東京~秋田間は、最速の秋田新幹線「こまち」で3時間37分(下り最終「こまち35号」)。
日中はだいたい3時間45~50分程度で、秋田駅に到着します。
そんな秋田駅の新幹線ホームのお隣に、「試運転」と表示されたピカピカの電車を発見!
実はこの電車、今年春に秋田でデビューする予定の「EV-E801系」車両。
「EV」とは、JR東日本における「バッテリーで走る電車」のことです。
この電車にも「ACCUM(アキュム)」という愛称が付けられています。
「ACCUM」という愛称の電車は、既に栃木県の烏山線で運行されており、秋田は第2弾!
ただ、同じ「ACCUM」でも、秋田の車両はだいぶ見た目が異なります。
実は秋田で走る「EV-E801系」電車は、JR九州ですでに運行されているバッテリーで走る電車「BEC819系」を、雪国仕様にカスタマイズした車両なんです。
(参考:烏山線のACCUM)
カスタマイズが行われた背景には、「電化方式の違い」があるものとみられます。
烏山線の「ACCUM」が走る東北本線(宇都宮線)は、直流電化。
秋田の「ACCUM」が走る奥羽本線は、交流電化となっています。
電化方式が異なると、電車の仕組みも大きく異なり、独自開発にはコストもかかります。
そこで、JR九州が開発していた交流タイプのバッテリーで走る電車をベースに作ることで、コストを抑えながら、ローカル線に新車を入れることが可能になったという訳なんですね。
「EV-E801系」電車は、「男鹿線(おがせん)」での運行が予定されています。
ドアの脇には、男鹿線らしく「なまはげ」が描かれていますね。
既にダイヤも発表されており、秋田8:43、13:39発と、男鹿10:24、15:39発の1日2往復。
電化されている秋田~追分間の奥羽本線でしっかり充電、非電化の男鹿線はバッテリーで運行。
運行開始日は、改めてお知らせされるということです。(1/25現在)
(参考:JR東日本プレスリリースほか)
男鹿線は、去年(2016年)12月で、全線開通100周年を迎えました。
100周年記念のロゴマークも誕生。
私がたまたま手にしたのは「青なまはげ」でしたが、もう1種類「赤なまはげ」もある様子。
「なまはげ」って、もっと怖いものだった筈なんですが、最近は「ゆるキャラ」化も進んでいますね。
秋田~男鹿間は1時間くらいですので、ちょっと足を伸ばすには、丁度いいくらいかも!?
そんな記念ロゴマークのステッカーと一緒に秋田駅で販売されていたのは、秋田駅弁・関根屋の看板駅弁、平成9(1997)年の秋田新幹線開業に合わせて登場した「日本海鰰すめし」(1,050円)!
「鰰」で「ハタハタ」と読みます。
私自身も学生時代、秋田を初めて訪れた時、関根屋の台車売りで買った思い出の駅弁。
一時期、青を基調とした紙蓋でしたが、最近は昔の掛け紙に戻ってきましたね。
【お品書き】
秋田産「あきたこまち」米の酢めし
ハタハタ漬け焼
とんぶり
いぶりがっこ(人参)
錦糸卵
れんこん
ふき煮
ぜんまい煮
ごぼう煮
紅生姜
しそ杏
骨を丁寧に取り除いて、特製の醤油だれに48時間漬け込んで焼き上げたというハタハタ。
これを秋田県産「あきたこまち」の酢めしに載せています。
サイズを限定した、脂の乗った良質な秋田県産ハタハタのみを使用。
テカリを愛でながら、噛みしめた時に、脂とタレがジュワッと混じる感覚が何とも言えません。
良質のハタハタを確保するのは難しく、製造数が限定されているため、原則は完全予約制。
ただ、冬のハタハタ漁のシーズンは、ごく少数、秋田駅に並ぶ場合もあるとのこと。
もしも、予約をしていなくて秋田駅で見かけたのであれば、それはとてもラッキーかも!?
ぜひゲットして、秋田ならではの味覚を満喫しましょう!
(予約:018-833-6461「関根屋」)
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/