いま、新たな革命の時『ブレードランナー 2049』
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第296回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、10月27日から公開の『ブレードランナー 2049』を掘り起こします。
本当の“人間らしさ”とは? 永遠かつ壮大なテーマに挑むSF超大作
1982年にリドリー・スコット監督が世に放った『ブレードランナー』は“映画界の革命”とも呼ばれ、いまなお映画ファンの間で語り継がれる名作です。
その続編が、35年の時を経て生み出されました。
前作から30年後の2049年の世界を舞台に、未来を知る鍵がついに明かされます。
2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。労働力として人間と見分けがつかないレプリカントが製造され、人間社会とは危うい共存関係にあった。危険なレプリカントを取り締まる捜査官はブレードランナーと呼ばれ、ふたつの社会の均衡と秩序を守る存在だった。LA市警のブレードランナー“K”はある事件の捜査中、レプリカントの開発に注力する科学者ウォレスの巨大な陰謀を知ることに。その闇を暴く鍵となるのが、リック・デッガード。かつては優秀なブレードランナーとして活躍していたが、ある女性レプリカントと共に姿を消し、30年間行方不明になっている。
Kはデッガードを探し出そうと奔走するが、彼には命をかけて守り続けてきた秘密があった…。
主人公のブレードランナー“K”を演じるのは、『ラ・ラ・ランド』で華麗なステップをみせたライアン・ゴズリング。レプリカントゆえ喜怒哀楽が薄く、しかし人間味も持ち合わせる“K”を彼が演じると、切なくも愛おしい存在に。
また前作で主役を演じたハリソン・フォードが同じデッガード役で出演。デッガードの姿がスクリーンに映った瞬間、前作からのファンならば鳥肌が立つことでしょう。
ほかにもロビン・ライト、ジェレット・レト、シルヴィア・フークスと助演陣も実力派が集結。
中でも魅力的だったのは、Kが唯一心を許すAIのジョイを演じたアナ・デ・アルマス。日本のアニメに登場する萌えキャラのような要素があり、とにかく可愛いんです!
前作で監督を務めたリドリー・スコットは製作総指揮にまわり、今作でメガホンを取ったのがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。『ブレードランナー』の信奉者であることを自他共に認めるヴィルヌーヴ監督が描き出した2049年のカリフォルニアは、ただひたすら美しく退廃的。
前作が持つフィルム・ノワール的な美学を踏襲しながらも、果敢にチャレンジし新たな世界観を作り上げたこの映像美もまた、映画的革命と言っても過言ではないでしょう。
“人間の魂のあり方の本質”という、前作からのテーマをさらに深く、力強く問いかける今作。ご覧になる前に、ひとつだけお願いしたいことがあります。
前作の『ブレードランナー』を事前に観てから、映画館に足を運んで下さい。
本来ならば、続編の場合、シリーズ初見でも楽しめるポイントをお伝えするのが私の信条なのですが、この作品に限っては前作を観ることで、より深い感銘を得ることが出来ます。
本作と向き合う2時間49分を、あなたにとって極上の映像体験の場にするために…。
ブレードランナー 2049
2017年10月27日から丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、ロビン・ライト、マッケンジー・デイヴィス、カーラ・ジュリ、レニー・ジェームズ、デイヴ・バティスタ、ジャレット・レト
公式サイト http://www.bladerunner2049.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/