さわんど)の近く、湯川渡交差点で国道158号から分かれて10分ほどです。
この日、お世話になったのは「小梨の湯 笹屋」。
上高地散策の帰りにのんびり一泊させてもらいました。
「白骨温泉」のお湯といえば、硫黄香る「白い」乳白色のイメージ。
概ねそれは正しいのですが、源泉によってお湯の成分は異なるので、各宿それぞれのお湯が楽しめます。
とりわけ「笹屋」の内湯は、湯端に圧巻の石灰華が付着!
初めて訪れた人は、きっと天然のアートとそれを生み出す湯力に驚くことでしょう。
お湯自体は、とても心地よい滑らかな手触り。
同様に人が入るスペースは付着した成分がすべすべにされており、メンテナンスのご苦労が伺えるというものです。
気候や天気がいいとガラス戸をを外してくれるので、半露天感覚で入ることが出来る、素晴らしい内湯です。
同じお風呂に翌朝入ると、お湯が前日夕方より若干青みがかって見えました。
温泉の中には、入る時間帯によって趣が変わって来るものもあります。
コチラの「笹屋」もその1つ。
宿に泊まったら1度だけでなく、2度3度とお風呂に足を運ぶことで、温泉のいろんな表情を楽しむことが出来ます。
注がれているお湯は52.5℃、ph6.7の弱酸性、成分総計1796mg/kgの含硫黄ーカルシウム・マグネシウムー炭酸水素塩温泉(硫化水素型)。
飲用許可も取られているので、脱衣所の紙コップを持って入れば飲泉も出来ます。
ガラス戸が設置されると、お風呂自体も落ち着いた雰囲気になりますね。
「笹屋」の露天風呂は、洗い場は無くてお湯そのものを楽しむ貸切風呂。
宿泊者は空いていれば、入口の札を「入浴中」に裏返し、30分をめどに自由に入れます。
部屋数は全10室なので、繁忙期でなければ、他のお客さんとあまり被ることもありません。
ぼんやり薄明かりの中、注がれるお湯の音だけを共に、硫黄の匂いと柔らかいお湯に包まれてじんわり温まれば、まさに「骨休め」。
額にうっすらと汗を感じるようになったら上がり時、手の込んだ美味しい夕食をいただけば、チャージ完了です。
さて、駅弁の中にも、宿の食事のように少量のおかずが多めに出る「ご馳走」駅弁があります。
松本駅弁・イイダヤ軒では、平成25(2013)11月から「城下町のおごっつぉ」(1,200円)が販売されています。
地元JAと松本大学総合経営学部観光ホスピタリティ学科の学生さんなどが開発に携わった、いわゆる「産官学連携」の駅弁。
松本駅の駅弁屋「あずさ」の店員さんによると、午前5個、午後5個しか入荷せず、売り切れ御免。
週末や繁忙期にはスグ売れてしまい、あまり目にすることが出来ないレアな駅弁なのです。
私も「あったら買いたいなぁ」という感じで松本駅に立ち寄るとだいたい無くて、3回目の訪問でようやく入手することが出来ました。
紙の包装のカギを外すと、さっそく二段重ねのお重が登場しました。
開発の段階で、松本の幸をたっぷり詰め込んだそうですが・・・。
【おしながき】
<下の段>
・野沢菜むすび(松本産コシヒカリ)
・からしいなり(松本で定番の郷土食)
・山賊焼(秘伝のタレに漬けこんだ鶏肉使用)
・そばの実えのき(地元産そばの実、えのき茸)
・葉わさびのお浸し(地域の名産)
・おやき(信州を代表する郷土食)
<上の段>
・揚げそば(老舗そば店の新そば使用)
・しめじのソテー(名産しめじ+八幡屋礒五郎の七味)
・長芋揚げチリソースがけ(長芋が名産)
・松本のきゅうりの信州SPF豚巻き(松本平産のきゅうりを使用しジェルぽん酢で仕上げ、秋はねぎ巻き)
・信州SPF豚肩ロースのみそ焼(地元ブランド豚+信州味噌)
・波田漬(はたづけ、上高地への途中にある波田地区名産のすいかの幼果実を使用)
・ぶどうのゼリー(信州産ぶどうの果汁を使用)
・りんごワイン煮(名産サンふじをワインの芳醇な香りで)
駅弁を製作するにあたり、学生さんたちが行った調査では、駅弁を買う人の9割方が女性で、「見た目」重視だったのだとか。
女性シフトを敷いて、イケメンならぬ「イケ弁」を戦略的に狙ってきたのがこの駅弁。
実際、私の妻も「この駅弁だったら、思わず手に取っちゃうかも」と話していましたので、狙い通りなのかもしれません。
松本駅で見かけたら、出逢えたラッキーに感謝しながら手に取ってみては!?
(参考:JA長野県HP)
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/