北海道の普通列車の主役「キハ40」。
国鉄時代から活躍していますが新車投入も叶わず、減便されながら運行が続きます。
それでも広大な土地に敷かれた架線の無い線路をトコトコ走るのは、北海道ならではの風景。
鉄道趣味的には眺めているだけで心癒されるのですが、現実は厳しいものです。
残念ながら今、この画像のような風景を眺めることは出来ません。
実はこの駅、北海道南富良野町にある根室本線「幾寅(いくとら)駅」。
平成11(1999)年公開の映画「鉄道員(ぽっぽや)」の「幌舞駅」として一躍有名になりました。
しかし、南富良野町は、この夏「台風10号」で、大きな被害を受けてしまいました。
日本シリーズを制したファイターズ・栗山監督もインタビューで「今年の北海道は災害が多く苦しんだ方もいる」と仰っていましたが、幾寅地区もその1つです。
JR根室本線も甚大な被害を受け、現在も東鹿越(ひがししかごえ)~芽室(めむろ)間が不通。
特に東鹿越~新得間はあまりに被害が大きく、復旧工事の着手は来春と発表されています。
今回は取り上げることで「被災された皆さんに気持ちを寄せ続けることに繋がれば…」という思いを込めてアップしました。
(南富良野タウンガイド(JR幾寅駅) URL:http://www.minami-furano.jp/event-kankou/poppoya.htm)
所定のダイヤなら「幾寅駅」に停まる名物列車といえば、普通列車の「2427D」。
2427D列車は、滝川を9:40に発ち、根室本線をひた走って終点・釧路には18:01着。
運行時間「8時間21分」、日本一運行時間が長い普通列車として知られています。
私自身は、今から5年前の2011年に全区間乗車しましたが、途中の特急通過待ちなどが多いため、ホームを散策出来て、長い乗車時間の割に退屈しない列車でした。
勿論、現在は一部区間で運休しており、通しで乗車することは出来ません。
先月末以来、富良野~南富良野周辺からは、雪の便りも聞こえてきています。
雪が降りだすと、駅弁も「加熱式」が有難いもの。
今回は10月から今シーズンの販売が始まった、札幌のあったまる駅弁を紹介。
「札幌駅立売商会(弁菜亭)」の「あったか牛めし」(1,080円)です。
「2427D」が運行されていた場合、始発駅・滝川は駅弁がありませんので、札幌などでの駅弁調達が賢明です。
紐を引き抜いて、立ち上る湯気と共に待つこと8分。
香ばしいタレの匂いと共に、北海道産の「牛焼肉」と「牛肉煮」がダブルで登場しました。
「牛めし」を名乗る駅弁は、牛丼風のモノが多いんですが、両方食べられるのはちょっと嬉しい。
玉ねぎ、人参、シメジなどの煮物も、温野菜のようにいただくことが出来ます。
北海道ならではの小さい二重窓の気動車に揺られたら、やっぱり駅弁の1つは食べなくては!!
5年前の夏、幾寅の1つ隣・落合ですれ違った「キハ40」。
根室本線の富良野~新得間もこれまで紹介した「札沼線」「留萌本線」同様、今後については厳しい状況が伝えられています。
札幌と道東を結ぶ「根室本線」ではありますが、昭和56(1981)年に南千歳~トマム~新得間をショートカットする「石勝線」が開通。
特急のルートから外れた富良野~新得間は、わずかに普通・快速列車だけが設定されています。
自然災害による廃線は少なくありませんし、旅情だけで線路は残せるものでもありません。
それでも「鉄道員」「北の国から」・・・数々の作品の舞台となってきた「根室本線」。
「根室本線」の話題で感動の涙は流しても、哀しい涙は流したくないものです。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/