トランプ大統領が北朝鮮への軍事力行使をしない理由とは?
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9/5(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
電磁パルス弾の警戒も
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
10月10日に北朝鮮の弾道ミサイルが日本の上空を通過する可能性
韓国の情報機関、国家情報院が昨日、非公開の国会で報告したところによりますと、北朝鮮は今月9日の建国記念日あるいは来月10月10日の朝鮮労働党創建記念日に合わせて、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を通常の角度で発射する可能性がある、ということです。日本の上空を通過するかたちでミサイルを発射するおそれがあるという分析を示しています。
また韓国の宋永武国防省国防大臣は、北朝鮮が一昨日の6回目の核実験を通じて核弾頭を500キロ以下に軽量化や小型化するのに成功している、という見方を示しています。ただ小型化はされたけれども実戦配備するまでにはまだ到達していないとも述べています。さらに国情院(国家情報院)は、北朝鮮北東部の豊渓里にある核実験場の坑道4つのうち2つで、いつでも核実験が可能な状態だと説明したということです。
一方韓国の文在寅大統領は昨日、安倍総理大臣とおよそ20分間電話会談を行いました。
菅官房長官)今回の会談では、北朝鮮の脅威が増大する中にあって、今は対話ではなく圧力を掛ける局面であり、引き続き日韓米で緊密に連携していくことが重要である。この点で一致を致しました。
森田デスク)文在寅大統領は、アメリカのトランプ大統領とも電話会談をしまして、韓国軍が持っている弾道ミサイルの能力を高めるために、弾頭の重量の制限を今の500キロから1トンに増やすことで合意したということです。これで北朝鮮の軍事関連施設への攻撃能力が高まると見られています。また韓国国防省はTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)について、現在配備されているミサイル発射台2基に加えて、近く4基を追加配備すると発表しました。また宋永武国防大臣は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長ら北朝鮮の首脳部を暗殺する斬首作戦部隊を12月1日に創設し、実戦配備するということも明らかにしております。
一方アメリカのトランプ大統領ですが、3日のツイッターで「北朝鮮とビジネスをする全ての国との貿易停止を検討している」と、独自の経済制裁を大幅に強化する意向を表明しました。またマティス国防長官は、「北朝鮮の壊滅は望んでいないが、そうするための多くの軍事的選択肢がある」とこう述べて、威令の強い表現で警告しました。マティス国防長官はトランプ大統領に、軍事的選択肢について1つずつ説明をしたということです。高嶋)何やら風雲急を告げるというような感じです。極端な人は日本の核保有まで唱える人もいて。そういうのは絵空事からひょっとすると現実の話になっていくような、そういう背景すらあります。まず気になるのはアメリカのトランプ大統領、口は威勢が良いのですが、実際は果たしてどうなのか。富坂さんはアメリカのやる気、という点でどう思われていますか。
アメリカの北朝鮮への軍事力行使は自国メリットがない
富坂)私は正直どこまであるのかなというところはあります。あまり興味が無いのに突っついていると、大変なことになるのではないかということを心配しています。
私は国際関係を見るときに必ず利害を中心に見ます。では、アメリカが出てきて朝鮮半島で軍事力行使をする。この対価何ですか? ということを日本人に見えてないですよね。何を得るのですかそれで。そこが見えてないところで私はそれでアメリカがどこまでメリットを感じるのか、そこのところがちょっと疑問に思っています。
アメリカはなんだかんだ言いながら核を取り上げることよりも、自国のメリットが一番大事なのですから。高嶋)アメリカファースト。
富坂)もう1つ。北朝鮮に独自制裁をアメリカは最近しましたが、この北朝鮮の独自制裁をやった時に、実は北朝鮮だけではなく、ロシアとイランと北朝鮮3つ一緒にやったのです。それでペルシャ湾は今大変なことになっているわけですよ。ロシアと週末も外交施設を使わせないということでアメリカが潰しているわけです。その報復をプーチンさんがするのではないかということで今大騒ぎになっています。3つ同時に事構えるということはちょっと無いですよね。
高嶋)それと富坂さんの意見で思うのは、北朝鮮の金正恩は意外と冷静だという分析をされていますよね。
富坂)そうですね。今度のことについて国連安保理で非難されると、彼らは「自衛権を冒涜された」と言っている。安保理に我々の自衛権を冒涜されたと。きちんと理屈立って言っているところもある。
今回のことも乙支フリーダムガーディアンがあったから、我々もやったんだということを言っています。高嶋)米韓の軍事演習ですね。
富坂)はい。これは我々にとって理解できない理屈ですけど、通そうと、彼らなりのですね。というところは見えるところがあります。
高嶋)グアム島に飛ばさないで日本の襟裳岬の近くに飛ばして、あれ左になっちゃうとアリューシャンとかロシアの方に引っかかりかねない。もっと右行くと太平洋も東の方はいろいろ要衝の地がいっぱいありますから。
富坂)実はミサイル実験の中でグアムを狙ったものだけは、なんかこう歌舞伎じゃないですけども、ちょっと演技めいたことも見せましたよね。
アメリカも警戒する電磁パルス弾の脅威
高嶋)それと電磁パルス弾。日本の東京の上空かなんかでバンってやると人は死なないけど都市が死滅するというのですが、これ本当ですかね?
富坂)第1回目の核実験のときに、爆発力が足りないので、これは電磁パルスではないかという疑いが持たれたのですよ。それからアメリカではかなりこのことに対して警戒があって、今米軍のイージス艦なんか完全にそれに対策ができています。でも一般の都市はできてない。電磁パルスの影響で電気が止まります。そうすると携帯電話が何ヶ月も、下手したら1年とか2年使えない。電車が止まる。信号が全部止まります。
高嶋)都市機能が麻痺するってことですね。
富坂)一番大変なのは農産物が現地で腐る。東京湾もGPSがないと船は入って来られないので湾の外まで船が着いていても荷揚げできずに船の中で全部腐る。
高嶋)東京湾って複雑らしいですね。浦賀水道があったり、浅瀬があったり。
富坂)流通が止まると都市があっという間に飢えるということになります。だから戦争って、ひょっとしたら高みの見物できるんじゃないかって思ってる日本人がいるかもしれませんが、そういうことにはならない。
高嶋)そんなようなことも全部含めて最後は日本が割を食うんだという、あの説が一番嫌ですね(笑)。
富坂)そうですね、まあ単純にそういう風にはならないと思います。中国も話し合いでいくと思います。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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