常陸大子駅「奥久慈しゃも弁当」(1,000円)~水郡線で名瀑・袋田の滝を訪ね、幻の駅弁を食べる【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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キハE130系気動車、水郡線・袋田~常陸大子間

水郡線の列車がゆっくり鉄橋を渡って、最大の中間駅・常陸大子にやって来ました。
キハE130系気動車は、電車のような3ドアのステンレス車両。
水戸とその郊外の通勤通学輸送にも対応しています。
普段はエンジンの音を響かせながら、久慈川沿いを軽快に走り抜けていきます。
そんな水郡線で行ける“沿線最大の観光スポット”といえば?

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袋田の滝

何と言っても、日本三名瀑の1つとされる「袋田の滝」。
滝へは常陸大子の1つ手前・袋田が最寄駅で、日中は滝の入口(滝本)へ向かう路線バスが運行される時間帯もあります。
初夏の新緑、秋の紅葉が美しいのは勿論ですが、冬は何といっても「氷瀑」!
この冬(2016~17年)も1月中~下旬を中心に、凍りついた滝が見られたそうです。

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袋田の滝

「袋田の滝」へは、昭和54(1979)年に出来た「袋田の滝トンネル」(300円)を歩いていきます。
トンネルの突き当り右手にあるのが、「第一観瀑台」(画像1枚目)。
そこからエレベーターで登った所に、平成20(2008)年に出来た「第二観瀑台」があります。
この第二観瀑台からは、水が四段に流れ落ちていく滝の全景を見ることが可能。
特に二段目の中央付近には「ハートマーク」が見えるといいますが・・・見つけられましたか?

bl170228-4(大子のひなまつり)

大子のひなまつり

今の時期、袋田の滝をはじめ、大子町各所で見られるのが「ひな人形」。
例年、2月から3月にかけて、町内およそ150か所の店などに「ひな人形」が飾られています
今年(2017年)は、2/18(土)~3/5(日)まで。
訪れた日は、常陸大子駅近くの大子町文化福祉会館「まいん」にもいっぱいのひな人形が!
お人形大好きな女の人には、たまらない風景かもしれませんね。

bl170228-5(玉屋旅館)

玉屋旅館

さて、時刻表で水郡線の「常陸大子駅」を見ると、しっかり「弁」マークが出ています。
常陸大子は、ローカル線では珍しい「駅弁のある駅」。
しかし、販売は駅構内ではなく、駅前にある「玉屋旅館」での販売です。
駅弁の種類はただ1つ、「奥久慈しゃも弁当」(1,000円)のみ。
そう!今年(2017年)1月、京王百貨店新宿店で行われた「第52回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」で“幻の駅弁”として評判を呼んだ、あの「奥久慈しゃも弁当」のお店です。

*こちらの記事でご紹介しました。↓↓
京王百貨店・新宿店「第52回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」開幕!ズバリ伝授・駅弁大会の楽しみ方三原則!!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

bl170228-6(玉屋旅館・大熊さん)

玉屋旅館・大熊充子さん

「玉屋旅館」の大熊充子さんと、およそ1カ月半ぶりの再会。
今回、京王百貨店への初出店に当たっては、様々な不安もあったそう。
今まで催事としては、毎年、水戸の京成百貨店で行われる駅弁大会には出店されていたそうですが、1日280個を作ったのが最大だったといいます。
しかし、京王では、1日最大「700個」!
京王百貨店のスタッフの皆さんに、とてもよくしてもらったお陰で乗り切ることが出来たと話します。

bl170228-7(奥久慈しゃも弁当)

奥久慈しゃも弁当

実は今回、お店を訪れる前に、私自身、ちょっと心配していたことがありました。
京王の初日に訪れた時は、歌舞伎紐で綴じられた「奥久慈しゃも弁当」だったのですが、玉屋さんが出店する最終日に訪れた時は、掛け紙が輪ゴムで留めるだけになっていたからです。
話を伺うと、京王では紐を結び過ぎて、途中で指先が痛くなり、結べなくなってしまったそう。
今ではすっかり復活されて、大子のお店では、歌舞伎紐で綴じられた駅弁に戻っていました。

bl170228-8(奥久慈しゃも弁当)

奥久慈しゃも弁当

改めて「奥久慈しゃも」とは、全国地鶏味品評会で1位に輝いたこともある鶏。
茨城県大子町周辺だけで扱われる貴重なブランド鶏です。
玉屋旅館の「奥久慈しゃも弁当」は、歯ごたえある奥久慈しゃものモモとムネ肉、さらに奥久慈しゃもの卵を使った甘い味わいが特徴の炒り玉子も入っています。
さらに、ささがきゴボウなども全て手作りで、その素朴な味わいが魅力です。

bl170228-9(奥久慈しゃも弁当)

奥久慈しゃも弁当

京王百貨店に「玉屋旅館」が出店していることは聞いていたけれど、タイミングが合わずに行けなかった方もたくさんいたようです。
中には駅弁大会の後、どうしても「奥久慈しゃも弁当」を食べたくなって、大子まで来てくれた人もいたといいます。
駅弁1つに東京都区内から3,348円(Suica利用)・・・、「幻の駅弁」のパワーはスゴい!!
改めて思うのは、「奥久慈しゃも弁当」は水郡線における鉄道文化の1つであるということ。
他のローカル線には無い貴重な文化を守っていけるよう、少しでも応援出来たら・・・と思います。

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キハE130系気動車、水郡線・袋田~常陸大子間

特急「ひたち」~水郡線の乗り継ぎで、東京~常陸大子間は概ね2時間半の旅。
日本有数の美しい滝、今だけのひな飾り、そして貴重な駅弁が水郡線で待っています。
春先の風は少し冷たくても、大子の皆さんのおもてなしの心は間違いなく温かい。
週末は、水郡線でのんびりとした時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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