安房鴨川駅「さんが焼弁当」(820円)~早くも桜と菜の花の共演!お花畑の中を走る内房線【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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菜の花畑と209系

菜の花畑と209系

内房線の普通列車を和田浦駅で下り、20分ほど歩いて花園地区の花畑にやって来ました。
早くも南房総は、菜の花の季節!
いっぱい黄色い菜の花と青い海の間を、黄色と青の209系電車が走り抜けていきます。
この区間を走る列車は、1時間に1本ですので、もしも撮り損ねると、次は1時間待ち。
日中は近くの和田浦駅で交換(すれ違い)しますので、この2本のタイミングを活かしたいもの。

ポピー畑と209系

ポピー畑と209系

内房線の撮影ポイントとして有名なポピー畑も、チラホラと咲き始めていました。
花畑の農家の方の話では、「以前、南房総では珍しい雪が降った時があって、その時は早朝に来た4人だけがポピーに積もった雪と列車を一緒に撮影出来た」のだそう。

実は今週末、館山~安房鴨川~勝浦間では、房総観光キャンペーンの一環で、JR東日本の「D51 498」率いる「SL館山」号が走ることになっています。
元・プロ野球選手の屋鋪要さんのようなSLの“撮り鉄”の皆さんが、多く繰り出すことでしょう。

早咲きの桜と菜の花

早咲きの桜と菜の花

地元の方に薦められて、この花畑を俯瞰できる高台へ登ってきました。
日当たりのいいココでは、なんと!早咲きの桜が咲き始めているではありませんか!!
桜と菜の花と海とSL・・・この4つを1枚の写真に収められたら、それはもう感動的!
ちなみにこの辺りには、およそ60本の桜があり、今シーズンは、来月2月5日から「さくら祭り」が行われる予定になっています。

さんが焼弁当

さんが焼弁当

そんな訳で、この日は次の列車が来るまで1時間の日向ぼっこ。
桜並木の中には、ベンチも用意されていたので、駅弁片手にピクニック気分が堪能できます。
列車待ちの1時間、花見弁当代わりに、安房鴨川駅でご当地駅弁を仕入れてからやって来ても、良かったかもしれません。
そこで今回は、安房鴨川駅弁・南総軒の「さんが焼弁当」(820円)をご紹介。

さんが焼弁当

さんが焼弁当

「さんが焼」とは、新鮮なアジやサバをショウガなどと一緒に包丁で細かく叩き、ネギや味噌と混ぜ合わせて大葉で包んだ郷土料理のことです。
元々、半農半漁の地元の皆さんが、この地域で食べられていた「なめろう」を山の仕事の時に持っていき、山小屋で蒸したり焼いたりしたのが起源なんだとか。
山の家で食べたことから「山家(さんが)焼」になったといいます。
ちなみに、南総軒では、ワラサやサバを使っているそうです。
(参考:農林水産省・子どもの食育ホームページ)

さんが焼弁当

さんが焼弁当

「さんが焼」はいわば、魚のハンバーグ!
生姜と大葉などの薬味もたっぷり、南総軒十八番の「セロリの佃煮」も入って、箸が進みます。
程よく脂がのった感じの心ときめくテカリが、鮮度のいい魚が使われていることを伺わせます。

お店の方によると、「さんが焼」は特に鮮度が命で、鴨川の港に揚がってから時間をおかずにスグさばき、たたきにするなどの加工をして、真空で冷凍保存、需要に応じて出しているとのこと。
鴨川のように鮮度のいい魚が手に入らない所では、生臭さが残ってしまうために、「さんが焼」を駅弁にするのは難しいのだそうです。
当たり前のように生臭さを感じさせないところが、実は老舗のプロの技なんですね!
(「さんが焼弁当」の購入は、原則前日までの要予約、04-7092-4651、8:00~17:00)

菜の花畑と209系

菜の花畑と209系

地元の農家の方によると、和田浦の花園地区といえば、かつては「ブランド」として、出荷された花は高値で取引されていたそう。
でも、近年はすっかり輸入の花に押されてしまい、花農家をやめてしまう人も多いのだとか。
私自身、この地をゆっくり訪れたのは、およそ10年ぶりだったのですが、当時と比べても、荒れている土地がやや目立ったように感じました。
せっかくこの地を訪れたなら、ぜひ直売所等で花を買い求めて、全国的にも貴重な「花の中を列車が走る」風景を守りたいものです。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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