一ノ関駅「いわいとりめし」(830円)~真冬のみちのく・とりめし雪中行軍⑥【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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東北本線701系

東北本線701系

岩手県内の東北本線も、ローカル列車の主役は701系電車。
基本はパープル帯の車両ですが、時々、「金帯」の701系電車に出逢えることがあります。
これは、平泉の世界文化遺産登録5周年を記念した「黄金の國、いわて。」という観光キャンペーンにちなんだラッピング電車。
今のところ今年(2017年)3月ごろまでの期間限定、2編成限定の“黄金”ラッピング車両。
「平泉へ行こう!」という時に遭遇できたら、とてもラッキーですね!

いわいとりめし

いわいとりめし

首都圏から平泉を目指す時は、東北新幹線の一ノ関駅が最寄りとなります。
一ノ関駅の駅弁屋さんは2軒あって、1つは前回ご紹介の「斎藤松月堂」。
もう1つが「あべちう」で、どちらも明治時代から一ノ関駅の構内営業に携わるお店です。
「あべちう」は元々、新聞などの売店から始まり、戦後間もなく駅弁にも参入しました。
新年1週目の特別企画、真冬のみちのく・とりめし雪中行軍の“トリ”を飾るのは、一ノ関駅弁「あべちう」の「いわいとりめし」(830円)です。

いわいとりめし

いわいとりめし

一ノ関駅のある岩手県南部は、「磐井(いわい)地方」といいます。
その「磐井」の名前を冠した岩手県産の鶏肉に「奥州いわいどり」があります。
これは、一関市にある業者が手掛けるブランド鶏の1つ。
ふたを開けると、この「いわいどり」のもも肉を使った「照り焼き」をメインに、そぼろ、つくねと「鶏づくし」のとりめしが現れました。
おかずは、椎茸・蓮根・人参・牛蒡・蒟蒻などの煮物と漬物というシンプルな構成です。

いわいとりめし

いわいとりめし

テカっと光るいわいどりの照焼を口に運べば、思いのほかソフトな歯ざわりでジューシーな食感。
さすがブランド鶏、これは食が進みます。
なのに程よい量で、駅弁としてはお得な「830円」という価格に抑え込んでいるのは見事。
一ノ関駅ではどうしてもご当地の牛肉・前沢牛などを使った牛肉駅弁に惹かれてしまいますが、どっこい「とりめし」もしっかり美味しいのです!
盛岡・東京などでも見かけることが多いので、今年の“駅弁初め”にもいいかもしれません。

東北本線701系

東北本線701系

「あべちう」の駅弁は、一ノ関駅構内のNRE売店のほか、地平駅舎に面した1番線にある「あべちう」による立食いそば屋でも取り扱っているのが特徴です。
以前、そば屋をフラッと訪ねた時は、この「いわいとりめし」の在庫が無かったタイミング・・・。
でも、比較的空いた時間ということもあって、店員さんが「ちょっと取り行ってくるね!」と云って、駅前の調製所まで走って取りに行ってくれました。
この「いわいとりめし」を見ると、あの時、息を切らしながら、私1人のために走ってくれた「あべちう」の店員さんの顔を思い出します。

そろそろ東京などでは駅弁大会が盛り上がるシーズン。
駅弁大会で興味を持った駅弁があったら、次はぜひ、自分の足で現地を訪ねて買ってみて下さい。
もしかしたら、駅弁が“自分だけの旅の思い出”を演出してくれるかもしれませんよ!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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