キッシンジャー元国務長官と習近平氏が会談しても米中関係の改善にはならない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月9日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。8日に行われた習近平国家主席とキッシンジャー元国務長官の会談について解説した。

中国の習近平国家主席が、アメリカのキッシンジャー元国務長官と会談

中国の習近平国家主席は8日、北京を訪れたアメリカの95歳の重鎮、キッシンジャー元国務長官と会談した。このなかで習近平氏は、「友好的な話し合いにより、米中両国の間の問題を適切に解決したい」と述べ、月末にアルゼンチンで開かれるG20(20カ国・地域)の首脳会合に合わせた米中首脳会談に期待感を示した。

飯田)キッシンジャーさん、ご健在なのですね。

宮家)素晴らしいですよね、95歳で長時間の旅行もできるのだから。だけど、「何やってんの」と思うわけです。キッシンジャーさんは立派な人ですよ。「何やってんの」と言いたいのは、中国にです。

飯田)中国側に対して。

宮家)現在のワシントンでキッシンジャーさんの発言力はとても低いです。確かにトランプさんも当選直後はキッシンジャーさんの話を聞きに行ったこともあったし、それなりの存在ではあります。でも、いま対中政策を作っている人たちのなかに、キッシンジャーさんが入り込む余地は無いですよ。中国は井戸を掘った人は大事にするのか、それとも自分に優しい人は常に大事にするのか知りませんが、キッシンジャーさんを何十年も使って来たわけです。メッセージを伝えてもらうために必要なのかもしれないけれど、私はその中国の発想自体が間違っていると思います。こんなことをやっている暇があったら、ちゃんと改革しろよ、自由化しろよと。自分の国を開けて、国際社会の一員になれよと思います。

飯田)10月4日にペンス副大統領が演説した、中国に対しての人権もそうだし、知的財産権など、鉄のカーテン演説の再来だと言う人もいます。

来るべくして来た「新しい米中関係」

宮家)中国に対する政策を1つのスピーチにまとめた集大成ですよね。非常に厳しい内容です。新冷戦と呼ぶかどうかは別にして、あの演説が象徴するような新しい米中関係が始まったのです。オバマさんの2期目の段階でもう始まっていたのですがね。中国とアメリカの衝突は目に見えていましたから。来るべきものが来たということですが、厳しいという意味でペンス演説は重要だと思います。

飯田)中国が改革をすると言ってもなかなかやらないというか、やれない部分もある?

宮家)やったら潰れちゃいますからね。やはり共産党の指導を維持したい。だけどそうすると、強権でやらざるを得ない。自由化したらそれが無くなって、ただの政党になっちゃうわけです。それは許されないと、ジレンマがあってなかなかできないでしょうね。しかもいまは経済がおかしくなっていますから。手綱を引き締めなきゃいけない時期なので、アメリカと上手く行くわけないですよ。

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