瀬戸大橋線の主役、岡山~高松間の快速「マリンライナー」。
「マリンライナー」は昭和63(1988)年4月の瀬戸大橋開通で、それまでの宇高連絡船に代わって運行を開始。
現在、朝は高松4:35発の2号から、夜は岡山0:12発の77号まで、概ね30分間隔で運行されています。
高松寄り3両がJR四国5000系、岡山寄りの2両がJR西日本223系5000番台による5両編成。
特に1号車は2階建で、2階がグリーン指定席、1階が普通車指定席となっています。
運転席の後ろは4席だけのプレミアムな座席、グリーン車のパノラマシートです。
下り「マリンライナー」は岡山を出ますと、妹尾、早島、茶屋町、児島などに停車。
児島でJR西日本の乗務員から、JR四国の乗務員に交代して瀬戸大橋を渡ります。
児島からおよそ15分で早くも四国最初の駅・坂出、終点・高松までは55分ほどの所要時間です。
瀬戸大橋線は高速道路の下を通るため、鉄骨で視界が遮られることが多いのですが、所々で海の景色が存分楽しめます。
陽光にキラキラ輝く瀬戸内海と浮かぶ島々は、何度渡っても気分が良いものです。
こんな瀬戸内海を眺めていただきたい駅弁が「たこ飯と味わい弁当」(1,080円)。
調整元は、岡山駅弁・三好野本店です。
ゆでだこをイメージしたであろう赤い掛け紙には瀬戸大橋と瀬戸内海が描かれ、快速「マリンライナー」の主な停車駅が書かれています。
実はコレ、瀬戸大橋の本州側の玄関口・児島(岡山県倉敷市)をテーマにした駅弁。
三好野本店はしばしば、岡山のローカルなエリアにスポットを当てた駅弁づくりを行っていますね。
【お品書き】
鮭の白醤油焼き
鶏の照焼き
厚焼き玉子
椎茸煮
人参煮
ハスの辛子マヨ和え
ひじき煮
塩羊羹
たこ飯(岩だこ煮、瀬戸内いりこだし入り味付けご飯、青のり)
さくら漬け(漬け物)
児島周辺で「たこ飯」は、古くから漁師めしとして知られてきました。
いりこだしで炊き上げた「たこ飯」が、とても抑制の効いた量で好印象。
今の時代”美味しくてほどほどの量のご飯”って大事ですよね。
デザートには、児島で大正時代から続く老舗のお菓子屋さん「塩尻喜月堂」の塩羊羹。
倉敷ブランドにも認定された「野崎の塩」を使用、あっさりとした甘さが心地よさを憶えます。
そして、児島のもう一つの顔が「ジーンズの街」。
児島は「国産ジーンズ発祥の地」として町おこしを行っています。
このパイオニアブランド「BIG JOHN」の特製コースターも駅弁と一緒に付いてきます。
三好野本店では、前にもデニムの箸袋が付いた駅弁を購入したことがあります。
ご当地駅弁って食材ばかりに目が行きやすいのですが、地域の産業にも目を配った視野の広い駅弁づくりをされているのが面白いなぁと思います。
瀬戸大橋線が鷲羽山トンネルを抜けて、最初に渡るのが「下津井瀬戸大橋」。
この下津井沖で水揚げされるタコこそ、全国的に有名な「下津井ダコ」です。
「一年のうちおいしくない時期は3日しかない」とも言われますが、旬は秋から冬にかけての「寒ダコ」なんだそう。
快速「マリンライナー」の車窓からも、時折見える漁船と思しき小さな船。
瀬戸大橋を渡りながら、瀬戸内の冬の味覚に思いを馳せていただいてみてはいかがでしょうか。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/