旅気分が楽しい! 「東海道新幹線弁当」の製造に密着してみた

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

東海道新幹線弁当

画像を見る(全11枚) 東海道新幹線弁当

日本の大動脈・東海道新幹線。約3分間隔で列車が発着し、繁忙期は1時間に最大12本の「のぞみ」が、東京~新大阪間を約2時間半で結んでいます。東海道新幹線の品川駅が開業して、「のぞみ」号が大増発されてから10月1日で丸20年。東京・品川・新横浜など、東海道新幹線主要駅に向けた駅弁や売店、車内サービスを手掛けている会社で、人気駅弁の製造に密着しました。

N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・三島~新富士間

N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・三島~新富士間

「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第45弾・ジェイアール東海パッセンジャーズ編(第1回/全6回)

日本一の山・富士山の麓を、東海道新幹線の「のぞみ」号が駆け抜けていきます。例年、9月~10月は富士山から雪の便りが届くころ。雪のない“夏富士”から、雪化粧をしたおなじみの姿に変わっていく時期です。合わせて、日本列島に秋の行楽シーズンが到来。快適なシートに身を委ね、美しい景色を眺めながら駅弁をいただいて、東海道新幹線の旅を楽しむには、最高のタイミングといえましょう。

ジェイアール東海パッセンジャーズ東京工場

ジェイアール東海パッセンジャーズ東京工場

東海道新幹線「のぞみ」の停車駅である東京・品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪の各駅で駅弁を手掛けるのが、「株式会社ジェイアール東海パッセンジャーズ」です。東京・江東区にある東京工場では、東京・品川・新横浜の3つの駅に向けて、駅弁を生産しています。駅弁膝栗毛の恒例企画「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第45弾は、ジェイアール東海パッセンジャーズに注目いたします。

東海道新幹線弁当

東海道新幹線弁当

ジェイアール東海パッセンジャーズの駅弁のなかで、とくに人気が高いのが「東海道新幹線弁当」(1150円)です。平成26(2014)年、東海道新幹線開業50周年を記念して販売された「東海道新幹線50周年記念弁当」を、翌年からレギュラー化して、誕生しました。現在は、東京・名古屋・大阪の各エリアに加えて、東海道新幹線「のぞみ」と「ひかり」の車内でもワゴンに積まれて販売が行われています(車内ワゴン販売は10月31日まで)。

東海道新幹線弁当の製造風景

東海道新幹線弁当の製造風景

今回、東京工場にお邪魔したのは深夜1時ごろ。東京・品川・新横浜の各駅を朝6時に発車する始発列車「のぞみ1号」「のぞみ99号」「ひかり533号」に間に合わせるため、弁当の盛り付けが始まりました。繁忙期には前夜10時ごろに始まる日もあると言います。ご飯は、国産のブレンド米を工場内のIH自動炊飯システムで炊き上げて、俵型に成形。「東海道新幹線弁当」では、白飯とあさりご飯(深川めし)の2つの味が楽しめます。

東海道新幹線弁当の製造風景

東海道新幹線弁当の製造風景

続いてジェイアール東海パッセンジャーズ自慢の煮物が盛り付けられていきます。大根をはじめとした食材に、出汁がしっかりしみ込んでいながら、食材そのものの味もしっかりと活かされています。それでいて、冷めていても美味しい、こだわりの味わいが楽しめます。以前は東京・名古屋・大阪の各工場で調理を行っていたため、弁当の味を揃える苦労があったそうですが、現在は名古屋工場にセントラルキッチンを設けているそうです。

東海道新幹線弁当の製造風景

東海道新幹線弁当の製造風景

江戸の味・深川めしのご飯の上にあさりがちょこんと載せられると、静岡のご当地名物・黒はんぺんが盛り付けられていきます。続いてひと口サイズのカツにいい香りのソースが手作業で塗られて、“味噌カツ”が作られていきます。駅弁の製造ラインのなかにいながら、まるで東海道新幹線の旅をしているかのよう。地元名物を使った駅弁業者が多いなか、東・名・阪を拠点とするジェイアール東海パッセンジャーズならではの製造風景ですね。

東海道新幹線弁当の製造風景

東海道新幹線弁当の製造風景

漬物などが盛り付けられると、シートを載せて割箸を封入。その上に紙蓋が載せられて、盛り付けは終了です。そのまま機械によってラッピングが行われ、「東海道新幹線弁当」は完成! そのまま、東京・品川・新横浜の各駅売店に必要な個数に振り分けられます。こうして、夜を徹して多くの人の手で作られた駅弁は、夜明け前の東京都内を、早朝から新幹線で1日を始める乗客の皆さんに向けて運ばれていきます。

東海道新幹線弁当

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【おしながき】
・白飯 穴子蒲焼き
・深川めし あさり あおさ
・玉子焼き
・味噌カツ
・海老フライ
・黒はんぺん
・煮物(大根、南瓜、人参、高野豆腐、パプリカ、がんもどき)
・にしん昆布巻き
・わさび入り昆布佃煮
・たくあん漬け

東海道新幹線弁当

東海道新幹線弁当

関東地方ならではのご飯、東海地方のユニークなおかず、関西地方の味わい深い煮物と、日本の食文化の“オイシイところ”が、1つの折箱に詰まっている「東海道新幹線弁当」。「のぞみ」「ひかり」「こだま」、それぞれの列車のペースに合わせて味わいたいものです。なお、煮物は関西の食文化にちなんだ“芋・たこ・なんきん”が入っていましたが、現在はタコ、湯葉の煮物に代わって、高野豆腐の煮物、ニシンの昆布巻に変更されています。

N700S新幹線電車「ひかり」、東海道新幹線・京都~米原間

N700S新幹線電車「ひかり」、東海道新幹線・京都~米原間

N700S新幹線電車が、京都の街をあとにして、東山のトンネルに吸い込まれていきます。JR東海の新幹線車両で駅の発着時に車内で流されてきたチャイムは、令和5(2023)年7月21日から『会いにいこう』になりました。合わせて、新幹線に関するさまざまなサービスの変更が予定されているこの秋。「ジェイアール東海パッセンジャーズ」の約20年の歴史を紐解きながら、今後の変化についてもトップに伺ってまいります。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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