ゼロ・オフ・ノン・レス あいまい表示の本当のところ
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残暑厳しい日々が続きますが、「カロリー」「糖分」を気にして飲み物・食べ物を取るようにしている方も多いでしょう。
そんな飲み物を選ぶとき、または食品を選ぶとき、いろんな表示がありますが、それが実はあいまいで、気を付けた方がイイ、というのが今朝の話です。
まずは「カロリー」の話。
ダイエットや健康のために、「ゼロカロリー」や「カロリーオフ」という商品を選ぶことも多いことでしょう。「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」は似ていて区別がつきにくい言葉ですが、どう違うのか、説明が出来ますか?
消費者庁が行ったアンケート調査によると、この区別について消費者の理解は進んでいない。正しく理解していた人は13.5%と低く、およそ70%もの人が誤って認識していることが分かっています。また、正しく理解していた人は若い年代で高く、60代以上の高齢者では低いという結果に。
それではその違いについてお話ししましょう。
ゼロカロリー、カロリーオフなどと強調することを「強調表示」と言うのですが、消費者庁のHPには、基準がはっきりと表示されています。
それによりますと・・・「カロリーオフ」の飲料は100mL当たり20kcal以下。「ゼロカロリー」の飲料は100mL当たり5kcal未満。「オフ」は「抑えている」「少ない」という意味ですから、「ゼロ」よりは“ある”ということになりますよね。
ただし、「ゼロカロリー」でも完全な0kcalでなくてもゼロと名乗れる、と認められているわけです。
・・・ということは、ペットボトルがだいたい500mlということを考えると、「カロリーオフ」1本は、100kcal以下、「ゼロカロリー」1本は、25kcal未満、のカロリーがある場合がある、ということになります。
「ゼロカロリー」については、他の言葉「カロリーゼロ」「ノンカロリー」と表現してもイイ、ということになっていますし、「カロリーオフ」は「ローカロリー」「低カロリー」「カロリーひかえめ」と表示してもいい。
まとめますと・・・カロリーのことをより気にしているのであれば、「カロリーオフ」の飲料よりも「カロリーゼロ」「ノンカロリー」を選んだ方がいい。
けれども、100mlあたり5kcal未満であれば「ノンカロリー」や「カロリーゼロ」という表示にしてもいいので、カロリーが全く含まれていないということではない。
例えば、100mlあたりに4kcalのカロリーが含有されている清涼飲料水なら、「ノンカロリー」「カロリーゼロ」という表示でも、1ペットボトルに実際には20kcalのカロリーが含まれていることになる、というワケです。
さらにカロリー表示については、あまり知られていない事実があるのですが・・・食品のカロリー表示には健康増進法によって、誤差が容認されています。
その理由は、食材には産地や季節、部位によって含有成分も違えば、調理法によってもカロリーは変わるから。ですが、その認められている誤差は「プラスマイナス20%」もの幅があるのです。
たとえば、店頭に並ぶ「500kcalの弁当」が、実際には600kcalであったとしても、何らおとがめはなし。
となると、この誤差を悪用して“過少申告”する、確信犯的商品もあってもおかしくないのですが、法に触れているわけではないことを付け加えておきましょう。
続いて気になるのが「糖類」や「砂糖」の表示について。
飲料に「糖類ゼロ」「ノンシュガー」「無糖」となっているのは、健康増進法に基づく栄養表示基準により、「糖質・糖類ともに100mlあたり0.5g未満であればゼロ表示」が可能。ですから、多少あっても範囲内であれば「ゼロ表示ができる」ことになります。
「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」と紛らわしいことありますが、「糖質」の一部が「糖類」だと思っておいてください。ですから、「糖類ゼロ」と表示されていても、「糖質ゼロ」や「甘くない」を意味するわけではありません。人工甘味料を含む場合があるためです。
さてもう一つ、「砂糖不使用」という表示があります。これは「ノンシュガー」「無糖」とは異なって、糖類が含まれていないことを意味するわけではありません。「砂糖不使用」は、加工の段階で砂糖を使っていないことをあらわすもので、食品本来の成分由来のショ糖が含まれている場合もあります。
また紛らわしい表示に、「甘さひかえめ」があります。これは、栄養表示を目的としたものではなく味覚に関する表示であるため、栄養表示基準は適用されていないんです。
もしダイエット中や血糖値が高い方でしたら、清涼飲料水を選ぶときに糖分がどれくらい含まれているのか気になるのではないでしょうかとはいえ、ゼロじゃなくてもゼロと言えるわけですから、糖質や糖類の含有量が記載されているとは限りません。
その場合は、食物繊維を多く含まない飲料であれば、炭水化物の含有量表示を参考にするといいのです。炭水化物というとご飯やパンのイメージが強いですが、飲料にも含まれています。炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質ですから、炭水化物の表示から糖分のおおよその量を把握することが可能です。
最後に・・・「ノンアルコール飲料」について。
「ノンアルコール飲料」と言っても、実は日本では「1%までならアルコールを含んでてもいい」というルールが認められています。つまり、1%未満のアルコール度数であれば、「ノンアルコール」として販売してもいいんです。
ちなみに、アメリカでは0.5%まで、EUでは1.2%までと、国によってもルールは違います。
しかしアルコールを摂取したくない人たちにとっては、アルコール度数1%でも多いですよね。
ですので・・・0.05%以下なら「アルコール0.00%」などと強調して表示してもよいというルールによって、世には「0.00%」が多く出回っているという仕組みです。
カロリーをできるだけ取りたくない。糖分は避けたい。そういう人ほど、ノン、レス、オフ、不使用の「あいまい表示」を正しく知っておいた方がよさそうです。
8月30日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
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