さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回の「しゃベルシネマ」は、「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズ第3弾『インフェルノ』を掘り起こします。
ラングドン教授がインフェルノ<地獄篇>のコード暗号に挑む最新作
数々の謎を解き明かしてきた宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授が挑むのは、人類滅亡の恐ろしい計画を企てている生化学者ゾブリストが詩人ダンテの叙事詩「神曲」<地獄篇(インフェルノ)>に隠した暗号の謎。
「このままでは人類は100年後に滅びてしまう」と言われるほど深刻な人口増加問題に対する過激な解決策として、ゾブリストは人類の半数を滅ぼす為のウィルスを生み出す。
そして、ダンテが予言した人類の“地獄”の未来図=<地獄篇>になぞって、計画を実行する。「100年後の人類滅亡」か、それとも「今人類の半分を滅亡させて生き残る道」か、どちらが正しい未来なのか?
宗教象徴学の天才に対して、生化学の天才が挑戦状を突きつける…。
世界中で空前のミステリーブームを巻き起こした映画『ダ・ヴィンチ・コード 』シリーズの最新作『インフェルノ』が、いよいよ日本公開。
メガホンを取ったのは、前2作も手がけたロン・ハワード監督。
主人公ロバート・ラングドンを演じるのは、もちろんトム・ハンクス。
さらにラングドンと共に謎を追う美人女医、シエナ役にフェリシティ・ジョーンズが抜擢され、フランスの名優オマール・シーにインド出身の俳優イルファン・カーンと、国際色豊かなキャスティングが実現しました。
テンポ良くスリリングな展開は、シリーズ随一。
フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールの美しい風景と共に、圧倒的スケールの謎解きは見応えたっぷりです。
『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズを語るうえで外せないのが、その音楽的魅力。
シリーズを通じて音楽を手がけているのは、映画音楽界の巨匠ハンス・ジマー。
映像の展開や俳優の動き、心境の変化に合わせた緻密さだけでなく、場面や舞台に応じた幅広いジャンルの曲調を操ることでも定評があるジマー氏。
従来はバックグラウンドミュージックという印象が強い映画音楽の役割を、演出効果として前面に出して表現することを実現している音楽家の一人です。
そんなハンス・ジマーのスコアは、演奏者の立場から見ると、どのような印象があるのでしょうか。
東京オペラシティコンサートホールで開催された、インフェルノ×新日本フィルハーモニー交響楽団「ラングドン・プレミアム・オーケストラ」。
円光寺雅彦指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団演奏により、『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』そして最新作『インフェルノ』と“ラングドン・シリーズ3部作”を彩った名曲の数々を演奏するというコンサートで司会を務めたのですが、マエストロ円光寺氏に伺ったお話によると…。
「『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの音楽は、重厚で荘厳。常に緊張感が張りつめているような旋律なので、演奏する側もとてもパワーを使います」とのこと。
さらにこのコンサートでは、劇中にも登場するリスト作曲の「ダンテの『神曲』による交響曲<インフェルノ>」も披露。
円光寺氏にとって「ダンテ交響曲<インフェルノ>」のタクトを振るのは、実は、このコンサートが初めて。
「20分間と、とても長い曲。そのうえ鬱屈した重苦しい旋律が延々と続くので、演奏するにも体力と覚悟が必要ですね」と、笑顔で話す円光寺氏。
日本屈指のマエストロとオーケストラによる「ダンテ交響曲<インフェルノ>」初演奏の場に立ち会うことが出来るとは…。
スペシャルゲストの荒俣宏先生も壇密さんも、もちろんお客様も驚愕。
そしてその演奏は、映画のワンシーンを彷彿させる素晴らしいものでした。
この「ダンテ交響曲<インフェルノ>」、映画ではクライマックスとなるイスタンブールの地下宮殿でのシーンでとても重要な役割を果たしています。
その地下宮殿について「柱の一部にメデューサの首が使われてたり、まさに“地獄への入り口”といった雰囲気なんですよ」と、荒俣先生。
音楽も重要な謎解きのキーワードとなっている今作。
奥底から謎解きの神秘と興奮が沸き上がってくるようなハンス・ジマーによる格調高いスコアが、本作により深い味わいを与えていることは必至でしょう。
インフェルノ
2016年10月28日から日米同時公開
監督:ロン・ハワード
原作:ダン・ブラウン
出演:トム・ハンクス、フェリシティ・ジョーンズ、オマール・シー、イルファン・カーン ほか
公式サイト http://www.inferno-movie.jp/site/#!/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/