ミンダナオ島での自治政府樹立が東京オリンピックに影響する理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月27日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。ミンダナオ紛争について解説した。

ミンダナオ紛争~独立を求める住民と政府が合意

フィリピン南部のミンダナオ島で、イスラム教徒の住民による自治政府の樹立を認める法案が26日成立した。独立を求める住民と政府が合意した包括和平協定に基づくもので、ミンダナオ島で最大の勢力を持つ武装グループモロ・イスラム解放戦線(MILF)は受け入れる方針。50年近くにわたって続いたミンダナオ紛争は、和平の前進に向けて大きな転機を迎えている。

飯田)ミンダナオ島というのは比較的大きな島ですけれども、ここはイスラム教徒の方が多いと。ただ、フィリピン全体で見るとイスラム教徒の方は5%程と言われています。

宮家)それでも人口の多い大きな島ですから、非常に凄惨な争いをやっていたので、これは大統領の英断でもあると思います。よく自治を受け入れたなと思います。最大の問題は、自治はいいのですが、治安を誰が維持するかですよね。あれだけ広いところでムスリムが多いわけですから、一応自治は始まってもテロリストが人民に紛れて地下に潜っているかもしれない。その人たちが、厳しい戦いがなくなって自治が認められたので、彼らも自由に自治を始められたら困るわけです。

東京オリンピックが次のテロの場となる可能性もある

宮家)中東で生まれたあの種のテロというのは、確実に拡散しています。ヨーロッパでも既にやっていますよね。イスラム教徒というのは地上だけではありません。「船乗りシンドバッド」ってムスリムですからね。そうやってフィリピンまで来たわけです。いまもISを含めた関係者たちがいる可能性が十分ある。この人たちはどこに次のテロの場を狙いますか? 東京オリンピックだっておかしくないのですよ。
だからミンダナオの自治、テロリストをコントロールできるかというのは、東京オリンピックとの関連でも重要なポイントになる。他人事ではありません。
成功を祈ると共に、治安の部分ではきちんと見ていかないといけないと思います。

飯田)確かにイスラム解放戦線とは和平協定をやった後でも、1つの市が丸ごとIS系の支配下になるというか。

宮家)一昔前は大変な騒ぎになりました。上手くいったけれども、これで全てが解決したというのはちょっと早い気がします。頑張って下さいとしか言いようがないですが。

飯田)これはイスラム各国で言われていることですが、若者の失業率が非常に高いと。そこで現状に不満を持った人たちが信仰の部分に助けを求めるのが過激化すると。

宮家)自治というのは政治的な欲求は満たすけれど、それで経済が運営できるのか。同じ問題が繰り返されるのではないかということまで見ていかないといけない。中長期的に見ないと自治の成否は判断できないので、まだまだ気を許してはいけないと思います。

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