6/27(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！④
経営者による初期判断の遅れが経営破綻を招いた
7:10～やじうまニュースネットワーク：コメンテーター富坂總(ジャーナリスト･拓殖大学教授)
欠陥エアバックのリコール問題で経営が悪化し民事再生法の適用を申請した件で会見するタカタの高田重久会長兼社長(左)吉田勉取締役(中央)清水博取締役(右)=20170626東京都千代田区 写真提供：産経新聞社
2008年に始まったリコール問題、9年かかって幕引きエアバックの欠陥によるリコール問題で経営破綻したタカタに対し、東京地裁は明日にも民事再生手続きの開始を決定する見通しです。民間の信用調査会社によりますと、負債総額はリコール費用を含め製造業で戦後最大のおよそ1兆7000億円の見込みです。
問題はそもそもエアバックを搭載した車が高温で湿気の多い環境に長時間置かれると、エアバックの作動時に金属片が飛び散る事故が世界各地で相次いだもので、アメリカでは少なくとも11人が亡くなっています。2008年に始まったリコールの対象は全世界で1億台を超える見通しです。ただタカタとしては自動車メーカーが要求した通りの製品を生産し供給してきただけだとしまして、事故は予見できなかったと訴えてきました。こうしたタカタと自動車メーカーの責任の押し付け合いを続けた結果、最初のリコールからおよそ9年でようやく幕引きとなりました。タカタの高田重久会長兼社長は昨日の記者会見で次のように述べております。
高田社長） 自動車メーカー様との合意に至らないまま、残念ながら米国司法省との合意による多額の罰金等の負担や、また取引金融機関様の弊社に対する姿勢もたいへん厳しいものになってきました。このままでは資金繰りが持たず、製品の安定供給を継続することができなくなるリスクがあると認識しております。
資金繰りが厳しくなったと。タカタは当初、裁判所が関わらない私的整理にこだわりましたが、総額1兆円規模のリコール費用を負担することになった自動車メーカーが納得しませんでした。タカタはエアバックではおよそ2割の世界シェアを持っておりますし、エアバックだけではなくてシートベルトやチャイルドシートも手掛けていて、自動車の安全関連では世界4大企業のひとつということで、こうしたことからタカタを強気にさせて話し合いが長引いたともいわれております。また一連のリコール問題では創業家出身の三代目である高田会長が記者会見を開いたのは2回だけ、2015年のアメリカの議会の公聴会にも姿を見せず、オーナー社長の当事者意識のなさに批判が集中し、世間を敵に回しました。タカタは今後、支援を受けるアメリカの自動車部品会社KSS(キー・セーフティ・システムズ)に1750億円で実質的全ての事業を譲渡しますが、このKSSという会社は去年6月に中国の自動車部品の大手の会社に買収されています。タカタと取引がある下請け企業は全国におよそ570社、従業員はおよそ6万人近くといわれておりまして、今後仕事が減るとこうした人たちの雇用にも繋がる恐れがあります。
問題が起きた時点で拡大生産をしなければ、小さな問題で済んだかもしれない高嶋) 問題が起きると初動に大きな問題があると必ず言われますが。タカタのエアバック問題というのも初めてニュースで聞いたときに、エアバックが作動したときに事故があったわけですよね？ 命を守るエアバックが、中の金属が飛び出して体に刺さって殺してしまったと。アメリカの議会で議員が「命を助けるべきエアバックが殺人の機械になった」と。ショックな話でしたよね。どうしてあのとき、押し付け合いではなくて回収をしなかったのか。
富坂) 対消費者ではなくて、対メーカーとしての仕事の仕方にあまりにもこだわっていたのかなと思います。企業の成り立ちからしてそうですが、最終的には消費者が使う物なので消費者への意識というのは必要です。ここで話し合う前にまずは消費者の対策をしなければいけない。リコールは2008年からと言われていますが、その前から不具合というのはいろいろ報告されていたみたいですから。変に拡大生産をしなければ、小さな問題で済んだかもしれませんね。
高嶋) エアバックで人が亡くなったという一次を持ってして、三代目社長が現地に行って科学的に全て明らかにして、悪いところはみんなの技術でカバーをして、と当たり前のことをやっていない。
富坂) 外国で外国人に物を売っているとなると、そもそも顔が見えないので。われわれも外国の製品で問題が起きたときにその人の顔が出て来ない。ワールドワイドに展開している企業はすぐにやらないといけませんよね。
高嶋) 結果的に中国が買ってしまったという話ですよね。
富坂) 中国がいま自動車産業をすごく買っています。デトロイトはすごい資本を入れていますよね。けっこう上手に経営すると思いますよ。
