なぜロヒンギャの人々は難民となったのか?
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9/21(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
ロヒンギャの難民40万人以上がバングラデシュに流れ込む
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
ロヒンギャが敵対視されるのはなぜか
ミャンマーのラカイン州に住むロヒンギャの人々が国境を越えてバングラデシュに難民として流入し、40万人を超える人々が雨ざらしや劣悪な衛生環境の中で生活している実態が明らかになっています。一連の問題について元外交官で作家の佐藤優氏はミャンマー内で敵視され新たに生まれた民族がロヒンギャであると解説します。
高嶋)ロヒンギャ難民がミャンマーの方から42万人流れ込んで、7割が女・子供・赤ちゃん・妊婦だと言われていまして、なぜこんなことになってしまったのですか?
佐藤)これは本当に難しいのですが、ひとことで言うと新しい民族がここ数十年の間で生まれつつあるということなのです。民族ができるときというのはいろんな要素があります。例えば言葉が違うとか、宗教が違うとか。でも何よりも重要なのは、その人たちがどう考えるか、あるいはその人たちを取り巻く別の人たちがどう考えるかという意識なのです。
敵のイメージを持ってしまっているときというのは民族が新しくできる。だからロヒンギャの場合は周りが皆敵に見える。更にミャンマー人を始めとして周辺の連中もロヒンギャが敵のように見える。ここから新しく民族ができつつあるのです。だからそれぞれの人たちから見え方が違うのです。
例えばある人たちは「これはイスラムの問題じゃないか、宗教対立じゃないか」と言うのですが、ミャンマーには他にもイスラム教徒がいます。その人たちはミャンマー政府、アウンサンスーチーたちを支持してロヒンギャ弾圧を支持している。逆に今度は、言葉の違いは大きいのですが、ミャンマー当局はイスラム教の少数派というよりも単なるテロリスト集団、政治集団と見ているのですね。高嶋)過激派がいるのですよね。
佐藤)どの組織の中にも過激派はいます。特に経済的なきちんとした発展をしていないでしょう。そうすると大体ケシ栽培に従事するようになるのです。麻薬を扱うところには必ず麻薬商人が来ますから、そうするとそれは犯罪組織です。
それから一部にどうしてもマフィア化した人たちが出て来るわけです。そうすると政治的な過激派よりも反社会集団のように見えるのです。ミャンマー人から多くの支持を得ているアウンサンスーチー氏は簡単にロヒンギャの人々を支援できない
高嶋)世界中は、アウンサンスーチーさんなんかはノーベル平和賞を受賞して「何よあの人、あんなに人が困っているのに何もしないぞ」というニュアンスなのですけどね。
佐藤)しかしロヒンギャをミャンマー人の大多数が敵と見ているわけですよね。その敵を助けるというのはスーチーさんの政権基盤が倒れるから、助けたいと個人的には思っていても助けられないですね。
高嶋)大義名分みたいな演説をしましたけど「ロヒンギャ」とはひとことも言わなかったというね。
佐藤)その通りです。それは“言えない”のです。となるとどういうことかというと、最終的にはまず難民。人道的な観点からまず国連が関与して、あまりにも武力奔走が続くようであればPKO(国際連合平和維持活動)によって抑えるというような形で、これは国連が出て来ないと解決しない段階に今近付きつつありますね。
高嶋)国連の事務総長もすごく深い関心を持っていますね。
佐藤)その通りです。だからこれはもう出て行く方向ですね。
ミャンマーに大きく進出している日本高嶋)しかしあの人たちは映像だけで観ると、過激派は別なのでしょうけど、殴られても蹴飛ばされても何の抵抗もしないのですよね。
佐藤)それは抵抗すればどんなことになるかというのが分かっているからです。だから抵抗できないのですよ。しかも抵抗すれば自分たちだけではなくてそのついでに他の連中もやってやるぞと、こういう状態になっていますからね。“敵”のイメージができているときというのはそういう風になるのです。
高嶋)ミャンマーの宗教指導者のトップまでもが口を極めて罵っているのですよね。「あんた宗教家でトップだろう」と思うのですが。
佐藤)そうなのです。まさに本当に敵に見えるのですよ。だから「存在しない方が良い」「いない方が良い」と、こういう風に見えるわけですよ。だからそういう風になるときというのはいわゆるエスニッククレンジング―民族浄化が起きるとき。ジェノサイドが起きるときというのは人々の心が変わってしまうのです。
これはユーゴスラビアもそうでした。つい1~2ヶ月前まで仲良く暮らしていた人が激しく憎しみ合う。ウクライナの東部でもそうでした。ウクライナ人とロシア人で。だからそういったことというのはどこでもあるのですよ。高嶋)生徒と先生が敵になったり、夫婦で敵になったり。今はアメリカも日本もわずかなお金を出しただけですけど、そんなので良いのですかね?
佐藤)これはその規模のお金では解決されない、これは最低限の見舞金のようなものなので。特に東アジアでミャンマーは日本も経済的に大きく進出していますからね。その観点でも日本も大きく関与していかなければいけない問題なので、今後日本の抱える外交問題の大きい問題になる可能性がありますね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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