ムハンマド皇太子の反腐敗運動はサウジを変えられるか?
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11/10(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
石油以外の経済改革を目指すサウジアラビア
6:32~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:ココメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
人口増加に伴い、国民に労働が要求されつつあるが、浸透していない現状
石油で有名な国、サウジアラビア。以前は「働かなくても暮らしていける」と言われたほどに豊かな国でしたが、近年では人口の増加に伴い、一人あたりのGDPは激減しています。そんな中、サウジのムハンマド皇太子が汚職対策委員会を率いて汚職根絶に乗り出しました。
高嶋)宮家さんが専門とする、中東のサウジアラビアについてです。今日の小さい記事で「反腐敗90兆円分、没収ねらう」とあります。以前に伺って驚いたのですが、サウジアラビアの王族の数は半端じゃないですね。
宮家)40年前に3,000人の王子様がいたわけですが、いまは人口が3、4倍になっているから、最低1万人は超えているわけです。
高嶋)その人たちは皆、王子の生活をしているのですか?
宮家)大変だと思うのですけどね。「王子だからヨットやクルーザーを買う」というのは、冗談じゃない。だって、石油の生産量は1,050万~1,100万バレルで、ずっとほぼ同じですから。値段もだいたい標準化したら、ようするに1人あたりのGDPが3分の1になってしまった、ということでしょう? それで王子様が4倍になって、同じ生活なんてされたらたまらないのですよ。サウジアラビアは人口が増えて、石油だけでは足りなくなっているのですよ。だから、ちゃんと働かなければいけないのに、働かなくなってしまっている。
サウジアラビアでの反腐敗運動は習近平がやっていることと同じ
高嶋)「ビジネスモデルの転換」とか、若い皇太子が出てきて言っていますが、なかなか動かないようですね。
宮家)そうですね。いままでは、兄弟同士で王位を継承していたのを、これからは親から子へ行く。これは、ある意味で周囲の同列の奴を、みんなパージして、権力を集中するのです。理由は、権力闘争だけではありません。これは、「サウジアラビアの社会を変えなければいけない。いままでのような石油漬けの生活ではダメで、ちゃんと額に汗して働け」と無理なことを言っているわけです。これは、ある意味では習近平さんがいま中国でやっていることと同じです。反腐敗運動をやって、大勢を逮捕しているでしょう? それを「権力闘争だ」とみんな言うのだけど、私に言わせれば、必ずしもそうではない。中国だって同じように利権はどんどん増え、国有企業が滅茶苦茶になっていて、これから経済を立て直そうと思うのなら、改革をしなければいけない。そのときに権力が集中していないと、みんな言うことを聞かないわけです。だから、それと同じことだと思います。どちらも上手くいかないと思うけど。
高嶋)しかし、ムハンマド皇太子。サルマーン国王の子どもだそうですが、32歳。32歳の人が、「反汚職委員会」というのをやっていて。それを率いて、あちこちを逮捕して回って。ほとんどが親族で、200人捕まえたとか。
宮家)これもまだ、氷山の一角でしょう。中国と同じで、逮捕しようと思えば、誰でも逮捕できますから。
皇太子は命懸けで国の体制を改善しようとしている
高嶋)だけど、変なことを言うようですが、ムハンマドは32歳でしょう? この人は「皇太子」という年齢ですが、サウジアラビアの皇太子は、73歳とか、そういうのばかりで驚いたことがあります。
宮家)兄弟で、横並びでやっているから。普通は縦なのだけど、横だったから。普通は若くて、ね。まあ、いろいろ違うのですよ。
高嶋)内部でここまでやられると、ちょっと不穏な空気になってきませんか?
宮家)それはそうでしょう。「いままでと、話が違うじゃないか」となる。皇太子の「このぬるま湯から抜けなければ」という姿勢は正しいけれど、正しいからこそ、反発があるはずです。昔、暗殺事件もありましたから、決して、甘く見てはいけないと思います。その意味では、いま皇太子は命懸けで国の体制を変えようと、改革しようとしていると思います。
高嶋)日本は、油の付き合いで長いですしね。
宮家)ええ。あそこは安定して貰わなければいけないと思います。ただ、改革をしないと安定しない、もしくはこの先危ういというのが分かっているから、我々も手伝わなければいけない。90年代に職業訓練施設を作ったりして手伝ったことはあるのですよ。だけど、働いてくれないのです(笑)。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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