リンドウ栽培農家に転身、子供を持つお母さんたちを雇う主婦のストーリー

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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

きょうは、農業経験のない主婦がリンドウ栽培農家に転身。新たな事業も始め、子供を持つお母さんたちに仕事の場を提供している主婦のグッとストーリーです。

日本一のリンドウの産地として知られる、岩手県・八幡平市(はちまんたいし)。この地域で栽培されているリンドウは「安代(あしろ)りんどう」と呼ばれ、鮮やかな紫色の花は抜群の美しさを誇っています。

リンドウ栽培農家に転身、子供を持つお母さんたちを雇う主婦のストーリー

「安代りんどう」を育てている宮野亜由美さん

6年前、ごく普通の主婦から、この「安代りんどう」を育てる農家に転身したのが、宮野亜由美さん・35歳。
それまで宮野さんは、ごく普通の主婦。ときどき実家の田んぼで農作業を手伝ったことがある程度で、農業経験はまったくありませんでした。なぜリンドウ農家になったのか? 宮野さんは言います。

「2人目の子供が生まれたあと、家計の足しにしようとパートを始めたんです。ところが、子供がよく体調を崩して、そのたびに早退してたんですね。そうしたら、雇い主から『困るんだよね、そうたびたび休まれちゃあ!』って言われて……」

結局、2週間足らずでパート先を辞めることになってしまった宮野さん。しかし、子供がいると、なかなか仕事が見つからないのが現実です。ちょうどその頃、宮野さんのご主人の妹さんも子供が生まれましたが、やはり仕事がなく、どこへ面接に行っても断られて落ち込んでいました。

日頃から、働く時間のわりにパート代が非常に安いことに憤りを感じていた宮野さん。
「そんな嫌な思いをせずに、何か自分の腕で稼げる仕事はないかと思って……義理の妹のためにも、市役所に相談に行ったんです」

そこで紹介されたのが、「リンドウ栽培」の仕事でした。ほかの農業同様、リンドウ農家も高齢化が進んでおり、市役所も後継者を探していたのです。リンドウ農家になれば、市から資金援助が受けられることを知り、「これだ!」と思った宮野さんは、リンドウ農家に通って研修を受け、義理のお母さんと、義理の妹さんと一緒にリンドウ栽培を始めたのです。

リンドウ栽培農家に転身、子供を持つお母さんたちを雇う主婦のストーリー

鮮やかな紫色が美しい「安代りんどう」

田んぼを使って育てるリンドウは、植えてから収穫するまで、2年掛かります。したがって、開業1年目は収穫がなく赤字。2年目にようやく収穫の時期がやって来ましたが、収穫のタイミングがうまくつかめず、出荷できるリンドウは、全体の半分ほどしかありませんでした。開業当初は赤字が続きましたが、コツがつかめるとほとんどロスがなくなり、収益も上がっていきました。

近所の高齢の農家から田んぼを譲ってもらい、栽培面積は1ヘクタールの広さに拡大。そこで人を増やすことにした宮野さんが、ふと思い出したのが、長男の同級生のお母さんでした。
「そのお母さんに会ったとき、『働きたいけど、働く自信がない』ってふさぎこんでいたんです。私がなんとかしてあげなきゃ、と思って……」

2年前、そのお母さんを雇ってリンドウ栽培を教えると、暗かった表情がだんだん明るくなり、笑顔が戻ってきました。以来、子どもを抱えるお母さんたちを、どんどん採用していった宮野さん。
今では7人のお母さんたちが宮野さんのもとで働いています。宮野さんより年上の人ばかりですが、「でもみんな、私のことを『ボス!』って呼ぶんですよね(笑)」と笑う宮野さん。

もちろん、関係は対等。作業中は楽しくおしゃべりしたり、悩みを打ち明け合ったり、和気あいあいで笑い声が絶えません。宮野さんは、収穫のない冬場もお母さんたちを稼がせてあげようと、ドライフラワーを使ったキャンドルなど、リンドウを使った商品の開発も手掛け、もうすぐ販売が始まります。これがうまく行けば、もっと多くのお母さんたちを雇うことができます。

「自分の手で稼ごうと始めたリンドウ栽培ですが、今は、ウチに来るお母さんたちが笑顔になってくれれば、それがいちばんいいのかなと思いますね……」

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八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

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