病院に急ぐべき前庭疾患!?老犬が急に首を傾げてフラフラに…【ペットと一緒に vol.32】

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病院に急ぐべき前庭疾患!?老犬が急に首を傾げてフラフラに…【ペットと一緒に vol.32】

筆者の12歳の愛犬にある日突然に異変が!
ピンと立った耳がチャームポイントのノーリッチ・テリアなのですが、右耳が下方に傾いてしまっていて、まっすぐ歩けなくなってしまったのです。
もしかして、老犬から増える「前庭疾患」かと思い、急いで病院に行ったところ……。


前庭疾患とは?

老齢になると発症しやすい神経症状に「前庭疾患」があります。
これまでに、何度か老犬がかかりやすい病気について取材したことがあったので、先日、12歳の愛犬が首を傾げて、片耳が真横に向かって傾いているように見えたときは「もしや! 前庭疾患では?」と思いました。

おおざっぱに言うと、内耳の近くにある前庭神経は、三半規管とともに平衡感覚を保つ役割を担っています。
この神経に炎症が生じると、バランスを取ることができなくなり、犬はまっすぐ歩けなくなったり、頭部を傾けたり、めまいが生じたりします。
そのせいで、気分が悪くなって嘔吐をすることも。

突発的に発症することがほとんどで、はっきりとした原因はわかっていません。

けれども、発症が疑われたら早急に動物病院を受診して、投薬を開始することが重要になります。

病院に急ぐべき前庭疾患!?老犬が急に首を傾げてフラフラに…【ペットと一緒に vol.32】

筆者の12歳の愛犬。あれ? 右耳が下方に落ちている!


急いで受診した結果

筆者も可能な限り早めに動物病院へ、愛犬を連れて向かいました。
到着すると、獣医さんは、愛犬を歩かせながらその様子を目で追っていました。
さらに、愛犬の顔に顔を近づけ、眼の動きなどをじっくりと観察しています。

う~ん。眼振もないし、歩き方も、ぐるぐるまわったりよろめいたりはしていないし、前庭疾患ではなさそうだけどね……

と、獣医の先生。

その後、レントゲン検査を行いました。

頭部と顔部のレントゲン検査の結果は、異常はありません。耳の内部を見てみましょう」と、先生が次に耳鏡で愛犬の両耳の内部をのぞいたところ……。
あ! 傾いているほうの右耳の内部は炎症を起こしていますよ。外耳炎ですね」とのこと。

病院に急ぐべき前庭疾患!?老犬が急に首を傾げてフラフラに…【ペットと一緒に vol.32】

愛犬の両耳をチェック

前庭疾患の症状は犬もつらいと思うので、正直、外耳炎だと聞いて少し安心しました。
と同時に、愛犬はこれまで外耳炎になったことがなかったので、驚きもしました。一般的には、垂れ耳よりも立ち耳の犬種のほうが外耳炎はなりにくい傾向にあるので、まさか自分の愛犬が12歳を過ぎて初の外耳炎になるなんて……!

ひとつ感じたのは、老犬になると、抵抗力や免疫力なども落ちてくるので、これまで罹患したことのないような病気にもなりやすいのかな? ということです。


恥ずかしながら、愛犬は……

動物病院では、点耳薬と内服薬の抗生剤を処方されました。

ちなみに筆者は、フィラリアの予防では昔から内服薬をチョイスして、愛犬の口に薬を直接入れて飲ませています。
病気をしたり老犬になって食欲がなくなったとき、食べ物に混ぜて内服薬を飲ませるのは苦労するだろうと思って練習を兼ねているのです。
ところが、点耳薬に関しては筆者も愛犬にするのは初めての経験です。

病院に急ぐべき前庭疾患!?老犬が急に首を傾げてフラフラに…【ペットと一緒に vol.32】

内服薬の飲ませ方は、口の奥に錠剤を放り込んで、マズルを少し握ってから愛犬がゴクリと言ったらOK

人間でも耳掃除不要論を最近は多く聞くようになったように、犬でも健康な耳環境にある犬には耳掃除はほとんど必要がないと聞いていたため、筆者も愛犬の耳の内部を刺激する経験はほとんどなし。
そのため、愛犬は点耳薬を差すといちいち驚いてしまうという状況に。
耳を触ったり、たまにはイヤークリナーなどをあえて使って練習しておけばよかったと後悔するハメになっています。

老犬になると、白内障やドライアイなどにもなりやすくなるため、点眼薬などを差す必要性も高まってくることでしょう。
そのときのために、新しいことを受け入れるのが苦手な年齢になっている愛犬にストレスをかけないためにも、若齢のうちから目薬を差す練習もしておけばよかったとも思います。
プラスチック製のしょう油差しに精製水を入れたものや、コンタクトレンズをする人間用の目薬を使って、目薬を投薬する練習をおやつを使いながら少しずつ始めてみようかと、遅ればせながら考えているところです。

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目薬の練習もしておけば、シニアになったときに飼い主さんも愛犬もストレスフリーに

また、前庭疾患のように、高齢になると発症しやすい病気が増えてくるので、事前にそれらの病気についての知識を頭に入れておいて、早期に対応ができるようにしておかなければならないともあらためて感じました。
シニアドッグとの生活に備えて、みなさまも様々なご準備はぜひお早目に。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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