今、欧米人旅行者のトレンドは中山道!【ひでたけのやじうま好奇心】
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江戸時代の5つの街道=5街道と言えば、東海道、甲州街道、日光街道、奥州街道、中山道。
ご存知の通り、開発によってどこも当時の姿を失っています。
国土交通省の調べでも、5街道のうちで、“歴史的な建物や史跡が連続して残っている場所”は、中山道以外の街道は0%。
しかし、中山道だけは7%。逆に言えば、1割弱が残っているのです。
よって、中山道は今も“人を呼べる街道”だと言うのです。
![妻籠宿](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/a0f493825bf5b16f5e8d3d59a3957c2e_sw680.jpg)
妻籠宿
さて、中山道の基本的なことを。
東海道とともに、江戸と京を結ぶ大幹線道路ですが、温暖な太平洋を行く東海道に対して、山岳地帯を通る中山道は、宿場は69、東海道より40キロも長い道程でした。
山あいの道だったこともあって、中山道では大名の泊まる本陣や、旅人が泊まる宿場の旅籠(はたご)が、宿場ごとにまだ残っていることも多い。
先人たちの足跡を感じられる、ということで、今も宿場を訪ねたりウォーキングしたりする人が後を絶たないのです。
中山道は、日本橋から出発すると最初の宿場が「板橋宿(いたばししゅく)」。
次いで、蕨(わらび)、浦和、大宮、上尾と埼玉を通り、高崎、安中(あんなか)と上州=群馬を抜けて、軽井沢から信濃路に入っていきます。
あなたの地元が中山道の宿場町、という方も多いことでしょう。
では中山道で観光客が多い宿場町と言えば、どこだと思いますか?
長野県塩尻市の「奈良井宿」(ならいじゅく)。63万人。
長野県南木曽町(なぎそまち)の「妻籠宿」(つまごじゅく)。48万人。
岐阜県中津川(なかつがわ)市の「馬籠宿」(まごめじゅく)。52万人。
どこも江戸時代さながらの景観を色濃く残している所ばかりです。
![宿場人気投票 NSD(なかせんどう)67 総選挙!! 草津宿 ~東海道と中山道が出会うまち~ 草津宿街道交流館│史跡草津宿本陣HPより](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/hpw680.jpg)
宿場人気投票 NSD(なかせんどう)67 総選挙!! 草津宿 ~東海道と中山道が出会うまち~ 草津宿街道交流館│史跡草津宿本陣HPより
ちなみに1年半まえに(平成27年11月)に行われた、中山道宿場人気投票「NSD(なかせんどう)67総選挙!!」では、1位 奈良井宿、2位 妻籠宿、3位埼玉の本庄宿という結果が話題になりました。
この中山道をどう楽しむのか。
その方法は、宿場へ直接出かけていって街並みを楽しむ。
これがほとんどの人で、一番オーソドックスです。
ちょっと健康を考えている人だったら、「中山道を歩く」。
ツアー会社の『クラブツーリズム』では、日本橋から京都・三条大橋まで33回に分けて、ガイド付きで宿場町を踏破するツアーを組んでいて、1回5,000円から3万円台。
好きなコースだけに参加しても良し、第1回から33回まで順番に参加しても良し。
もっと旅慣れている人は、例えば週1回、土日の休みを利用して、宿場から宿場へと歩いては東京へ戻り、続きは次の週にまた電車で続きの宿場へ出かけてスタートするという繰り返しで、のべ何週間かかけて歩き通す人もいます。
とはいえ、ピンポイントで宿場だけの雰囲気を楽しむ人が日本人のほとんど。
ところが、いま増えているのが“中山道を歩く欧米人”。
アジア人はあまりいなくて、ほとんどが欧米系です。
彼らの人気のルートは、まずは京都を何日かかけて観光。
そこから重いリュックを背負って歩き始め、2週間から1か月かけて、途中列車に少し乗ったりということもあるそうですが、ほとんどを歩き切るのです。
全長534キロ、峠越えがあるので五街道の中では最も気力・体力を必要とする中山道で、日本人がしないことをなぜ彼はするのか?
