チョン・ウソン×チュ・ジフン×ファン・ジョンミン×チュ・ジフンが修羅場を繰り広げる!【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第160回】

By -  公開:  更新:

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、3月4日公開の『アシュラ』を掘り起こします。

韓国映画史上、もっとも刺激的!傑作ノワールエンタテインメント

01(w680)

舞台は架空の都市、アンナム市。
刑事のハン・ドギョンは、私欲のためならあらゆる犯罪に手を染める市長 パク・ソンベによる悪事の後始末を金で請け負っていた。
末期がんの妻の治療費を言い訳に、金を得るために悪事を働くドギョン。
そんな彼の弱みを握る検事キム・チャインと検察捜査官ド・チャンハクは、市長の不正を暴くためにドギョンを利用する。
二人に追い詰められていったドギョンは、後輩の刑事ムン・ソンモをも悪事に巻き込むことに。
ドギョンを巡って検察と市長、それぞれの思惑が交錯し、生き残りをかけた戦いへと展開していく…。

02(w680)

「修羅になる」という言葉がありますが、本作はまさに地獄絵図。
悪人の悪人による悪人のための映画、それが『アシュラ』です。
キャストには、韓国映画界を代表する名優たちが集結。
重病の妻のために正義を捨てた汚職刑事にチョン・ウソン、私利私欲に溺れる市長にファン・ジョンミン、悪の道に巻き込まれていく後輩刑事にチュ・ジフン、善悪の見境をなくした検事にクァク・ドウォン。
韓国映画史上もっとも多い血糊の量にも屈せず、悪に染まりきった男たちの魂の叫びを痛切に演じ切っています。
“一筋の希望”なんて手加減は、一切なし!
極限状態の中で破滅へとひた走る究極の“修羅場”が繰り広げられます。

03(w680)

そんな本作の監督を務めたのは、『MUSA 武士』のキム・ソンス。
公開に先駆けた来日イベントでご一緒させていただいたのですが「元々、フランスや日本のフィルムノワールが大好きで、自分なりのフィルムノワールを撮りたいと以前から思っていた」と本作制作の動機を語ります。
しかし、登場人物は全員悪人。
舞台は架空の都市とは言えども、韓国の政治経済の闇の部分を連想させるような救いようのない過激なストーリーゆえ、当初はなかなか出資金が集まらなかったのですが、チョン・ウソンをはじめとするスター俳優たちが次々と出演オファーを快諾したことで、映画化が実現したとか。

04(w680)

映画のストーリーを盛り上げるうえで、悪役は必要不可欠。
一見するとラスボス的な存在に目を奪われがちですが、本作が焦点を当てているのは、出てくるなり一瞬でくたばってしまうような悪党の手下たち。
彼らを“社会のはみ出し者”や“人間のクズ”と、容易に切り捨てるなかれ。
理由は違えども、悪事に手を染めなければ生きていくことが出来なかった男たちの悲哀と悲痛が血しぶきとともに吹き荒れる、鮮烈な人間ドラマです。

05(w680)

アシュラ
2017年3月4日から新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
脚本・監督:キム・ソンス
出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、チュ・ジフン、クァク・ドウォン、チョン・マンシク ほか
©2016 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved
公式サイト http://asura-themovie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top