今や「乗ってみたいローカル線」の筆頭に挙げられる「五能線」。
その看板列車が、全席指定の快速列車「リゾートしらかみ」です。
五能線(ごのうせん)を全線走破して、秋田~青森間の所要時間は、およそ5時間。
でも、5時間乗っても、あっという間に時が経ってしまうのが「リゾートしらかみ」の魅力。
この日、秋田14:17発「リゾートしらかみ5号」に充当されたのは、黄色い「くまげら」編成でした。
五能線では90年代に入って、その美しい車窓にスポットを当てた列車が運行されてきました。
その1つの完成形となったのが、「リゾートしらかみ」。
平成9(1997)年3月、秋田新幹線の開業に合わせて誕生しました。
既存のキハ48形気動車を大幅に改造、大きな窓、展望席、リクライニングシート、乗車券のほか、指定券のみで乗れる快速列車など、東日本エリアにおける観光列車のスタンダードになりました。
「リゾートしらかみ」には3編成あり、最初に登場したのが「青池」編成でした。
「青池」とは、白神山地最大の名所に因んだネーミング。
今の「青池」編成は、初代のコンセプトを受け継ぎ、平成22(2010)年に登場した車両です。
コチラは、東北新幹線の全線(新青森)開業に合わせてデビューしました。
「リゾートしらかみ」のために、ハイブリッド式のHB-E300系が新たに造られたのも特徴的。
車両が改造ではなく新造になったことからも、「リゾートしらかみ」の人気ぶりが伺えます。
そして去年(2016年)、それまでのキハ48形気動車を置き換えてデビューしたのが、ハイブリッド車両・HB-E300系の「橅(ぶな)」編成。
「橅」のネーミングも、もちろん白神山地に因んだものです。
内装も「橅」にふさわしく、木材を多用したものになったそうですが、残念ながら望月は未乗車。
コチラはまた機会を改めて、「駅弁膝栗毛」でもご紹介したいと思います。
全線乗車すれば「5時間」ということは、ほぼ1回は列車内で「食事」の時間があるということ。
つまり、「リゾートしらかみ」の乗車に当たっては、「駅弁」が必須項目となってくるんですね。
それを見込んで「リゾートしらかみ」には、NREの車内販売の方が乗り込んでいます。
合わせて、「リゾートしらかみ」向けの駅弁も多く作られているんです。
今回はその1つ、秋田駅弁「関根屋」の「白神そだち あわび 五能線弁当」(1,300円)をご紹介!
【おしながき】
・あわび煮(秋田県八峰町にて養殖)
・味付ご飯(秋田県産あきたこまち)
・しそ巻き大根(秋田県北部の伝承漬物)
・みず醤油漬け(秋田・青森産)
・りんご煮(青森産)
・椎茸味噌
「関根屋」とJR東日本秋田支社の共同開発で誕生したというこの駅弁。
メインは何と言っても、秋田県八峰町(はっぽうちょう)で養殖されている「白神あわび」を使った「あわび煮」です。
「白神あわび」は、男鹿半島の天然昆布を餌に、白神山地から湧き出す清らかでミネラル豊富な水で養殖されたものなんだそう。
たっぷり載った「あわび」は、程よいコリコリ、甘めの味つけで食べやすく、箸が進みます。
デザートに「りんご煮」も入って、五能線が秋田と青森に跨る路線であることを感じさせますね。
白波が押し寄せる冬の日本海。
五能線の魅力は、何と言っても「海が近い」こと!
もちろん「リゾートしらかみ」は、絶景区間でゆっくりと徐行運転をしてくれます。
天気が良ければ青色が美しく、天気が悪くても鉛色の空に荒れる海は冬ならではの景色!
冬の日本海を眺めながら、のんびり駅弁・・・なんとも贅沢なひと時ですよ!
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/