![Lonely Planet Japan(Amazonより)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/816jbOsOgZLw680.jpg)
Lonely Planet Japan(Amazonより)
そのきっかけはいろいろとあるのですが、まずは彼らのほとんどが参考に持ってくるというガイドブック「ロンリープラネットJAPAN」に、他の観光地よりもずっと行を割いて『中山道』が薦められているからです。
特に人気の長野の妻籠宿(つまごじゅく)について何が書いてあるのか?
ガイドブックを手に入れて、英文を日本語にグーグルの翻訳アプリで訳してみたところ・・・・
「妻籠は野外博物館のようである。
政府によって伝統的な建物の保護地域に指定されたので、電柱の様な現代的な開発で宿場を傷つけることは許されない。
また格子に囲まれた家屋や濃い色の木の屋根は、早朝の霧で特に美しい。
江戸時代、木曽地方では木の伐採が厳しく規制されていて、そんな中建てられたのに豪華な家というのがあるのだ。」
とまあ、日本のガイドブックにも見ない素晴らしい描写が書かれているのです。
一方、外国人が急激に増えたことに、中山道の宿場町でも肌で感じていました。
とくに欧米系に人気なのは、岐阜県の馬籠宿(まごめじゅく)から長野県の妻籠宿(つまごじゅく)への峠越え。峠を歩いて超える人の2人に1人は外国人となっています。
そこで二つの宿場が協力して、午前中に荷物を預ければ、車で次の宿場に届けてくれる、というサービスを始めました。(料金500円)
手ぶらで峠を越えられると、これが大好評なんだそうです。
![寺下の街並み(景観保護地区選定前)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/ac0439bb0983a353727fb0bcc164fcdf.jpg)
寺下の街並み(景観保護地区選定前)
![寺下の街並み(景観保護地区選定前)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/0dd0cdf5d45d0d76745953aec298c821.jpg)
寺下の街並み(景観保護地区選定前)
妻籠宿では、全国のどこよりも早く、景観の保護を昭和43年からスタート。
住民は「売らない・貸さない・壊さない」 という3原則をつくり、ここで生活しながら、江戸時代の町並みという貴重な財産を後世に伝えている選択をしたことが、今になって生きてきていると言えます。
我々からしてみれば、宿場こそキレイに古い町並みがあっても、あとは普通の街や道でつまらない。
一方、外国人が中山道で落とすおカネは、日本人の2倍。
主に宿泊費ですが、そこまでして歩きたいのは、「山、川、花、木々、田んぼ、畑。日本の自然が素晴らしい」「ひなびていて、結構。それが自然」という考えだから、なんだそうです。
テーマパーク慣れしている日本人からしてみれば、目から鱗ではないでしょうか。
外国人対象に、中山道を京都から日本橋まで、基本的に歩きで行くツアーは11日間でガイドがみっちりとついて、47万2千円。それでも、年間1,300人が利用。リピーターが3割もいると言います。
こうした外国人の動きをみて、まだまだ人を呼ぶために工夫できる事はあるのでないか?
中山道を抱える自治体では、今後さらに研究と取り組みが行われるとのことでした。
妻籠の今と昔 (「妻籠を愛する会」による)
![寺下の街並み(選定前)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/1b05e7dbceb8830098bc1e545dd317b3.jpg)
寺下の街並み(景観保護地区選定前)
![寺下の町並み(選定後)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/47f3247d7a9e9257fb428ede83252b44.jpg)
寺下の町並み(景観保護地区選定後)
![枡形跡付近(選定前)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/5c4fb532df36e21d23080da2228347c5.jpg)
枡形跡付近(景観保護地区選定前)
![枡形跡付近(選定後)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2017/05/2a8a5eb87078c4144c8f6a03e49b2a53.jpg)
枡形跡付近(景観保護地区選定後)
5月2日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より