あけの語りびと

ミスター・イエロー・ブルース 大木トオル~セラピードッグにかける想い①【上柳昌彦あさぼらけ】

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上柳)昨日は「あけの語りびと」という朗読のコーナーで色々お世話になりました。「ミスター・イエロー・ブルース」大木トオルさんです。こんにちは、宜しくお願い致します。

黒人ミュージシャンをバックにブルースを歌う大木トオルさん 撮影日1979年08月 写真提供:産経新聞社

黒人ミュージシャンをバックにブルースを歌う大木トオルさん=197908 写真提供:産経新聞社

大木)宜しくお願い致します。
まだまだセラピードッグというのが具体的に何をやるんだろうか…?という方も多いと思うので、改めてどういう犬なのかと言いますと。
セラピーは治療という意味ですから、高齢者や病気をなされた方の心身の病気をリハビリを通して治療する犬なんですね。癒しだけではないですね。
2年半の教育は必要ですし、四十いくつもの工程を経てなれるらしいですね。
現場が病院だったり、高齢者のみなさんとか障害者のみなさんがいるところに入りますから、例えばがんの延命であったり、そういうことにも携わるんですよね。

上柳)犬の存在、セラピードッグの存在というのは、癌になった方がその命を長らえることに作用するんですか。

大木)延命効果ですね。癌の場合は、歩行のリハビリとか、心身の問題が非常に大きいですね。生きる勇気であったり、毎日あって触れ合っていく中に非常に免疫が上がってくるわけですよね。それによって活性化効果をもっていくわけです。

被災犬の保護センターを開設する国際セラピードッグ協会代表の大木トオルさん(右)と訓練中の被災犬=2012年5月27日、福島県相馬市 写真提供:共同通信社

被災犬の保護センターを開設する国際セラピードッグ協会代表の大木トオルさん(右)と訓練中の被災犬=20120527福島県相馬市 写真提供:共同通信社

上柳)人間のもっている免疫力を強める。その力をセラピードッグは高める作用になるわけですか。

大木)リハビリも当然高齢者の歩行のリハビリであったり、認知症も色んな表情をもっていますからそれに対して少しでも記憶を取り戻したりする。
全く無表情だった認知症を患っているおばあちゃんが最初は犬を睨むような感じだったのが、何回も何回も会っているうちに表情が緩んで明るさが出て…と本に書いてありますよね。
触れることから例えば、高齢者は神経性のリュウマチが厳しいので、手がだんだん動かなくなりますから、それを触れることでリハビリをしていく。名前を覚えることから忘れかけいた家族の名前を引き出していくという効果ですね。
自然な感じで、リハビリの訓練師の方が一生懸命に動かしているのを、犬を触りたい撫でたいので指を自分から動かしていくことになっていく。

上柳)大木トオルさんは、ずっと日本で60年代後半はブルースシンガーとしてライブをやられていて、このあたりでテリー伊藤さんとの面白いお話をまたいつか伺いと思いますが、結核になってしまって入院してそれが治った時にアメリカに行かれますよね、76年。そこからニューヨークに行ってB.B.キングに会って二人でデュオやってという音楽のお話とは別に、セラピードッグというのはアメリカで初めて接する・・・という事で宜しいですか。

大木)そうですね。アメリカで65年歴史がありますから。向こうで私はミュージシャンですから、アメリカはライフワークっていうのを重んじるですね。私はその時に、子供の頃から犬との触れ合いが非常に長かったわけです。それでフローレンス・ナイチンゲールさんの作った高齢者施設に行くわけですね。そこで会うわけですね、犬たちに。
いわゆるセラピードッグに。
人に対するその素晴らしさ、犬の素晴らしさをもう一度感動しましてね。それで私はそのセラピードッグの育成を自分のライフワークに選んですね。

