変数の多いこの時代、世界情勢をどう分析するか?
公開: 更新:
1月4日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
喧嘩しない記者、先読みができない世界情勢
6:30~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
31日にはプーチンの年末演説。1月1日には金正恩の演説
年末年始、プーチン、金正恩の演説があった。変数が多くなっている現在、冷戦時代のころと違い、世界情勢の分析は難しくなっている。さまざまな要因が絡まるこの時代、各国からの情報をどう捉えるべきなのだろうか。
高嶋)佐藤さん、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
佐藤)新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
高嶋)ニュースは正月であっても関係なくありますが、いかがでしたか。
佐藤)私の場合はフォローしてる領域がロシアと北朝鮮になりますでしょ、いま。そうなると、ロシアの方ではモスクワ時間で30日に安倍総理宛のメッセージを発表があって、31日には年末のプーチンの恒例演説がありました。1日には私よりもうちょっと太目の偉大な指導者ですよね北朝鮮の。彼が演説をしたのですが、その処理に時間がかかりましたね。
高嶋)私なんかはああいうのは通り過ぎちゃうのですが、佐藤さんはその裏を分析するということで非常にきめ細かくやるんですよね。
佐藤)というか、変化を見るんです。今までと何の変化があるかと。
高嶋)やっぱり出ますか、そういうのは。
佐藤)出ます。例えば金正恩さんに関しては、皆は背広で出て来たということに注目してますよね。私がより注目したのは、金日成・金正日バッチがついてないことです。ということは、「僕はお父さん、お爺さんの言う通りにやってるんじゃないよ、自立してやってるんだよ。だから僕と取引の余地があるよ」ということなのです。
記者も官僚もマスコミも喧嘩をすることがなくなった
高嶋)佐藤さんの最新刊『一触即発の世界』が出ました。
佐藤)時事通信社から出した本です。
高嶋)これ講演録まとめたようですね。
佐藤)講演録ですが、いろいろと手を入れています。時事通信というのはAFPと提携してるんですよね、フランス通信と。だからフランス通信の写真がふんだんに、かなり格安で使える。その分、写真を多く入れることができて読みやすくなっています。
高嶋)この本の中で情報を提供されたマスコミとか、そういうものを書いている記者などに対して手厳しい注文をつけていますね。
佐藤)この時事通信の講演というのは各地方の地場の信用金庫とか地銀の幹部であるとか、商工会の幹部であるとか、あるいは地方の行政の人たちを中心に話をしてるので、新聞情報だけだと間違えちゃうことがあるのです。そこを中心に扱っているので、ちょっと辛口になってるところはあります。
高嶋)記者の力が弱くなってるとかね。
佐藤)それは確かにありますね。
高嶋)良い人間が多いけども、手厳しい記者が少なくなった。
佐藤)喧嘩するのが嫌いなんです。若手の官僚もそう。だから有識者と議論するとすぐ「仰る通りですね」という予定調和的におろしてしまう。だから昔の尖がってる感じというのは官僚にも記者にも薄れてきてますね。
高嶋)ひょっとするとマスコミもそうかもしれませんね。同じような景色なんですよね。
佐藤)率直にいうと私もそうですよ、先読みができないんですよ。
変数が多くなり、世界情勢の分析が難しくなった
佐藤)変数が多くなっている。東西冷戦のときみたいに共産主義対資本主義、あるいは民主主義対独裁という、簡単な図式ではわからないわけです。だからそういう風になると、3ヶ月後の米朝関係どうなっているかの分析が難しい。もし今ここではっきり分析できるという人いるとしたら、その人は嘘つきか分かってないかどちらかです。もしくは、思い入れで言ってるか。
高嶋)それほど難しい時代だっていうことですね。
佐藤)バタフライ効果なんてよく言われるんですけどね、複雑系で。アマゾンで蝶々が羽を一回振ると、今度はアメリカで大嵐が起きる。こういう、さまざまな要因が絡まる時代になってます。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00