さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、6月1日に公開となる『LOGAN/ローガン』を掘り起こします。
常識破りなアメコミ映画が、崇高な人間ドラマを奏でる
マーベル・コミックの大人気作品「X-MEN」で不動の人気を誇るキャラクター、ウルヴァリン。
彼を主人公としたシリーズの第3弾となる『LOGAN/ローガン』が、いよいよ日本でも公開。
ヒュー・ジャックマンはすでに、17年間演じてきたウルヴァリン役を卒業することを明言。
それだけに“最後”の戦いに注目が集まっています。
ミュータントの大半が死滅した2029年。
優れた治癒能力を持っていたローガンも、いまではその力を失いつつあった。
長年の激闘で疲弊し、生きる目的も失った彼は、年老いた“プロフェッサーX”ことチャールズ・エグゼビアと共にひっそりと暮らしていた。そんなある日、ガブリエラと名乗る女性から最後のミッションを託される。
それは絶滅の危機に瀕したミュータントに残された唯一の希望である少女ローラを、エデンと呼ばれる隠れ家まで送り届けることだった。強大な武装組織の襲撃を逃れながら、ローガン、ローラ、チャールズの3人は逃避行を繰り広げる…。
3本の鉄の爪であらゆるものを切り裂く、野性味あふれる孤高のヒーロー“ウルヴァリン”ことローガンを演じるのは、もちろんヒュー・ジャックマン。
起用された当時はまだ無名だったジャックマンを国際的スーパースターとして揺るぎない地位へと押し上げたのは、紛れもなくこの『X-MEN』シリーズであり、ウルヴァリン。
彼自身も「全力を出し切った」と語るほど、本作には“最後のウルヴァリン”の勇姿が刻み込まれています。
また『X-MEN』シリーズの中心的キャラクターである“プロフェッサーX”、チャールズ・エグゼビアに扮するのは、パトリック・スチュワート。
二人が演じるチャールズとローガンからは父と息子のような関係性が垣間見え、ドラマに奥深さを与え、涙を誘うことでしょう。
そして、物語の鍵を握る少女ローラ役の新星ダフネ・キーン。
あどけなく愛らしい雰囲気と、敵を目の前にした時に発揮する凶暴な戦闘能力のギャップが凄まじく、彼女の存在が本作をより鮮烈なものにしていると言っても過言ではありません。
3人のミュータントの行く末をじっくりと見つめる静かなストーリーにも、心が動かされます。
これまでも、アメコミの枠を超えたリアルな世界観とエモーショナルな展開で高い評価を得てきた同シリーズ。
今作では、完全無欠のヒーローの“老後”を描く…という常識破りな設定に驚愕することでしょう。
しかし、不死身の超人ではない“生身の人間”として描くことによって、130年間生き続けてきたローガンだからこそ持つ哀愁、気高さ、そして孤高の姿が鮮明に映し出され、その先には壮大な人間ドラマが待ち受けています。
17年間、9作品にわたってひとつのキャラクターを演じ切った、ヒュー・ジャックマンの集大成に相応しい一作です。
LOGAN/ローガン
2017年6月1日から全国ロードショー
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ダフネ・キーン ほか
©2017Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/