上柳)小さい時にご家庭の事情がちょっと複雑で、そしてなんかその時に自分がその心を穏やかにしてくれたのが飼っていた犬だったみたいですね。

大木)当時ね、私、言葉に障害があって、吃音だったんですね。重くてですね。吃音はあ行が言いづらくて、あいうえおの“お”の“お母さん”が呼べない子供だったんですよ。それで当然ね、戦後のすぐですから、町の子供たちとうまくいかないですよね。その時、我が家に愛犬がいましてね、それが雄一の私の友達でいつも一緒にいて、その子から私はたぶん生きる勇気を得られたと思うんですね。

上柳)それが、ブルースシンガー大木トオルさんの心の中にあったんですね。あの時の飼っていた犬が、、、

大木)忘れられないですね。出会いというか。

上柳)最初の大木トオルさんがセラピードッグを育成していこうという中で最初の犬になったのが、チロルという犬で。保健所のシステム、つまり捕らわれた犬がどうなっていくのかがわりと今報道されているんですが。五日間でしたっけ。

大木)そうですね。

上柳)部屋も変わっていくんでしたっけ。

大木)変わりますね。

上柳)そして五日目には殺処分になる。その現場にも行かれていますよね。犬はわかっているんですかね。

大木)分かりますね、ガスで殺処分をするんですけど、これを私がアメリカに渡った時にそれを非常に日本のことをアメリカのみなさんはよく存じあげていて、ガスでね、犬を殺す。自分たちは私もその愛護の中にいましたから、日本人わたしくらいでしたから、あなたの国にはねどんなに経済大国になってもこのことが行われている以上は私たちは認めない・・・と言われたんですよ。厳しい意見でした。現実でした。当時は65万頭の殺処分がガス室でね、行われているわけですから、年間。動物愛護ができたのは73年だったかな。そこがね、やっぱり命の損害とかね。虐待をしてはならないと書いてあるんですよ。法律では。しかしこれ国は守っていない。今も、5分の1は減りましたけれども、それでも犬猫が十数万頭がガスで殺されるという非常に厳しい状況が続いている。これは変えなきゃダメですよね。

上柳)大木トオルさんは、もうまさに殺処分になろうとする犬を救うべく、そして救った犬をセラピードッグにするるべく、国際セラピードッグ協会を立ち上げて代表になられているわけですから。その中でさっきでたチロルという最初の犬どこにでもいるような犬でしたよね、写真をみますと。

大木)あれは千葉県の生ゴミの中に捨てられていて、チロルが生んだ子供と一緒に捨てられたんですよ。それが出会いでして、それ保健所にも入るし、殺処分の前の日に救出したわけですけど、それがやっぱり名犬になってくれたわけで。

上柳)非常に才能があったみたいですね。

大木)もう生きることに必死でしたあの子は。私と一緒であれば生きていけるだろう・・・というような非常に情熱のある子で。ですから、私が長い間かかって作ったカリキュラムを。

上柳)四十五の工程があるというカリキュラム。

大木)これを普通2年半かかるんですよ、それを半年でクリアしたんですよ。すごかったですね。それが日本の第一号になるんですよ。

上柳)セラピードッグに認定された第一号ですか。

大木)それで私は捨て犬がセラピーになるチャンスがあるんじゃないかと。大きなかけでした。能力の問題もありますから。それから全国の施設へ入って、最初の頃は保健所の収容所を見せませんでした、悲鳴ばかり聞こえてきて。そういう時代でした。

上柳)後悔をしたくない。係りの方々もね、命を奪っていると分かっているでしょうから、「これも仕事なんだよ分かってください」というのもあるでしょうしね。

大木)厳しいですね。それからチロルの場合は、千葉県でしたから、そこから入って救出をして。第二のチロリがどんどん生まれてくる。全国回るようになって、捨て犬がセラピードッグになるという事がたくさんの皆様に伝わったひとつかもしれません。

「ミスター・イエロー・ブルース 大木トオル~セラピードッグにかける想い②」【上柳昌彦あさぼらけ】に続く>

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