宇都宮駅は宇都宮~日光間を結ぶ「JR日光線」の始発駅。
日光線はローカル線ですが「ジャパンレールパス」で巡る海外の方が多い路線でもあります。
このため駅・車両共に世界遺産・日光をイメージさせるレトロで落ち着いた色使いとなっているのが特徴。
京葉線から移ってきた205系電車も、車体の帯はルビーブラウン、金、クリームの3色で彩られています。
転属にあたって押ボタンで開閉できるドアが装備され、真冬の冷たい空っ風「男体(二荒)おろし」にも有難い車両になりました。
間もなく「紅葉」のシーズン本番を迎える日光。
首都圏から鉄道で日光を目指す場合は、東武鉄道でアクセスする人が多いかもしれません。
山小屋風の東武日光駅もイイですが、JR日光駅は大正元(1912)年築の歴史ある建物。
貴賓室も兼ね備えられており、大正ロマンの雰囲気を今に伝えています。
来年からはクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の乗り入れも決まっており、現在、日光駅舎は大規模な修繕工事が行われています。
国際色豊かな日光ゆかりの食材を使った、国際色豊かな期間限定駅弁が登場しています。
宇都宮駅弁「松廼家」が10/1~11/30まで販売しているのが「HIMITSUのロコモコ」(1,200円)。
「ロコモコ」はご存知、ハワイ料理ですが「HIMITSUの・・・」とは一体!?
実は「日光HIMITSU豚」というブランド豚のことなんですね。
農場の公式HPによると、美味しさのあまり「思わず人に”秘密”にしたくなる」豚なんだそう。
「日光HIMITSU豚」にゴボウ・レンコンを合わせたハンバーグがメイン。
公式発表では「女性に人気のロコモコを栃木風にアレンジ」とあります。
ソースはグレービーソースではなく「舞茸入りデミグラスソース」を使うあたりが“栃木風”。
(栃木の「舞茸」の生産量は全国7位:平成26年度、栃木県ホームページより)
「松廼家」十八番の「玄米」を使った炊き込みご飯を使っているのも、女性を意識した作りなのかもしれません。
宇都宮駅の売店の方に伺うと、実際に『玄米』ということで買い求める若い女性も結構いらっしゃるのだそう。
『この駅弁は玄米だから、しっかり噛んで食べなさいよ!』
『ホラ、箸落とすといけないから、もう1本つけたげる!!』
訪れた日の「松廼家」の女性店員さんは、こんな言葉と共に駅弁を手渡してくれました。
北関東の駅弁屋さんって土地柄なのか、駅弁を手渡す時に、まるで母親のような一言を添えてくれることが多いんです。
空っ風がどんなに冷たくても、駅弁がどんなに冷めても、補ってあまりある「人の温かさ」。
思わずまた足を運びたくなる『駅弁発祥の地』の1つです。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/