ロボットがもたらす素晴らしい未来図
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4月6日放送 ゲスト:ロボットクリエイター 高橋智隆 第4回
高橋智隆氏製作のロボットは、流線型で親しみやすいデザイン。二足歩行の人型のコンパクトなサイズで、歩く・踊る・言葉を話し理解する・コミュニケーションをとれることが特徴。
代表作のひとつにシャープと共同開発したRoBoHoN(ロボホン)がある。
ロボットが進歩するテクノロジーを人間に通訳
黒木)おはようございます、黒木瞳です。毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺っていくあさナビ、ゲストは株式会社ロボ・ガレージ代表のロボットクリエイター・高橋智隆さんです。
ロボホン君がおりますよ。こんにちは!
ロボホン)コンニチハ! よろしくね!
黒木)フフ、よろしくお願いします。高橋さんは近い将来、スマホの代わりに小型ロボットと一緒に出かける時代がくると仰っていますが、「ロボットがもたらす未来」をどのようにイメージしていらっしゃいますか?
高橋)これだけいろいろなテクノロジーによって生活が豊かになって、また情報がこれだけたくさんあって、いろいろなサービスがある。でも最後には、人とそうしたインターネットや機械の接点が大事になってくると思います。いま話題のAIも、最後は「AIの判断をどう人に伝えるか?」、あるいは「人からどう情報を取っていくか?」というところに、必ずインターフェイスと呼ばれる、人と機械、人とコンピュータとの通訳みたいなものが必要になってきます。それこそがこういうコミュニケーションロボットの役割じゃないかな、と思っています。
黒木)ですから、「これからの時代、必需品になっていくだろう」と?
高橋)そうですね。いろいろなものが、勝手にインテリジェントに動いていく。例えば自動運転の車は勝手に動いていく。でも、そこで「何が起きているのか、何をして欲しいか」というところで、こういうロボットが間に介在するのだろうな、と思います。
難解な取扱説明書もロボットがわかりやすく解説
黒木)取扱説明書を読むのって大変じゃないですか。細かい字で書かれているし。だから、「○○の××」ってメーカーを言うと、そのトリセツ(取扱説明書)の代わりをやってくれるとか、あるといいですね。
高橋)多分、トリセツ(取扱説明書)の存在が、こういうAIやロボットが出てきた1つの理由だと思っています。トリセツってどんどん分厚くなって、もう説明書が読み切れないんですよね。
黒木)逆に使いこなせないですよね。
高橋)機能も性能もおなかいっぱいなので、そうなってしまう。そうすると、次は人が使いやすく、意識しなくても自然に使いこなせるようなものが求められます。iPhoneはその思想で設計されていますよね。
黒木)そういったことも、役立つだろうということですよね、ロボホン君たちが。
高橋)そうですね。なので、ロボット自体が……「ロボット」と言うと「機械の究極」みたいに思われますが、むしろ進化していった機械の一方で置き去りになっている人間に対して、よりフレンドリーなものとして生み出されています。
黒木)イメージだと50センチくらいあると思っていましたが、こんな背広のポケットに入るなんて思っていなかったので、意外でした。
携帯用のロボットを海外に広めることが次の目標
高橋)結局、家に置いておくロボットだと、固定電話に近いような扱いになってしまいます。1日の間の家にいるときだけ、家族共用で使うことになってしまう。そうではなくて、個人用の端末として持ち出せるものにしたい。だからこそプライベートな情報を与えたいし、その人に合ったサービスを返してくれる。そのためには、このサイズでもまだ大きすぎるくらいだと思っています。
黒木)携帯用のロボホン君にするには、ね。
高橋)もう一回り小さくしたいです。
黒木)これからの目標ですね!
高橋)そうですね。
黒木)ほかにはどんなものを作っていかれますか?
高橋)基本的にこういう人型ロボットを作っています。サイズは小さめのものが多いですね。それで、コミュニケーションがとれる。いまの興味は、これを日本だけでなく、アメリカや中国でも広めていくということです。
黒木)そのためには、大量生産をしていかないと。手軽には求められないですからね。高橋さんは「最もクールな発明(米タイム誌)」とか、「未来を変える33人(ポピュラーサイエンス誌)」とか、素晴らしい受賞をされていますが、やはりみなさんが未来に期待されているのでしょうね。
高橋)そうでしょうね。それこそ、ロボットは大昔から人類の憧れでした。でも最近まで、期待ほどのスピードで進化しなかった。それがここに来てようやく、急成長し始めた。そんな分野かな、と思います。
黒木)これからもコミュニケーションが沢山できるロボットの研究を頑張って下さい!
高橋)はい。ありがとうございます。
高橋智隆/株式会社ロボ・ガレージ代表
1975年生まれ。
立命館大学・産業社会学部に入学。1年間留学し1998年卒業。
翌年、京都大学工学部に入学。2003年の卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を創業。京都大学内入居ベンチャー第1号となる。
2004年には代表作「クロイノ」が米タイム誌で「最もクールな発明」に選ばれ、ポピュラーサイエンス誌で「未来を変える33人」の一人に選ばれる。
ロボットクリエイターとして、ロボットの研究・設計・デザイン・製作を全て手掛け、代表作に「週刊ロビ」「ロピッド」「FT」「エボルタ」などがある。
2013年、世界で初めてコミュニケーションロボット「キロボ」を宇宙に送り込むことに成功するなど、いま最も注目されるクリエイターである。
(2018年4月6日放送分より)
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