1度は会社に就職しながら、再びベルトを目指して戦うプロボクサーのストーリー

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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

きょうは、1度ボクシングをやめて就職しながら、会社を辞め、プロテストに合格。再びベルトを目指して戦っている、元高校チャンピオンのグッとストーリーです。

東京・足立区。東武線・竹の塚駅から線路沿いに歩いてすぐの「ワールドスポーツボクシングジム」。
ここで日々、チャンピオンを目指して、トレーナーと共に二人三脚でトレーニングに励んでいるのが、プロボクサーの高橋拓磨さん・24歳です。

1度は会社に就職しながら、再びベルトを目指して戦うプロボクサーのストーリー

プロボクサーの高橋拓磨さん(24)

高橋さんは大阪・住吉区生まれ。子どもの頃、3つ年上のお兄さんにいつもケンカで負けるのが悔しくて「もっと強くなろう」と、小学6年生のときにボクシングを始めました。中学生になると、実家の近くにあった名門・六島ジムに入門。そこで高橋さんは、元世界チャンピオンの名城信男選手らを育てた名トレーナー・藤原俊志さんと出逢います。

その教えは「KOあってのボクシング」。藤原トレーナーの指導のもと、高橋さんは持ち前のパンチ力を磨いていきました。KO勝ちで15歳以下の60キロ級王者になった後、藤原さんの母校の名門・南京都高校に進学。選抜、インターハイ、さらに国体を2連覇し、4冠に輝いた高橋さん。

卒業後に上京し、鳴り物入りで入学したのが、高校の先輩でもある村田諒太選手がいる東洋大学でした。当時村田選手は、大学職員兼ボクシング部コーチとして東洋大に在籍していました。
「村田先輩は高校時代、僕より1つ多い5冠を達成して、ロンドンオリンピックで金メダル。僕もその後を追おうとしていたんです」

しかし、周囲の期待とは裏腹に、1年生のときに右手の親指を骨折して1年を棒に振り、また4年生のときに、右ヒザを痛め手術。結局、タイトルを1度も獲得することなく、不完全燃焼のまま大学生活を終えたのです。
「そのときは『これが限界かな』と思って、ボクシングをスパッと諦めることにしたんです」。

ヒザの手術を受けたとき、最新技術を駆使したバンソウコウの優れた機能に興味を持ち、その発売元の医療機器メーカーに就職した高橋さん。福岡地区の営業マンとして活躍し、ボクシングで鍛えられた物怖じしない性格で、やがて全国トップのセールスを記録します。
それなりの報酬も得ていましたが、去年の10月に行われたWBA世界ミドル級チタイトルマッチで、プロに転向した村田諒太選手が勝ち、日本人では22年ぶりのミドル級世界王者になったのを観て、高橋さんの心に再び火がつきました。

「先輩が、オリンピックと世界戦の両方でミドル級を制覇するという快挙を達成したのに、オレは何してるんやろ? て思ったんです」と言う高橋さん。
「自分はケガでボクシングをやめたけれど、復帰のためにどれだけ必死で努力しただろう? このまま営業マンを続けていたら、オッサンになってから、絶対後悔すると思ったんです」

そのあとすぐ、会社に退職を申し出た高橋さん。「何を考えているんだ?」と強く慰留されましたが、高橋さんの決意が本物だと知ると、みんな応援に回り、上司の営業部長はこう言ってくれました。
「それが本当にお前の夢だったら、行ってこい。ただし、また俺の前に顔を出すときは、絶対にベルトを巻いて帰ってこい!」

高橋さんは会社を辞め、かつて指導してくれた藤原トレーナーを訪ねて上京。高橋さんのことを「自分の最高傑作」と呼んでいた藤原トレーナーは、復帰の意向を聞き、男泣きしたそうです。

高橋さんは、藤原トレーナーが所属する現在のジムで猛練習を積んで2年間のブランクを埋め、今年、スーパーライト級でプロテストに合格しました。6月のデビュー戦、学生時代に慣れ親しんだボクシングの聖地・後楽園ホールのリングに立ったとき、「ああ、帰ってきたんだな」と実感した高橋さん。観客席には、前の職場の同僚や知人たちが応援に詰めかけ、高橋さんはその前でみごと、2ラウンドKOで勝利を収めました。

「リング上で歓声を聞いて、鳥肌が立ちました。ダラダラやる気はありません。早ければ来年には、タイトルに挑戦したいですね」

1度は会社に就職しながら、再びベルトを目指して戦うプロボクサーのストーリー

ワールドスポーツボクシングジムの外観

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

八木亜希子 LOVE & MELODY

番組情報

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毎週土曜日 8:30~10:50

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