自民党総裁選~石破氏の「官邸主導」批判は自身へのブーメランとなる

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月19日放送)に国際政治学者の細谷雄一が出演。自民党総裁選に関する石破派齋藤農林水産大臣の“圧力発言”について解説した。

自民党総裁選~齋藤農水大臣は圧力を受けた人物を明かさず

自民党総裁選に関連し、石破派の齋藤健農林水産大臣が安倍総理を支持する議員から、「石破さんを応援するなら辞表を書いてからやれ」と言われたことについて改めて追加することはないと話し、圧力を受けた人物を明かさず具体的に説明する考えがないとの姿勢を示した。

飯田)自民党の総裁選ですけれども、もう批判合戦というか、遠くからボールをぶつけ合い、なかなか政策論争に行かないですね。

細谷)このニュースは非常に面白い、いろいろな要素を含んでいます。齋藤健さんという方は将来の首相候補と言われるような、極めて能力の高い方です。石破さんが非常に強く推薦をして、今回閣僚に入ったと言われています。しかし、ここ最近、「政高党低」という、天気予報ではなくて、政府が強くて自民党、党が弱いという状況が続いていまして、党のなかには大変不満が残っている。そのなかで、とりわけ石破派は安倍政権では不遇にある。今回齋藤さんが大臣に入りましたけれども、その不満が噴出するということがその背景にあったと思います。

飯田)そうすると、党のなかでは言えないけれど不満が溜まっている。でも派閥が決めたから安倍さんを支持する、といった人もなかにはいるということですか?

齋藤農水相“辞表要求”~官邸主導への不満の表れ

細谷)そうです。2001年以降、小泉政権の頃ですが「官邸主導」という言葉がよく言われます。いまは首相官邸が以前に比べると強くなっています。官邸が官僚と自民党をコントロールする。これに対して、自民党のなかで、まだこの新しい政治の流れに慣れていないというところが強くある。しかし同時に、安倍総理はいろいろなことに配慮をして、妥協をし、調整をし、気を使ってきた。これが長期政権の大きな秘訣だったと思います。パワハラだとか、安倍総理が非常に圧力をかけているというようなことが言われますが、私は実際には、逆の面もあるのではないかなと思います。

飯田)逆の面ですか?

細谷)気を遣って配慮しているという部分が大きいと思います。しかしながら官邸主導というということで、党が無視されていると批判される。特に派閥の意向が考慮されなくなっていますから、そういった背景もあって石破派が劣勢にあるなかで、全体として党の声が官邸に届きにくい。その不満が噴出したのが今回のこのニュースだと思います。

石破氏の「官邸主導」への批判はブーメランとして返ってくる

飯田)安倍1強の弊害だと批判するメディアもかなりあります。一方で彼らは少し前までは政治主導が良いとか、派閥の利益分配みたいなものは駄目だとも言っていた。その改革の1つの行き着くところがいまの政権というように考えてもいいのではないかと思うのですが。

細谷)いずれ石破さんが首相になるときが来るかもしれないですよね。その際に今回のような、党内の意向をきちんと配慮しようといったことを言い過ぎると、ブーメランで自分に返ってくることになります。いまのリーダーは迅速に決定しないといけない、そうなったときに(首相である)石破さんもある程度官邸に権力を集中させる必要があると思います。それがあまりこういうことを主張し過ぎると、ご自身が上に立ったときに力を発揮しにくくなってしまう可能性もある。日本政治にとってはデメリットも大きいということを考慮する必要があると思います。

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