ニシンのバッテラ寿司はなぜ今、札幌の駅弁に登場したのか?

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

にしん数の子押し寿司

画像を見る(全6枚) にしん数の子押し寿司

北の海を代表する魚の1つ・ニシン。ひと昔前までは、不漁が続いている印象が強かったものですが、最近は豊漁が続いているのだそうです。これを受け、札幌駅弁にもニシンを使った新作駅弁が登場。話題の“あの食べ方”が「駅弁」でも実現しました。

733系電車・快速「エアポート」、函館本線・朝里~小樽築港間

733系電車・快速「エアポート」、函館本線・朝里~小樽築港間

新千歳空港を1時間に5本、毎時6・18・30・42・54分に発車している快速「エアポート」。このうち、日中の6分発と30分発の列車は札幌から先、小樽まで直通運転しています。小樽行の列車は、札幌を出ると琴似、手稲と停まってしばらくすると、進行右手の車窓に石狩湾が広がります。最近は通勤タイプの車両も多い「エアポート」ですが、「uシート」(指定席、840円)を確保すれば、存分に北の海を眺めることができます。

にしん数の子押し寿司

にしん数の子押し寿司

かつて、北の海でたくさん獲れた魚といえば「ニシン」でした。日本海に面した地域では、ニシン漁で財を成した人たちが、「鰊御殿」「鰊番屋」と称される建物を建て、いまでは、文化財に指定され、一般公開されている建物もあります。そんな「ニシン」を使った駅弁が、7月21日から札幌駅に登場しています。その名も「にしん数の子押し寿司」(1250円)。ちょっぴりレトロな掛け紙が旅情を誘いますが、立派な“新作駅弁”です。

にしん数の子押し寿司

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【おしながき】
・酢飯(北海道産米) ごま
・北海道産炙りにしんの酢〆
・数の子
・酢漬け昆布
・ガリ

にしん数の子押し寿司

にしん数の子押し寿司

酢で〆た炙りニシンと白板昆布が、数の子とごまを混ぜ込んだ酢飯の上に載っています。なるほど、ニシンのバッテラが駅弁になったというわけですね! 札幌駅立売商会によると、ニシンのバッテラは以前から道内にあった食べ方で、最近、人気を集めているのだそう。長年、ニシンは不漁でしたが、最近は漁業資源が戻って、豊漁が続いていることから、「駅弁」にもできたそうです。口のなかでプチプチはじける数の子が、食欲をそそりますね。

721系電車・快速「エアポート」、函館本線・苗穂~白石間

721系電車・快速「エアポート」、函館本線・苗穂~白石間

札幌駅を発車した快速「エアポート」が、空港へと向かいます。札幌~新千歳空港間は、約37分。駅弁をいただくにはちょっと短い時間ですが、「にしん数の子押し寿司」ならば、土産としても重宝しそうですし、時間がなければ「指定席」を押さえてサッといただくこともできる「駅弁」です。北海道が育んだニシン文化に思いを馳せながら、北の旅の余韻を「駅弁」と共にしっかりと味わいたいものです。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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