札幌駅の最も北側(北海道大学側)に位置する9・10番線ホーム。
ココから発車するのは「札沼線(さっしょうせん)」の列車です。
「札沼線」は札幌の1つ隣・桑園(そうえん)から石狩川右岸を北上、新十津川(しんとつかわ)まで76キロあまりの路線。
沿線に大学などが多いことから「学園都市線」という愛称で呼ばれています。
今回は早起きして札幌6:58発の普通列車・石狩当別(いしかりとうべつ)行に乗車しました。
乗車した721系は本来、快速「エアポート」用の編成で、指定席「uシート」の車両も自由席として普通乗車券だけで乗車可能。
たぶん地元の方には「乗りドク列車」の1つとして認知されているのかもしれません。
札幌への通勤ラッシュとは逆方向なので、2人掛けの座席に1人程度で、朝食を食べながら乗車する人も見られました。
沿線の学校へ通う高校生たちも、通学定期でリクライニングシートを倒して優雅な通学。
しかも少し郊外へ出ただけで、車窓には北海道らしい広大な土地が・・・。
敢えて地方都市の通勤通学列車に乗ってみると、その土地の生活感があって面白いんですよね!
列車は札幌から40分で終点・石狩当別に到着、7:45発普通列車・新十津川行に乗り継ぎます。
「札沼線(学園都市線)」は、この石狩当別付近で大きく性格が変わります。
札幌方面は、毎時ほぼ3本の列車が運行される札幌都市圏を構成する路線。
隣の北海道医療大学まで電子マネー「Kitaca」エリアとなっており、平成24(2012)年6月には電化されました。
しかし北海道医療大学以北は非電化、キハ40形気動車が2~3時間に1本程度、単行で走る超ローカル線です。
列車は30分ほど走って「石狩月形(いしかりつきがた)駅」で列車交換のため23分停車。
札沼線の石狩月形以北は、列車のすれ違いが出来ません。
そして私が乗った札沼線5425D・普通列車新十津川行、実は新十津川まで行く列車はこの列車のみ!
今年から札沼線・浦臼(うらうす)~新十津川間は「1日1往復」の列車だけが走る区間となりました。
当然この列車、かなり「鉄分濃いめ」の皆さんばかりです。
長い停車時間があると、私を含め「鉄分濃いめ」な人は、ホームから駅舎にブラッと出かけます。
石狩月形駅はこの駅以北へ向かう列車の「スタフ」と呼ばれる”通行手形”を管理するために有人駅になっています。
木造駅舎は自動券売機無し、窓口では昔懐かしい硬券(こうけん)タイプの「入場券」(170円)が販売されていました。
北海道はこのタイプの入場券が残っている所が多いのが本当に有難い!
鉄分濃いめの人を自然と「少しでも売り上げに”貢献”したい」という気持ちにさせてくれる「硬券入場券」です。
札沼線・石狩当別以北で、昔ながらのローカル線の旅を一層楽しむならやっぱり「駅弁」!
途中に駅弁のある駅はありませんので、始発の札幌駅で買い込んでおく必要があります。
北海道を代表する駅・札幌駅の駅弁を手がけるのは「札幌駅立売商会(弁菜亭)」。
数ある駅弁の中でも、大正12(1923)年からの歴史を誇るのは「石狩鮭めし」(1,030円)です。
現在の包装は「北海道の形」をした小窓から中味がちょこっと見えるバージョンですね。
包装を開けると、一面のイクラがキラキラとまぶしく輝いています。
イクラの醤油漬と鮭そぼろを一緒に頬張ると、口の中でプチプチ弾けます。
幾分、塩っ気が多めに感じるのは、きっと大正からの歴史の重み。
食べ進めるにつれて気付くのは、ご飯粒のすき間に見える刻まれた小さな「昆布」。
実は下のご飯は、昆布が炊きこまれた「昆布飯」なのです。
最近は首都圏でもお目にかかることが多い「石狩鮭めし」。
北海道旅のスタートとしては勿論、普段あまり北海道に行けない方は、北海道を思い浮かべるアイテムとしていただける駅弁です。
反対列車を待つこと20分近く、浦臼からの上り列車がやって来ました。
もちろんコチラもキハ40の1両編成。
次回はいよいよ、1日1本だけ列車が来る駅「新十津川」を目指します!
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/