「大宅壮一文庫」をご存知ですか?【ひでたけのやじうま好奇心】
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「大宅壮一文庫」をご存知ですか?
京王線の八幡山の駅を降りて、歩いて10分程のところにあります2階建ての有料図書館。
ここは、大宅壮一さんという偉大なる評論家の方がご存命中に所蔵していた3万部という膨大な数の雑誌を元に、亡くなられた翌年の1971年に造られた図書館です。
政治経済の難しい話を、家庭の台所の話や夫婦関係の話など、身近な話に置き換えて解りやすく説明する、本当に、素晴らしい評論家の方でした。
わたしも高校の時に、鎌倉のお寺で早朝座禅をやった後に大宅壮一さんのお話を聞いたことがあります。
あっちこっちに大学が出来て、もう駅弁なみだ!とかいう意味で「駅弁大学」とか、テレビが登場して、みんなポカ~ンと口を開けて見ている様子を表した「一億総白痴化」とか、数々の名文句をひねり出す。
うまいネーミングですよね。他にも無数に言葉を作った方です。
現在、保管されている雑誌の数は77万冊、雑誌の種類はおよそ1万種類で、古くは明治時代の雑誌から、今年発売された雑誌まで。
運営は、公益社団法人大宅壮一文庫、娘さんで皆さんご存知の評論家、大宅映子さんが理事長を務めています。
いったいどんな人が利用しているのか?
ここは、テレビ局やラジオ局など、いわゆるマスコミの人間が多く、私も2度ほど、行ったことがあります。
この「大宅壮一文庫」の、キーワードの検索システムが物凄い。
普通の図書館というと、あらかじめ借りたい本を調べてからいきますよね。
しかし「大宅壮一文庫」では特別の検索用のパソコンや、検索用の辞典を使い、読みたい記事から、それが掲載されている雑誌を探して、閲覧することが出来るのです。
キーワードとなる人名は、およそ14万人分あるそうで、政治家からスポーツ選手、タレントまで、「名前を聞いたことがある有名人」なら、ほとんど調べられます。
しかしこのデータ化の作業がとても過酷で、年間およそ400種類の雑誌、のべ4,500冊の雑誌を対象にキーワードを抽出して入力作業を行っており、しかもすべて手作業です。
スタッフ4~5人が、1冊1冊記事本文に目を通し、人名や事件、事柄にチェックを入れていきます。
作業は、熟練スタッフでも1日1冊程度が限界ですが、年間およそ20万のキーワードを抽出するそうです。
この「大宅壮一文庫」は、立花隆さんがあの田中角栄の金権政治を暴いた「田中角栄研究」の資料集めで利用したことから存在が知られ、2000年度まで利用者は増加。
最高で年間8万6千人が利用、閲覧冊数は78万冊に上った。
しかしその後、インターネットの普及で利用者が減少、特にテレビ局をはじめとする法人契約を結んでいたマスコミの利用者が一気に減ってしまいました。
その結果、去年の入館者数はわずか3万8千人で、4千万円の赤字となってしまいました。
赤字対策として50人いたスタッフも、現在は31人に減らしました。
さらに去年、15年ぶりに白黒のコピーを「52円から54円」に値上げし、クーラーをなるべく付けず電気代の節約も行っているそうです。
そしてまた一般の人に「大宅壮一文庫」をもっと知ってもらおうと、2014年から月に1度、無料のバックヤードツアーを実施して、どのように本が管理されているのか?
どのようにデータベース作業が行われているのかなどを見学できるそうです。
いかがでしょう?「大宅壮一文庫」一度利用してみませんか?
大宅壮一文庫
開館時間:午前10時~午後6時(日曜日・祝日は休館)
利用料金:一般入館料(閲覧10冊)300円、他
詳しくはこちら>
9月12日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より