会社や工場で働いた経験のない人の議論する「働き方改革」って?
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2月22日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
働き方改革関連法案と裁量労働制
7:17~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
裁量労働制不適切データが新たに117件発覚
厚生労働省は裁量労働制を巡る新たな不適切データが少なくとも117件見つかったと明らかにした。国会答弁で加藤厚生労働大臣がなくなったと説明していた労働時間に関する調査に使った資料が厚生労働省の地下室で見つかったということである。
森田解説委員)改めて裁量労働制ですが、実際に働いた時間に関係なく、予め決められた時間を働いたとみなす制度でして、弁護士や記者などの専門業務型、それから企画などを担う事務系の企画業務型。この2つのタイプがあります。主体性を持って労働者が仕事ができる反面長時間労働を助長するという指摘があります。今回の働き方改革関連法案ではこの裁量労働制を一部営業職などにも拡大しようということが盛り込まれています。今回新たな不適切データ少なくとも117件見つかりましたが、これは事業所ごとに調査をして一般労働者の残業時間を記入した原本でして、具体的にはある労働者の1日の残業時間が45時間、一ヶ月で13時間24分などとなっており、これはどうも聞き取りをした労働基準監督官のミス、あるいは集計したときの入力ミスの可能性があるということです。こうしたデータについては当初厚生労働省内で見つからなかったために、厚生労働省がその後データを集計した業者に問い合わせたところ厚生労働省に返しましたよと返答があって、それで再び探したら一昨日地下室で見つかったということです。政府は法案に盛り込む裁量労働制度の適用拡大。それから高収入の一部専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度。この施行期日を予定より1年遅らせて2020年4月とする検討に入っています。厚生労働省は3月上旬に法案を提出する方向に変わりはありませんが、与野党の対立が激しくなってきていますので、成立は早くても6月以降になるのではないかとみられています。
高嶋)この裁量労働制。裁量のどのくらいの時間に裁量するかというのは極めて問題ですよね。ここになんかあやがありますよね。
経営者有利の裁量労働制
佐藤)勿論、そのあやがむしろポイントで、大昔19世紀の終わりにマルクスが資本論の中でこんなことを言っています。「個数労働制と時間労働制がある」と。個数というのは裁量労働制です。例えばこの靴を30足つくったらいくらと。ところがそれは最終的には時間労働と同じことで、なぜかというと個数労働・裁量労働の方がノルマが上がってしまうからなのだと。だから裁量労働というのは経営側にどっちかっていうと有利に働くのですね。だって営業職でこれだけのことをやれと言われるとしたら、この時間でやれだから賃金いくらだとことだけど、できませんでしたと言うと役人でもサラリーマンでもそうだけども「あいつ仕事遅いな」、その一言で片づけられちゃいますよね。
高嶋)そうするとそのノルマ、裁量はこの範囲、ここまでやんなきゃだめだよっていうのをやるためには相当なオーバーワークしなきゃいけないっていう人も出て来てしまう。
佐藤)そういうことです。そしてそれに関しては報告しないというのが文化になると、こういう風になっちゃいますよね。
高嶋)電通のまつりさん事件のあれで残業時間をちゃんと報告しなかったと。職場の空気で少なめに報告せざるを得ないという、あんな空気にまたなるという。
民間の工場や会社で働いたことのない人が議論している「働き方改革」
佐藤)それはもう目に見えていますよ。ですから思うのは、今回議論している人たちの中で工場とか営業とかその辺で10年以上働いたことある人はどれくらいいるのかしら。
高嶋)政治家はいないでしょ。
佐藤)そうすると自分がそこで仕事したことないので皮膚感覚でわからないですよね。それから霞ヶ関のような、私だって300時間なんて超過よくありましたからね。そういうようなところにいる人たちが働き方って皮膚感覚でわかるんですかね。
高嶋)24時間戦えますかが当たり前になっている人と、経験のない人と。
佐藤)その人たちが時間いかに短くするかって難しいと思うんですよ。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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