さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、3月31日から公開となる『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』を掘り起こします。
忘れさせはしない、夫が輝いた時代を…
1963年11月22日、テキサス州ダラスでのパレード中、オープンカーの隣に座っていた夫が何者かに狙撃され、帰らぬ人となってしまう。
最愛の人を目の前で亡くした妻のジャクリーンを待ち受けていたのは、葬儀の準備、次期大統領の就任式への立ち会い、ホワイトハウスの立ち退き…。
悲しみに暮れる時間もないほど、様々な対応に追われることに。そんな中、事態が理解できない幼い子供たちにどう接すればいいか悩み、犯人に怒りを覚え、ジャクリーンの胸中にはさまざまな感情が入り乱れていた。
とりわけ憤りを感じたのは、事件直後から夫が“過去の人物”として扱われること。彼女は亡き夫の功績を単なる過去の遺物にはさせまいと決意。
ファーストレディとしての最後の使命を果たそうとする…。
ジャッキーの愛称で親しまれ、今なお高い人気を誇る世紀のファーストレディ、ジャクリーン・ケネディ。
本作はジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件をファーストレディの視点から描いた伝記ドラマ。
自らの信念を貫き、亡き夫が歴史的な人物として人々にどのように記憶されるべきかを方向づけるため、葬儀までの4日間にとった彼女の行動が本作では浮き彫りになっています。
ジャクリーン・ケネディを演じたのは、本作でオスカー候補にもなったナタリー・ポートマン。
入念な下調べと役作りを行い、外見だけでなく話す英語のアクセントや歩き方まで、生前のジャッキーを見事に再現。
ファッションアイコンとしても注目を集めた彼女が身につける、衣装やアクセサリーも存在感たっぷりです。
またナタリー・ポートマンと『ブラック・スワン』でタッグを組んだダーレン・アロノフスキー監督がプロデューサーとして参加、チリ出身のパブロ・ララインが監督を務め、ひとりの女性の美しくも気高い物語が誕生しました。
JFK(ジョン・F・ケネディ)を題材にしたドラマは数あれど、その隣にいたファーストレディに焦点を当てた映画は稀少かもしれません。
しかも本作でフォーカスしているのは、ジャクリーンのプロデューサー的手腕。
夫の存在がまるで美術品のように後世まで語り続けられるよう、そのイメージ戦略のために、閣僚やケネディ家の意向に反する独自の主張も貫いていく。
その結果、任期3年以下のJFKがリンカーンやルーズベルトに次ぐ人気大統領の地位を獲得していることは、皆さんも周知の事実でしょう。
まさに「歴史の裏に女性あり」ですね。
ジャッキー ファーストレディ 最後の使命
2017年3月31日よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
監督:パブロ・ラライン
出演:ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、ビリー・クラダップ、ジョン・ハート ほか
©2016 Jackie Productions Limited
公式サイト http://jackie-movie.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/