寒い冬。犬に洋服って着せるべき?【ペットと一緒に vol.5】
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シングルコートとダブルコートについて
寒さがいよいよ本格化しますが、みなさんは、愛犬に洋服を着せていますか?
今回は、私がこれまで獣医さんやブリーダーさんやトリマーさんへの取材で得た知識をもとに、愛犬の被毛と洋服との関係についてまとめてみようと思います。
洋服を着せるかを検討する際に、まず、愛犬の被毛について知っておきましょう。
犬の被毛は、犬種によって、ダブルコートとシングルコートの2つのタイプに分かれます。
ダブルコートとは、アンダーコートと呼ばれる短めの下毛の上に、トップコートと呼ばれる比較的長めの上毛がある、2重構造タイプを言います。それに対してシングルコートとは、1層構造のタイプです。
愛犬がどちらのコートかは、ブリーダーさんに聞いたりネットで調べたりしてみてください。ザックリ述べると、寒冷な地域が原産の犬種の多くは、寒さから身を守るために保温性の高いアンダーコートを持っていると思っていただければ良いでしょう。
ダブルコートの主な犬種は、シベリアン・ハスキー、柴犬、ポメラニアン、チワワ、ラブラドール・レトリーバー、ウェルッシュ・コーギー、ミニチュア・ダックスフントなど。
シングルコートの主な犬種は、プードル、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、ビション・フリーゼ、パピヨン、イタリアン・グレーハウンドなどです。
寒さに弱い犬種は?
容易に想像できるかと思いますが、シングルコートの犬種は寒さに弱い傾向にあります。いつも温かい室内で過ごしているならば、外出時には洋服を着せたほうが愛犬もストレスなく快適に過ごせるでしょう。
けれども、洋服ならばなんでも良いかというと、そうでもないようです。私たち人間でも、冬にTシャツを1枚着たからといってそれほど体感温度が変わらないように、犬たちも薄着ではほとんど意味がありません。冬に防寒対策で着せるならば、最低でもウールやフリース素材の服がマスト。
さらに言えば、ウールのウェアは、人間同様に犬も風が通って寒いと感じるケースも。寒さが厳しいときや、イタリアン・グレーハウンドなどの寒さにとくに弱い犬種には、冷たい風にも無敵のウインドブレーカーやダウンウェアなどがおすすめです。
シングルコートかダブルコートかにかかわらず、毛が短い、チワワ、ミニチュア・ダックスフント、ミニチュア・ピンシャー、フレンチ・ブルドッグなども寒さが苦手と言えます。外出時には防寒対策をしてあげたいものです。
ちなみに、前述のイタリアン・グレーハウンドは、寒さによって耳が凍傷になることが少なくありません。冬の散歩には、耳をすっぽり覆えるスヌードもマストアイテムのひとつ。
また、体温の調節機能が低下しているシニア犬や病気の愛犬にも、必要に応じて防寒対策に洋服を活用してあげてください。
室内では洋服は着ないほうが良い!?
防寒のためには役立つ洋服ですが、愛犬にとってはデメリットもあります。
ひとつは、被毛と洋服が擦れて、被毛が切れたり傷んだりすること。
2つ目は、体温の調節機能を衰えさせてしまうことです。とくに、体温の調整機能が発達する子犬期に室内でずっと洋服を着させているのは好ましくないとか。身体の環境適応能力を養うためにも、子犬期は冬場の外出時以外はなるべく洋服を着せないで過ごさせるほうが良さそうです。
3つ目は、洋服によって通気性が悪くなり、皮膚トラブルの発症や悪化を招くこと。愛犬が皮膚に問題を抱えている場合、獣医さんと相談しながら洋服を着せるようにすれば安心です。
いずれにしても、健康のことを考慮すれば、室内では愛犬に洋服は着せないほうが良いかもしれません。
我が家の犬が洋服を着るとき
さて、最後は我が家の2頭の洋服ライフをご紹介しましょう。
ダブルコートで、さらに全天候型と言われる硬いトップコートを持つノーリッチ・テリアなので、オールシーズン、洋服はほとんど着せません。
が! 春のお出かけのとき、Tシャツなどを着せたりします。というのは、夏への衣替えとも言える換毛期の抜け毛がスゴイので。アンダーコートが、それはもう、ごっそり抜けます。それで犬連れ旅行でもしようものなら、抜け毛で、行く先々で迷惑をかけてしまいます。要は、抜け毛対策に洋服が重宝しているわけです。
これからが、冬本番。そして春へ。
今回紹介した内容をご参考に、愛犬が快適に過ごせる洋服ライフをぜひもう一度検討してみてください。
>>寒~い冬、愛犬とほっこりプチプラ室内遊び【ペットと一緒に Vol.6】に続く>>
連載情報
ペットと一緒に
ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。