1人で旅するなら圧倒的に楽しいのが、ローカル線の普通列車です。
その地域でないと乗れない車両。
ほどほどに空いた車内。
お年寄りや高校生がしゃべる方言。
コレにご当地の駅弁があれば、ローカル線旅“完璧”4点セットです。
メディアの仕事でも、ついつい聴きたく(見たく)なるのが、その地域ならではのローカル番組。
最近は「radiko」のお陰で、全国のラジオ局の“ローカルワイド”が楽しめるようになりました。
一方で、TVのラジオ化も進んで、地方のTV単営局にも、平日の夕方や週末の午前中などに、ローカルの“生ワイド”番組が編成されていたりします。
そんな秋田のTVのローカルワイド番組と「関根屋」のコラボで出来たのが、「秋田いろどり弁当『究(きわみ)』」(1,500円)です。
【おしながき】
きりたんぽ鍋風煮物
秋田の佃煮二種(特上白魚佃煮、わかさぎ唐揚)
ハタハタ唐揚げ みょうがリンゴ酢
ぼたっこ いぶりがっこ 白飯
秋田蕗とタコのうま煮
あわびごはん
白神お豚のトマト煮
白飯 真鯛田楽味噌 ミズ玉
翁飴
9つのマスに仕切られた“ご当地の味・オールスターズ”の駅弁。
ココまではよくある駅弁なのですが、興味深いのは「秋田の佃煮」が月替りになっていること。
偶数月は「菅英佃煮本舗」のもの(画像)、奇数月は「佐藤徳太郎商店」のものが入ります。
おかずでひと際存在感を示すのは、ホテルの料理課顧問が監修という「白神お豚のトマト煮」。
郷土料理だけでなく、ローカルブランド肉を使った“今どき”の駅弁に仕上がっています。
「関根屋」によると、最も調達するのに苦労した食材は、おやつの「翁飴」だったそう。
実はこの飴を作っているのは、秋田駅から特急で50分あまりかかる能代市の「桔梗屋」。
お店は文禄元(1592)年創業、「翁飴」は文化9(1812)年に出来たという歴史ある菓子です。
原料はもち米と大麦、砂糖・添加物を一切使わず、代々手作りで作られているといいます。
駅弁で能代の知る人ぞ知る銘菓を、ちょこっとでも味わえるのは、本当に有難いものです。
この駅弁、去年(2016年)9月11日に、およそ3カ月の予定で発売されました。
「関根屋」によると、現在は販売休止中ですが、概ね好評だったことから、春以降は販売を再開する可能性もあるといいます。
TV番組をはじめメディアとタイアップして生まれる駅弁は結構ありますが、ロングセラーとして定着しているのは、小淵沢駅弁・丸政の「元気甲斐」などごく一部。
桜の咲くころ、改めてお目にかかれるかどうか、温かく見守っていきたいと思います。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/