長万部駅「もりそば」(650円)~今年で85周年・日本初のそば駅弁!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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山線のキハ150

山線のキハ150

特急「スーパー北斗9号」から長万部駅で乗り込むのはキハ150の単行列車。
長万部13:16発の函館本線(山線)普通列車・倶知安(くっちゃん)行です。
「長万部発倶知安行」って、たぶん日本有数の難読駅発着の列車かも。
北海道新幹線全線開業の暁には、両駅とも新幹線停車駅になる見込みです。
中途半端なひらがな駅名にせず、今の駅名をしっかり貫いてほしいと私は思います。

長万部駅時刻表

長万部駅時刻表、右端が山線の時刻表

この列車、山線を走る列車としては始発に次いで「2番目」の列車。
長万部発の山線の列車は、今春から5:58、13:16、16:40、20:00の4本になりました。
北海道新幹線から乗り継いでニセコ方面へ向かうには、昼間の2本を狙います。
東京6:32発「はやぶさ1号」~「スーパー北斗9号」が基本で、遅くなる時は東京10:20発「はやぶさ13号」~「スーパー北斗15号」。
シニアに割安なきっぷが出る時期は、函館~ニセコ直通の臨時特急が走ることもあります。

15年ほど前、新幹線が盛岡までの時代は、始発で出ても函館で15時だったと記憶しています。
朝のんびり東京を出ても、その日のうちにニセコに着けるという意味では、新幹線ってやっぱり凄いなぁ・・・とも。

合田

合田

さて、長万部13:16発の倶知安行に乗るには、長万部で12:20~13:16まで「56分」の待ち合わせ・・・。
ちょうど昼どき、これはもう『長万部で駅弁食べて下さい!』と言わんばかりの接続です。
ただ、函館の宿で遅めの朝食を取った人には「軽くそばでも・・・」という方もいるのでは?
残念ながら、長万部駅には「立食そば屋」さんはありません。

でも、長万部には「食べるべき蕎麦」が駅前の「合田(ごうだ)」で売られているのです!

もりそば

もりそば

長万部には「もりそば」(650円)という駅弁があります。
「合田」は、1920年代半ば創業の老舗そば屋さん。
「もりそば」は昭和6(1931)年発売、今年で85年を迎えた日本初の「そば駅弁」といわれています。
立ち食いのある駅には、しばしば「持ち込み丼」のある駅があって、温かい蕎麦を車内でいただくことが出来ますよね。
「もりそば」という以上は、ちゃんと冷たい蕎麦なのでしょうか?

もりそば

もりそば

うわぁ~!ちゃんとした「もりそば」じゃないですか!!(何度も食べてはいるのですが・・・)
ふたを開けた瞬間からフワッとそばの匂いが漂って、ボックスシートが蕎麦屋さん状態に。
そばとつゆは勿論、刻みネギ、わさび、七味、うずらの卵、デザートのみかんまで入っています。
今回は万全を期して予約(電話:01377-2-3131、水曜定休)して伺ったこともあり、出来立てをご用意いただきました。
本格的なそばを列車の中でいただけるとは、本当に有難い限り!

もりそば・そばつゆ

もりそば・そばつゆ

1人旅で長万部の「もりそば」を食べる時は、どうしても「つゆをこぼして服を汚したくないなぁ」と思ってしまいます。
なので、つゆをそばにかけて、”ぶっかけ”でいただくことが多いんですよね。
でも、今回は同行者がいるので「もりそば」としていただくことに・・・ついに念願が叶います!

出汁の香りを満喫しながら「秘伝のタレ」が入っているというつゆをトクトクと・・・。
刻み海苔をパラパラ、七味をサッと振って準備万端!

bl161021-7(ライター望月・もりそば)

もりそば筆者実食

満を持して「ズルズル~っ!」といただきます。
ディーゼルエンジンの唸りに負けないよう、わざと音を立てたり、独特の揺れに負けないようにそばを噛みしめたり。
鉄分旅としては濃いけど、そばのお味はサラサラっとイケる優しいあっさり味!
北海道・道南の鉄道旅では、コレが止められないのです!!

なお「もりそば」は、函館~札幌間の特急「スーパー北斗・北斗」の車内販売でも予約制で購入できます。
(札幌行下り「スーパー北斗5~11号」、函館行上り「北斗6~12号」」、水曜休み)

山線前面展望

山線前面展望

函館本線・普通列車倶知安行は、9月の平日ということもありボックス席が概ね埋まる程度。
地元のお客さんが時々入れ替わるほかは、山線ののんびり旅を愉しむ観光客が少しといったところです。
1両の気動車はアップダウンを繰り返しながら、ニセコ・羊蹄エリアの山並みに迫っていきます。
次回は、海外からのお客さんに人気!「ニセコの温泉」を目指します。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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