新宿駅「信玄どりとチキン弁当」(950円)~祝!あずさ50周年&石和温泉55周年【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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E257系特急「かいじ」

E257系特急「かいじ」

JR中央本線・大月駅に入ってきたのは、E257系の特急「かいじ」。
国鉄時代、急行「かいじ」はありましたが、特急としてはJR初期の昭和63(1988)年3月デビュー。
9往復あった甲府発着の「あずさ」を「かいじ」と改称、あずさの兄弟列車として生まれました。

この年は最高視聴率49.2%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)を記録した大河ドラマ「武田信玄」が放映された年。
武田氏ゆかりの史跡をはじめ、山梨が大きく注目された年でもあります。

参考:JR東日本八王子支社ホームページほか

信玄どりとチキン弁当

信玄どりとチキン弁当

E257系「あずさ・かいじ」の側面は「武田菱」をモチーフとしたデザイン。
側面のみならずドア回り、座席に至るまで、E257系には「武田菱」がいっぱいです。

そんな武田菱に囲まれていただきたい駅弁が、この秋、期間限定で登場しています。
NRE大増の「信玄どりとチキン弁当」(950円)です。
東京を代表する駅弁の1つ「チキン弁当」のスペシャルバージョンです。

信玄どりとチキン弁当

信玄どりとチキン弁当

スペシャルバージョンが登場したのは、12月で中央線特急「あずさ」が運行開始50周年を迎えるため。
これを記念して、長年「あずさ」として運行された183系特急電車の電動幕をモチーフにしたと思われる「記念ロゴ」も誕生。
「信玄どりとチキン弁当」にも、このロゴがプリントされています。
また「チキン弁当」のキャラクターも「武田菱」の兜をかぶって軍配を持ち武田仕様に・・・。
通常はオレンジのボックスですが、この駅弁では甲州ワインカラーになっています。

信玄どりとチキン弁当

信玄どりとチキン弁当

【お品書き】
味噌唐揚(鶏肉:山梨県産信玄どり、甲州味噌使用)
チキン弁当の鶏唐揚
二色パプリカ素揚
ポテトサラダ
スモークチーズ
トマト風味ライス(国産米)
彩り野菜ソテー
干しぶどう甘煮
錦糸玉子

定番の唐揚げに加え、山梨のブランド鶏「信玄どり」を甲州味噌で味付けした唐揚げが入って2つの味が楽しめます。
またチキンライスにも、彩り野菜ソテーが入って、見た目も華やかになりました。
東京・新宿・八王子・甲府の各売店で11/30まで(予定、無くなり次第終了)の期間限定駅弁。
また、開催中の「駅弁味の陣2016」にも参加している駅弁です。
通常の「チキン弁当」より100円プラスで、いつもと少し違う特別な「チキン弁当」を味わえますよ。

石和温泉駅

石和温泉駅

さて、50周年の「あずさ」や「かいじ」に乗って出かけたいのは、山梨の温泉!
中でもJRで一番ラクに行ける温泉といえば「石和(いさわ)温泉」でしょう。
「石和温泉駅」には「かいじ」を中心に一部の「あずさ・スーパーあずさ」も停車。
しかも駅舎とその周辺は、今年2月に完成したばかりでピッカピカ!
駅の発車メロディも、この新駅舎に合わせて「武田節」に改められました。

石和温泉・高熱温泉発祥の地

石和温泉・高熱温泉発祥の地

「石和温泉」は、山梨に数ある温泉の中では、比較的新しい温泉。
55年前の昭和36(1961)年、ぶどう畑で井戸を掘削していたところ、毎分1,200リットルもの温泉が湧出したのが始まりです。
湧き出した温泉は、そのまま川に流れ、「青空温泉」として大きな話題になりました。
温泉組合直営の「足湯ひろば」には「高熱温泉発祥之地」の碑も・・・。
でも「高熱温泉」ということは、それ以前に低い温度の温泉があったということでしょうか?

ホテル石庭・展望大浴場

ホテル石庭・展望大浴場

謎を解くためにやってきたのは、石和温泉では貴重な自家源泉を持つ「ホテル石庭」。
特に展望大浴場をはじめとした内湯は、甲府盆地の眺望をバックにお湯がしずしずと掛け流されていきます。(冬季加温、夏季加水あり)
44.7℃、ph8.8、成分総計240mg/kgのアルカリ性単純温泉で、成分も強過ぎず、肌に優しくて、とてもラクに入れるお湯です。
この「ホテル石庭」のお湯は「小松農場源泉」。
実は「小松農場源泉」というのが、石和温泉の歴史を辿る上では非常にエポックメイキングなお湯なのです!

ホテル石庭・総檜展望露天風呂

ホテル石庭・総檜展望露天風呂

宿の方によると「小松農場(小松遊覧農場)」は、今のJRA「ウインズ石和」の辺りにあった一大レジャーランドでした。
ココが1956(昭和31)年に温泉を掘削、「大ローマ風呂」なる施設で人気を博します。
実はこのお湯こそが、30℃台の”ぬる湯”だったのです。
この人気がきっかけとなって1961年の掘削、さらには温泉街の発展へと繋がっていきました。
後に「小松農場源泉」も改めて掘削を行い、今の高熱温泉に恵まれましたが、この「小松農場源泉」こそ『石和温泉の原点』!
石和温泉のルーツを辿る上では、決してスルー出来ないお湯なのです。

ちなみに、一般観光客が「小松農場源泉」の入浴出来るのは「ホテル石庭」だけ。
しかも自家源泉のお陰で、宿泊時はいつでもお風呂に入ることが出来ます。

参考:笛吹市観光協会HPほか(PDF)

ホテル石庭・貸切総檜展望露天風呂

ホテル石庭・貸切総檜展望露天風呂

「ホテル石庭」には、貸切総檜展望露天風呂(別料金)もあります。
コチラに注がれているのは、石和温泉の共同源泉のお湯で、45.9℃、ph9.1、成分総計348.9mg/kgのアルカリ性単純温泉。
2つのお湯に入り比べられるのは、お湯好きにはたまらないもの。
見た目は同じように見えますが、入り比べればきっと「お湯の違い」に気付くハズ。
新宿で「あずさ(かいじ)」に乗ってから2時間以内で、存分に山梨のお湯を楽しめるとは有難い限りです。

石和温泉駅のE257系電車

石和温泉駅のE257系電車

望月にとって、石和温泉のキーワードは「ラク」!
東京から「ラク」に来れて、体に優しい「ラク」なお湯で、お財布にも「ラク」なお宿が多い・・・。
富士山・富士五湖へも路線バス1本で「ラク」に行けて、戻るのも「ラク」です。
この気持ちの余裕があるからこそ、自然と「楽しさ」が生まれるもの。
「ラク(楽)」は「楽しさ」へのパスポートなのです。

50周年の「あずさ」に揺られて、55周年の「石和温泉」へ1泊2日のプチトリップ。
ぶどう畑の土の匂いを感じて、お湯と共にこの地の歴史に思いを馳せれば、リフレッシュした自分がいることでしょう。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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