新津駅「たれカツ重」(900円)~越後線で行く珍しい「川の立体交差」 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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新潟,115系湘南色

新潟の115系湘南色

新潟駅で発車を待つのは、越後線の普通列車・吉田行。
越後線は、新潟~柏崎間を海側回りで結ぶローカル線です。
特に新潟駅発の列車は、昼間でも大体20分間隔で運行され、地元の足となっています。
訪れた日は、国鉄時代の塗装を復活させた「湘南色」の115系電車が充当されていました。
こういったリバイバル塗装が行われると、車両の引退も近いという印象がありますね。

越後線,内野駅

越後線・内野駅

越後線の電車に20分あまり揺られてやってきたのは「内野駅」(新潟市西区)。
新潟発の越後線は日中、およそ「3分の2」の列車が、内野止まりで折り返し。
残りおよそ「3分の1」の列車が、弥彦線との接続駅・吉田へ直通します。
近くには新潟大学のキャンパスもあり、越後線は学生の利用が多いのも特徴。
駅舎は建て替えられたばかりのようで、近代的な雰囲気となりました。

西川・新川,立体交差

西川・新川の立体交差

この内野駅南口から10分ほど歩いた所に、一瞬目を疑う風景があります。
なんと、川と川が「立体交差」しているのです。
元々あった川は、トラス橋の上を流れている「西川(にしかわ)」。
下を流れる「新川(しんかわ)」は、後から掘られた人工的な川なんです。
しかも、この立体交差、江戸時代の文政3(1820)年からあるというんです。

西川・新川,立体交差解説

西川・新川の立体交差解説

「西川」は燕市内で信濃川から分かれた川で、一説には信濃川が氾濫した際に最も西側を流れた時の名残りとも言われ、かつては舟運もあったといいます。
一方の「新川」は江戸時代、新潟平野の低湿地帯から排水を行うために作られた放水路の1つ。
西川の舟運を維持しながら、排水を行うために「立体交差」が作られたという訳なんですね。

いずれにしても、重機の無い江戸時代に「立体交差」が作られたということがスゴい!
先人の血のにじむような努力のお陰で、今日の米どころ「新潟平野」があるという訳なんですね。

たれカツ重

たれカツ重

恐らくこの「川の立体交差」というのも、地元の方にとっては200年近く続いている何気ない日常。
しかし、新潟以外に暮らす人にとっては「驚きの風景」と言えるものです。
新潟の「カツ丼」でも同様で、新潟市で「カツ丼」といえば「たれカツ丼」が日常といわれています。
玉子とじでもソースカツでもなく「たれカツ丼」が日常って、他の地域から来るとやはり驚きの風景。
そんなご当地グルメを駅弁にしたのが、新津駅弁・三新軒の「たれカツ重」(900円)です。

たれカツ重

一般に「たれカツ丼」とは、揚げたてのトンカツを醤油ベースのタレにくぐらせてご飯の上に載せたもの。
「たれカツ丼」が新潟市で誕生したのは昭和初期といわれ、市内にあった洋食の屋台が発祥といわれます。
三新軒では、3枚載ったカツに新潟のブランド豚「越後もちぶた」ロースの味噌漬けを使用。
当然、冷めても肉が固くなることはなく、サクッと噛み切れる優しい歯触りが見事です。
新潟駅で乗換くらいしか滞在時間がない時にも、サクッと楽しめる重宝なご当地駅弁です。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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