最も寒い時期になりました。積雪や悪天候のため散歩に行けない日は、愛犬の頭と体の運動を、室内でしてあげたいものです。
今回は、私が経営するしつけ教室に通う犬たちも夢中になる、プチプラ室内遊びをご紹介します!
遊びは飼い主とのコミュニケーション
寒さが苦手で「はやく帰ろうよ~」と外出するたびに訴えてくる愛犬と暮らしていたり、雪国で冬の散歩事情に悩みを抱える飼い主さんには、愛犬とご自宅で遊ぶことをおすすめします。
できれば愛犬は“ひとり遊び”よりも、飼い主さんと一緒に遊ぶのが理想です。遊びは、飼い主さんと愛犬の関係性を深めるコミュニケーションツールとして最適だからです。
今回は「散歩代わりになる」のがテーマなので、体を使う遊びをいくつかご紹介しましょう。
1) GO!GO!タオルまたぎ
タイトルそのままの遊びです。道具も、犬種のサイズによりますが、ご自宅にあるフェイスタオルかバスタオルでOKというノーコストを実現! 飼い主さんのお財布にもやさしい遊びです。
【準備】
愛犬が3~4歩ごとで「またげる」距離に、クルクルと丸めたタオルを床に置きます。
【遊び方】
飼い主さんは手におやつを持ち、愛犬の鼻先近くでおやつを嗅がせて愛犬がタオルをまたぎながら進むように誘導します。
誘導のコツは、ジャンプをさせないこと。ダイエットや本気のエクササイズではないので、あくまでも「ただ歩くより、頭や体の筋肉を使える」ようにするのが目標です。
シニアドッグや、パテラ(膝蓋骨脱臼)などの足腰に負担をかけられない疾患を持っている犬でも「またぐ」動作ならば安心です。また、またぐように意識することで頭を使えるのがこの遊びのメリットでもあります。
さらに、ジャンプさせずに上手にまたげるよう、飼い主さんのハンドリングの力量も問われるのでがんばってみてください。
2) タオル山ファイト
こちらも、自宅にあるタオルを使うだけのプチプラ度100%の遊び。愛犬には「ひとり遊び」をさせるので、忙しい飼い主さん向けかもしれません。
愛犬の「鼻を使いたい」という本能を満たして充実感を高めてあげられます。
【準備】
複数のタオルで山を作り、そのなかにおやつやドライフードをいくつか仕込みます。
【遊び方】
タオル山から少し離れたところで、愛犬に「マテ」をさせます。そして「よし」の合図でタオル内のおやつを探させます。
実は、この「マテ」がポイント! 人間同様(!?)、じらされることで対象物の魅力度アップが期待でき、愛犬の意欲を高めてあげられる(に違いない)からです。
タオル山と格闘すると、掘りながら前足を使ったり、首を傾けて鼻先を使ったり、後脚で踏ん張ったりと、様々な筋肉を使うのでちょっとした運動にもなります。
3)よいしょ! 椅子アップ
後肢の筋肉を鍛えつつ、どうするとご褒美を得られるのか考えることで頭脳も使う、トレーニング的な「遊び」です。
【準備】
100円ショップで売っている踏み台のような椅子でも、ご自宅にある小さな椅子でも、愛犬に合うサイズの椅子を用意して、カーペットの滑り止めのようなシートを上に敷きます。
【遊び方】
飼い主さんが手に持ったおやつで誘導したり、愛犬を自由にしながら、愛犬が椅子に手をかけたところで「よし」などのOKサインを出して、ご褒美をあげます。最初は片足を椅子の上に載せたら「よし」、そのうち両足を椅子の上に載せて5秒キープできたら「よし」など、徐々にレベルをアップしていけば、飼い主さんの達成感もアップするはず!
犬は上半身に重心をかけていることが多いと言われます。下半身の筋力アップのために、後肢で踏ん張る姿勢をさせてあげるのも効果的。すでに椎間板ヘルニアや股関節形成不全などを患っている犬には少々負担がかかるので控えたほうが無難なトレーニングですが、筋トレを兼ねた遊びは積極的に取り入れてあげたいものです。
4)古いおもちゃ改造・知育トイと格闘
「ピューピュー」と音が鳴らなくなったり穴が開いてしまった古いおもちゃ、実はまだまだ活用できるかもしれません。
最後は飼い主さんの懐にも体にもやさしい、リユースおもちゃのひとり遊びをご紹介。
【準備】
古くなったラテックス製のおもちゃなどの一部に、ドライフードを入れられる位の穴をハサミで開けます。そこに、ドライフードをいくつか入れれば準備完了。
【遊び方】
飼い主さんが忙しいときには、たまには愛犬にひとりで遊んでもらいましょう。そんなときに役立つのが、愛犬が鼻先や前足でコロコロと転がすと、開いた穴からフードが出てくる知育トイ。嗅覚を使うことで、頭の運動になります。体を使いながら部屋中を歩き回れば、軽い運動にもなります。
これはひとり遊びですが、労力を使って食べ物を得るという行為は、犬本来が持つ狩猟本能を刺激して満たしてあげられます。
犬にとって、退屈であることはストレスのひとつ。ひとり遊びでもよいので、なにか「ワーク」を提供してあげましょう。
以上、今回は4つのプチプラ室内遊びをご紹介しましたが、愛犬の日々に充足感を与えてあげることを目的に、散歩に行ける日でも、ぜひほんの数分でもよいので室内で遊んであげてください。
一緒に行った遊びをとおして、「やったー!できた!」という達成感を飼い主さんと愛犬が同時に味わえれば、心に一体感が生まれ、お互いの関係性もぐっと深まるに違いありません。
連載情報
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ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。