番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
今日は、ヘアスタイルに悩むお客さんたちを大胆なカットで変身させて、性格もポジティブに変えてしまう美容院のグッとストーリーです。
JR千葉駅から歩いて5分ほど、繁華街の中にある美容院「サリバン」。
黒髪を鮮やかなオレンジ色に染めたり、胸まであった長い髪をバッサリとカットして躍動感のあるショートヘアにしたり、大胆なイメージチェンジをお客さんに提案。
今までとまったく違う自分に変身させてくれる、と口コミで評判になっている美容院です。
「下は10代の方から、上は80代のおばあちゃんまで、幅広い方が “変身”しにやってきますよ」と言うのは、「サリバン」の経営者で、自ら美容師としてお店に立つ鈴木康之(すずき・やすゆき)さん・38歳。
この道に入って、かれこれ20年近く経ちますが、この美容院を開くまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。
19歳で美容師になった鈴木さん。様々な美容院を渡り歩いて修業を重ね、27歳のとき、当時働いていたお店のオーナーから、店長を任されました。ところが・・・そのオーナーが運転資金を持って突然失踪。材料費や広告費などの経費は、鈴木さんが自腹を切ることに。
しかしそれにも限界があり、努力もむなしく閉店。鈴木さんは職を失っただけでなく、お店が滞納した経費を、借金として背負うことになりました。当時を振り返って、鈴木さんは
「そういえば店長になってから、美容師の仕事よりも、お金のやりくりばかりに追われていたな…と反省したんです。この機会に、美容師を一からやり直そうと」
2006年、28歳になっていた鈴木さんは、千葉駅のそばにオープンした新しい美容院の採用面接を受けました。幸い、雇ってもらえることになりましたが、条件は「新人と同じ」。
受付業務やシャンプー係など、見習いがやるような仕事も担当してもらう、と言われたのです。
しかし鈴木さんはそれを厭わず、受付では、来店したお客さん全員に話し掛け、自分をPR。
さらに、カットを担当するお客さんとの会話の中身も変えていきました。
「それまでは他愛もない世間話ばかりしていましたが、お客さんがここに来た目的は何だろう?自分をどう変えたいんだろう?…それを聞き出すようにしたんです」という鈴木さん。
美容院にやって来る人は、ほぼ全員が「髪のことで悩んでいる」そうです。
特に女性は悩みだらけ。クセ毛だったり、髪質のことだったり…。鈴木さんはこう言います。
「コンプレックスを、自分の好きな部分に変えてあげよう…それが美容師の仕事です」
お客さんの悩みを真剣に聞き、その悩みを打ち破る髪型を積極的に提案していった鈴木さん。
「おかげで彼氏ができました」「おシャレな人、と言われるようになりました」。
そんな反響とともにどんどん指名は増え、3年ほどすると、売上げがトップになっていました。
オーナーはそんな鈴木さんを見込んで、店長に抜擢。実は当時、お店全体の売上げは芳しくなく、閉店の危機にありましたが、鈴木さんが店長に就任してから、わずか1年で過去最高の売上げを叩き出し、経営を好転させたのです。
2014年、36歳のとき、鈴木さんはお店の経営権をオーナーから買い取って、独立。
店名を現在の「サリバン」に変えました。
もちろん、お客さんの悩みを真剣に聞く姿勢は変わりません。
鈴木さんは美容師の仕事をもっと知ってもらおうと、去年の6月から新たに「THE HENSHIN.JP」(ザ・ヘンシン・ドット・ジェーピー)というサイトを立ち上げました。
お客さんたちの許可を取って、カット前と、カット後の写真を掲載。
10代から50代まで、50人以上の「変身例」を見ることができます。
さらにカット後の感想も一緒に掲載。「自分の髪が大好きになりました」「あ〜、いま幸せ感じてます」それを見て、勇気を出して「サリバン」にやって来るお客さんも多いそうです。
時には、家に引きこもっていて、何年も髪を切っていなかった人がやって来ることも。
「髪はその人が一生背負うものですから、自分も一生を預けてもらっている覚悟で髪を切っています」。
「誰にも、自分が気付いていない“いいところ”があるんです。それを見付けて、普通の人を輝かせてあげるのが、美容師の仕事の醍醐味ですね」。
【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2017年4月8日(土) より
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