全人代から見る、中国の抱える迷いとは?
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3月20日(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
中国・資本主義の経済と左寄りの政治の矛盾……
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター富坂聰(拓殖大学教授・ジャーナリスト)
習近平氏一人の国と化す中国、国民の困惑~経済と政治のアンバランス
中国で開催された全国人民代表大会(全人代)においての習近平氏の憲法改正への反対票が極めて少なかったことや、昨今の中国における社会主義への取り組みと資本主義的な経済の矛盾について、富阪聡に訊く。
高嶋)富坂さんは全人代の取材に長くいかれたのですが、中国は習近平さんの一人の国みたいになっちゃいましたね。
富坂)そうですね。この全人代で憲法改正していろいろと出てきている流れの中で、「あれ? この国どこに向かって行くんだろうな」ということに中国の人々も迷い始めたということが印象に残る全人代だったと思います。中国が今向かっている方向というのは、例えば社会主義の中国で左のバネがきき始めているというアンバランスな状況です。
中国をどこに持って行くのかということは、すごく重要な問題で、昨年の末に所有制、個人の財産なども無くしてしまう、個人所有なんか無くしてしまえばいいじゃないかという論文が中国社会に真面目に出てきているのですよ。そういうのに対して、いまお金儲けをして一生懸命頑張ろうとしている人はドキッとするわけですよ。それが今回の全人代でそういう方向に持って行かれると「えっ」て感じですよね。82年あたりに逆戻りする全人代
高嶋)憲法の中に習近平さんの考え方が直接反映されているとか、見ていて不気味で嫌な感じだなと思うのは、賛成票が2900に対して反対が0。反対0なんていう国・組織はろくなもんじゃないですよ。あり得ない。
富坂)昔、全人代はゴム判会議って言われていました。党会議で決まったことをポンって押すだけのゴム判会議って言われていたとき、そのころは確かに反対0票なんですよ。
反対票が出て来るのが82年とかそのぐらいからなのですが、そのぐらいまで戻った感じがありますよね。デジタル分野で中国がすごく伸びている、ライフスタイルも変わっている中でかえってそっちだけ左寄りに舵を切っている。このアンバランスが何を意味しているかということが実は大きな迷いの部分なのですよ。アンバランスな中国政治
高嶋)ちょっと読み解くことが難しいという。
富坂)だから大抵の人は、これはしばらく様子を見ないとわからないと言いますよね。
高嶋)習近平さんは毛沢東になりたいんだなんて言ってる人がいますけども、何なんですか?
富坂)少なくとも社会主義というシステムが一回、89年の党革命で駄目の烙印を押されたのですが、意外にシステムとして悪くないのではないかということを再認識しようとしてるということは間違いないと思いますよ。ただ看板として掲げているだけという時代から、そうではなくてこれ真面目に人間を後押しするシステムとして悪くないんじゃないかなということを見直されている。
日本と中国の今後の関係
高嶋)そして、対日、日本はどうかということですが、中国経済は「チーム劉」が主導ということです。劉鶴さんという方ですね。日本にとっては今度の中国の全人代はどう捉えたらいいのですか?
富坂)外交的には安定すると思います。習近平も多分日本と戦うつもりは全くなくて、穏やかにな方向に持って行く。ということはあれだけ強いトップがいれば変わらないですよね、ずっと。だから対外的には問題ない。
中国が生み出した大きな誤差の危険
高嶋)トータル的に言って、経済は強力に資本主義を伝承していますよね。だけども政治は一気に左にグッとクランクを曲がったみたいなことで、このアンバランスさというのは、これからどうなるのかということは非常に心配ですよね。
富坂)そうですね。大きな変な誤差ができたので、それが5年後にどれだけ広がるかがちょっと心配になります。
高嶋)世界でも初めての実験みたいな感じですか?
富坂)まあそうなりますね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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