浜松駅「浜松三ケ日牛弁当」(1,240円)~登録有形文化財とみかんがいっぱい!天竜浜名湖鉄道【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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天竜浜名湖鉄道・TH2100形気動車

天竜浜名湖鉄道の「気賀(きが)駅」に、新所原(しんじょはら)行の下り列車が入ってきました。
気賀駅前には、大河ドラマではおなじみの「大河ドラマ館」が設けられ、遠州鉄道の路線バスが、龍潭寺、舘山寺温泉などと結んでいます。
公共交通を使って井伊直虎ゆかりの地を巡る上では、気賀駅が1つの拠点。
ホームの屋根にも、井伊の赤備えをイメージさせる装飾が施されていますね。

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天竜浜名湖鉄道・気賀駅

さて、この気賀駅ホームの屋根・・・、実は「登録有形文化財」となっています。
80年前の昭和13(1938)年に作られたものが、今も大事に使われているんですね。
この「天竜浜名湖鉄道」、67.7kmの沿線に、「36」もの登録有形文化財があります。
運行の拠点・天竜二俣駅に残る「転車台」や「扇形車庫」が文化財に登録されているのは勿論、
主な駅のホームや駅舎の多くが、文化財になっているんです!

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天竜浜名湖鉄道・気賀駅の駅舎

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天竜浜名湖鉄道・気賀駅の改札口

昭和13(1938)年築の気賀駅の駅舎も、「気賀駅本屋」として登録有形文化財に・・・。
待合室には当時からの木製ベンチが残り、改札口も木製のものが残ります。
多くの人が改札を通ったことで、角が取れて丸くなっている様子が何とも言えません!
何気ない天井ですが、実はベニヤ板が市松模様に貼られています。
質素ながら、さりげなくお洒落な駅舎に、昔の方の鉄道愛を感じずにはいられません。
参考:「天竜浜名湖鉄道」ホームページ>

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天竜浜名湖鉄道・気賀駅

気賀駅の駅舎には、地元の方がみかんの直売所を開いていました。
天竜浜名湖鉄道沿線、特に浜松市の三ケ日は、静岡有数の「みかん」の産地!
この日は、静岡を代表する品種「青島みかん」が、格安の1袋100円で並んでいました。
訊けば、本来はジュースなどの加工用に作られたものが余り、コチラへ放出されたそう。
産地ならではの格安みかんに出逢えるのも「天竜浜名湖鉄道」の旅の嬉しいところです。

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浜松三ケ日牛弁当

そんな「天竜浜名湖鉄道」の車窓に似合う駅弁といえば、「浜松三ケ日牛弁当」(1240円)。
調整元は、浜松駅弁の「自笑亭」です。
みかんの産地・三ケ日らしく、商品ロゴの色がオレンジと緑色。
鉄道趣味的には、オレンジと緑の組み合わせで「湘南色」と呼びたくなるものです。
東海道線東京発の“湘南電車”には、JRの初期まで「浜松行」もあったんですよね。

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浜松三ケ日牛弁当

みかんの産地として知られる三ケ日ですが、実は畜産も盛んな土地柄。
10数軒の農家が温暖な気候の下、およそ1500頭の黒毛和牛などを肥育しており、餌には三ケ日みかんなどを使用して、「JAみっかび牛」などのブランド名で市場に出荷しています。
甘味のある脂、きめの細かい肉質、ジューシーな肉汁などが特徴。
一面に敷かれた牛肉は、やっぱり食欲をそそりますね。
参考:「JAみっかび」ホームページ>

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浜松三ケ日牛弁当

三ケ日牛の下には、サフランライス(?)と勘違いしそうな黄色いご飯が顔をのぞかせます。
もちろんコレ、「三ケ日みかん」の果汁を混ぜ込んだ「みかんごはん」。
口の中でほんのり柑橘系の味わいがします。
冷めても柔らかい三ケ日牛ですが、味付けが少し甘めのたれですので、付添のわさび漬を使って、ピリッとさせていただくのがよさそうです。

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浜松市・みかん山の風景

「天竜浜名湖鉄道」の車窓を彩る、浜名湖北岸のみかん山。
柑橘類は、晴れた空にとてもよく似合います。
「天竜浜名湖鉄道」のワンマン列車には、ボックスシートも装備されています。
井伊直虎ゆかりの地を訪ねたついでに、陽の光を受けて輝く柑橘類を車窓から眺めて、沿線ゆかりの食材を使った駅弁旅を楽しんでみては?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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