新千歳空港駅で発車を待つのは「北海道新幹線」ラッピングの733系・快速「エアポート」。
新幹線のイメージキャラクターを務めるのは、今や“日本球界の宝”大谷翔平選手です。
大谷選手が花巻東出身というのがポイントで、新幹線で「北海道と東北」が繋がったことを重点的に空港利用者に対してアピールしています。
なお、大谷「投手」の最速は時速165キロに対し、新幹線は青函トンネルで最速が時速140キロ。
安全が第一ですが、新幹線も大谷選手に負けないくらいのスピードと進化が期待されます。
さて、大谷選手といえば、投手と打者の「二刀流」!
実は新千歳にも、北海道を代表する「二刀流」弁当があります。
それは、新千歳空港駅で販売されている「佐藤水産鮨」の弁当。
佐藤水産といえば、恐らく「空弁」としての認知度のほうが高いハズ。
でも新千歳空港駅のホームでも、日中「駅弁」として台車売りが行われているほか、札幌駅構内のKIOSKでも販売があって、空弁と駅弁の「二刀流」弁当なんです!
新千歳・佐藤水産鮨の「二刀流」弁当を代表するのは「石狩鮨」(950円)。
誕生は昭和49(1974)年、日本航空の子会社(当時)が佐藤水産に『より北海道らしいお弁当を作ってほしい』と話を持ちかけたのがきっかけだといいます。
そこで、佐藤水産は製造ノウハウを持っていた鮭とカニを使った寿司を作ることに・・・。
この寿司に「佐藤水産」創業の地・石狩の名を冠して「石狩鮨」が生まれました。
今ではいくらが入ったバージョンやミニタイプなど、ラインナップも増えていますよね。
発売当初は、まだ飛行機の利用者も少なく赤字続きだったそう。
でも発売翌年、千歳に製造工場を作り、弁当をきめ細かく補給することが可能になってロスも減少、「石狩鮨」も段々と安定飛行に移っていきました。
今では千歳の工場は、24時間フル稼働で、その旺盛な需要に応えます。
「佐藤水産鮨」は、5年前から羽田空港第2ターミナルの「空弁工房」にも出店。
工房でも調製作業が行われて、店頭に「石狩鮨」が並びます。
中から一面のサーモンとズワイカニが現れると「北海道に来たなぁ」と思われる人も多いはず。
素材は1年で最も旬の時期にまとめて買い付け、冷凍しておくため安価で提供できるといいます。
ちなみに羽田の販売分は、朝イチで千歳で調製したものが搬入され、その後、羽田の工房で作られたものが加わっていきます。
千歳バージョンのほうが、保存性から酢をやや強めに〆ているそう。
羽田の売場では「出来たてが欲しい」「千歳バージョンが欲しい」などの要望にも丁寧に応えていただけました。
たくさん作られる弁当になっても「石狩鮨」のきめの細かさは健在!
このきめの細かさが、ロングセラーの秘密なのかもしれません。
空弁&駅弁の二刀流弁当「石狩鮨」、その存在感もますます大谷選手のように大きくなっています。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/