長万部駅「鮭めし弁当」(800円)~水もお湯も素晴らしい!ニセコの旅【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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ニセコ駅のキハ150

ニセコ駅のキハ150

長万部から函館本線(山線)を1両のキハ150に揺られて1時間15分あまり、普通列車倶知安行はニセコ駅に到着しました。
ニセコは、国鉄(JR)で初めて「カタカナ駅名」になった駅。
元々は昭和38(1963)年、ニセコアンヌプリ一帯が国定公園に指定されたのを機に、その玄関口として「狩太(かりぶと)駅」を改名しようという動きが起こりました。
しかし、当時の国鉄は「町の名前」と一致しない改名は認めなかったため、昭和39(1964)年に「狩太町」という町名を「ニセコ町」に改名。
晴れて昭和43(1968)年、函館本線に日本初のカタカナ駅「ニセコ駅」が誕生したわけです。
駅名のために「町の名前を変えた」町と言ってもいい「ニセコ」。
先人たちの思いに心を寄せるためにも、たとえ列車の本数は少なくとも、ニセコには鉄路で訪れたいのです。

(参考:ニセコリゾート観光協会、ニセコ町ほか)

甘露水

甘露水

ニセコといえば「名水」の里。
中でもよく知られているのが、ニセコグランドホテル前にある「甘露水」です。
昭和29(1954)年、この地を昭和天皇・皇后両陛下が巡幸されました。
ホテルに滞在された昭和天皇はこの湧水を召し上がり、大変喜ばれ「甘露である」と仰ったそう。
以来「ニセコ甘露水」として、ニセコを訪れた人たちに親しまれています。
ちなみに、北海道旅の定番のお供といえば「北海道キヨスク」が出している「緑茶うらら」。
不思議と駅弁によく合うお茶なんですよね。
この「緑茶うらら」にも、ニセコ山系の水が使われています。

大湯沼

大湯沼

そして、ニセコは北海道を代表する温泉郷。
ニセコは1ヶ所で温泉が湧いていたり、温泉街があるわけではなく、ニセコ町や蘭越町などにまたがって温泉が点在しています。
中でももうもうと湯気が立ち上っているのが、ニセコ湯本温泉の源泉となっている「大湯沼」。
元々は間歇泉だったそうですが、明治末期の開発で沼の形が変わってしまい、今のようになったといいます。
沼に隣接する「交流促進センター雪秩父」(大人500円)は、大人気の日帰り入浴スポットです。

紅葉音

紅葉音

この日、お世話になったのは、ニセコ湯本温泉「月美の宿 紅葉音(あかはね)」。
ニセコ駅から車で20分ほど、事前に伝えておけば、列車に合わせて送迎もOKです。
「紅葉音」は雪秩父と同じお湯で、56.8℃、ph3.9、成分総計557mg/kg、泉質は単純硫黄泉(硫化水素型)。
ガツンと温まるお湯にして、硫黄&泥たっぷりで肌もすべすべ!
1度風呂に入ったら、東京に帰っても硫黄泉の余韻が堪能できます。
ただ、源泉地帯にあるお宿ならではの悩みも尽きなくて、強い硫黄のために、宿泊部屋の電化製品は1年ごとに買い替えを強いられるそう。
またクレジットカード決済をしたくても、肝心の高価な機械がスグに壊れてしまうため、やむなく「現金決済」のみにしているといいます。
ちなみにコチラ、日帰りは受けず宿泊客も1日12組までなので、ゆったり良質なお湯を楽しめる上、夕食には舟盛りドーン!なお宿です。

ニセコには他にも様々な泉質の温泉があり、出来ればゆっくり滞在して、いろんなお湯を楽しみたいもの。
最大4つのお湯に入り比べることが出来る「ニセコ湯めぐりパス」(2160円、180日間有効)もあります。
ニセコは、水もお湯も素晴らしいのです!

鮭めし弁当

さて、函館本線(山線)の旅を愉しむなら、長万部か小樽で駅弁を買っておく必要があります。
長万部で既に紹介したかなやの「かにめし」、合田の「もりそば」は共に特急の車内でも買えます。
ただ、せっかく長万部で下りたからには、現地でしか買えない駅弁を手に入れたいもの。
そんな人にお薦めしたいのが「かにめし本舗かなや」の「鮭めし弁当」(800円・税別)です。
掛け紙に昔ながらの「鮭飯(あきあじめし)」と書かれているのも、北海道らしさが出ていますね。

鮭めし弁当

鮭&ご飯は、食べだすと止まらないテッパンコンビ!
特に鮭のほぐし身は、一度蒸してほぐし、「かにめし」と同じように、筍と炒ることで作られた独特の食感です。
加えて、一度揚げてから甘辛のタレに漬けこんだ鮭も載っています。
コチラも「揚げた」ことで鮭の表面にほんの少し出来る「サクッ!」とした食感がクセになってしょうがない!!
このわずかな「サクッ!」のためだけに、長万部で途中下車してもいいくらいです。
お店の方によると、旅好きの方には「かにめし」を外して、敢えて「鮭めし」を選ぶ人もいるのだとか。
長万部は「かにめし」も「鮭めし」も素晴らしいのです!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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