札幌駅弁の「ジンギスカン丼」が通年販売になった理由
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
いよいよ食欲の秋。食材に恵まれた北海道の旅が、一層、楽しくなる時期を迎えています。地域によって、さまざまなご当地の名物料理がある北海道だけに、一度に全部味わうのは、ちょっと厳しいもの。とはいえ、少しでも欲張りたい方には、「駅弁」の活用もお薦めです。札幌駅の北海道らしいご当地料理の駅弁も利用者の声に応えて、昨年(2022年)から通年販売になりました。
札幌駅を発車した特急「ライラック」が旭川を目指します。札幌~旭川間は、毎時1~2本の特急列車が運行されており、中心は電車特急の「ライラック」と「カムイ」。グリーン車付き・6両の列車が「ライラック」、グリーン車なし・5両の列車が「カムイ」として運行されます。緑色の先頭車が特徴的な「ライラック」の車両は、北海道新幹線開業まで本州と北海道を結ぶ特急「スーパー白鳥」として活躍していました。
特急「ライラック」「カムイ」は、途中、岩見沢・美唄・砂川・滝川・深川の各駅に停まり、札幌~旭川間を85分で結びます。列車が走る札幌と途中の滝川は、北海道名物の1つ「ジンギスカン料理」ゆかりのまちです。ただ、広い北海道の旅、途中下車を楽しみながら、名物を味わっていくには時間が足りないことが多いもの。そんなときは駅弁が役立ちます。札幌駅では、札幌駅立売商会の「ジンギスカン丼」(1150円)が販売されています。
【おしながき】
・白飯(北海道産米)
・味付けジンギスカン(羊肉)
・味付け野菜(玉ねぎ、にんじん、南瓜、ピーマン)
・塩茹でとうもろこし
ふたを開けるとジンギスカン鍋を模した容器に、赤ワインをはじめ、調味料で味付けされた羊肉とたっぷりの野菜が現れ、列車のなかでジンギスカン気分が味わえます。容器もレンジ対応となっており、札幌駅の「弁菜亭」では、購入時に「温めますか?」と訊いてくれます。札幌駅立売商会によると、もともとは、冬季限定の加熱式駅弁として販売していましたが、お客様から「1年を通して食べたい」という意見が多く寄せられ、2022年から通年販売に踏み切ったそう。加熱式容器の代替として、“レンチン”に対応しているということです。
帯広から特急「とかち」が上ってきました。札幌と道東を結ぶ特急列車は、釧路発着が「おおぞら」、帯広発着が「とかち」となっています。新千歳空港利用の場合は、南千歳で乗り換えです。帯広は、「豚丼」「スイーツ」の印象が強いですが、ジンギスカンの名店も多い様子。駅弁と同じように、ご当地料理も現地へ足を運んで、味の違いを自分の舌で確かめていくのが、旅の醍醐味といえましょう。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/